馳浩文部科学相は4月1日、教科書会社が検定中の教科書を教員に見せて謝礼金を支払っていた問題で、今後同様の不正行為が発覚した場合、公立小中学校の教科書採択をやり直せるようにする方針を示した。文科省は今夏ごろまでに教科書無償措置法施行規則を改正し、2017年度以降に適用する方針だ。これまでは、市町村教育委員会などが採択する教科書は原則として4年間、同じ会社の教科書を使わなければならないことが決まっている。教科書会社にとっては不正がシェアの減少につながることになり、抑止効果を狙う。
文部科学省は3月31日、教科書会社12社が教員らに検定中の教科書を見せていた問題で、閲覧した公立小中学校の教員ら延べ1009人がその後、教科書の採択に関わる立場になっていたとの調査結果を発表した。うち818人が金品を受け取っていた。閲覧した教科書に採択を変更したケースが99件あったが、同省は「不正行為は確認されず、採択に影響はなかった」と説明している。
小中学校で使う教科書の選び方を明確化する改正教科書無償措置法が4月9日、参院本会議で可決、成立した。改正法は、複数自治体で一緒に教科書を選ぶ共同採択地区の設定単位を、従来の「市郡」から「市町村」に改めた。「平成の大合併」で多くの採択地区に飛び地ができたため。採択の結果・理由の公表を努力義務とする改正とともに、近日中に公布・施行される。採択地区の協議会設置や、その協議結果に基づく教科書採択を義務づける規定も設けられた。この条文は来年4月に施行される。
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