近畿大(大阪府東大阪市)は今秋の推薦入試から、入学手続きの完全ネット化を始めた。入学を希望する合格者は大学が郵送する合格通知書をもとに、書かれた8桁の数字と受験番号、生年月日を入力して本人証明を行う。さらに、学則・学生規程のページで、「学則、学生規程を遵守じゅんしゅします」と書かれた電子版誓約書にチェックマークを入れ、送信ボタンを押す。入力はスマートフォンでもでき、5分ほどで完了する。入学試験出願の完全ネット化に続く全国初の試みで、封筒を含めて10万枚程度の紙類が節約できるという。
──市進ホールディングスの学童保育『ナナカラ』に地域の期待集まる
塾をはじめとする民間事業者による学童保育分野への参入が活性化するなか、株式会社市進ホールディングスの『ナナカラ おおたかの森』が注目を集めている。
ナナカラは、同社が2015年4月に千葉県流山市に満を持して開校する学童保育事業ブランドで、特徴は「働くママ」の視点に強く寄り添っていること。プロジェクトスタッフの全員が女性で、その感性をふんだんに活かしたものになっている。
公設の学童保育を利用できないことも多い小4以上への手厚く柔軟な対応がその一例。高学年向けのキャリアプログラムや、送迎をせずに料金を安くするプランを設定するなどしたことで、同年齢層の子を持つ母親が利用・就業しやすくなった。また学童に通う児童を対象に知識・特技を教える『市民先生』として、就労意欲の高い主婦たちを講師として採用し、活躍の場を提供する。
もう一つの特徴は、出店地域を限定しない一方で、密着性には強くこだわる点だ。一般的に民間の学童保育は、商圏となる地域を特定し、集中出店してシェア率を高めるエリアドミナント戦略を取ることが多く、展開は人口過密地域に集中し、比較的人口が少ない地域は後回しになりがちなのが現状だ。そこでナナカラは、ベッドタウン・流山市にあえて展開。事業立ち上げに当たっては、市内在住の母親たちを集めてモニタリングを実施し、「お料理や運動などの体験型ばかりでなく、お習字やサイエンス教室などの習い事ができると嬉しい」「子供だけで帰れるようにして欲しい」など、細やかなニーズを汲み上げた。
反応も上々で、70名の定員に対し、開校4ヶ月前の時点ですでに50名を超える申し込みが入っているという。同社学童事業室長の橋本アキ氏も「塾企業が母体ではあるが、子供たちには『合格』というひとつの目標ではなく、いろんな色に輝いて欲しい」と、『ナナカラ』(7colors)の名に込めた想いを語る。まずは流山をステップに、地に足を付けた形でその地域で求められているものを活かしたコンテンツ作りをしながら急がず展開していくという。
公益社団法人全国学習塾協会の関東支部が主催する合同研修会が、勤労感謝の日(11月23日)に栃木県宇都宮市の岡本教育センター(阿部倫久塾長)でおこなわれた。この合同研修会は、2014年から同支部が定期的に開催しているもので、昨年は「間違いだらけの塾選び」をテーマに、千葉県銚子市の総合教育商社 翔英館(井原大平代表)を会場にワークショップがおこなわれた。今年のテーマは「もしもカンファレンス」と題して、危機管理の意識向上と、危機を好機に変えるリスクマネジメントについてワークショップを開いた。参加したのは同協会に加盟する学習塾の経営者ら24名。
今回も井原氏がファシリテーターとなり、リスクについて「もしも塾の近くで事故が起こったら?」、「もしもインターネットで自塾の誹謗中傷が流布されたら?」といった、比較的発生する可能性が低いものから、「椅子が壊れた」「保護者からクレームが入った」といった発生する可能性が高いものまで、事象をピックアップしながら、「発生する可能性が高いもの」から順番に、事前の対策から、万が一起こってしまった場合の事後対策までしっかりと行う必要があることをレクチャーした。その後に6人ひと組となり4つのグループに分かれて、リスクとは日常的に当たり前に起こることとして、各々の塾で想定されるリスクへの対応について意見を出し合った。
テーブルごとに議論が繰り広げられる中、参加した経営者からは「あまり考えたくないことだが、リスクとして想定しておけば、いざとなったときにすぐに行動できると思う」という声も挙がっていた。
井原氏は「起こりうる可能性のある事はすべて〝起こること〟として想定し、事象が発生した瞬間に〝どうしよう?!〟と焦らずに、その事象を生かして行動するにはどうしたらいいかということを日頃から考えることがリスクマネージメント」と話す。この研修を受け「明日から自塾での対応も見直したい」という感想を持つ経営者もいた。
同支部では2015年度より、こういったワークショップ形式の研修を全国各地でおこない「教育サービス業界の質を向上に務めたい」としている。
教育再生実行会議において高大接続・大学入学者選抜の改革について議論が進んでいる中、大学側もグローバルな視点に立った大学運営の見直しを迫られつつある。12月10日(水)、京都私塾連盟主催の京都学園大学の入試説明会がキャンパスプラザ京都で開催された。
同大学は1969年4月に開学。「実学重視」の教育課程を基本とし、経営経済学部・人文学部・バイオ環境学部、そして2015年4月に新設される健康医療学部の4つから構成されている。
来年には京都太秦キャンパスも新規に開校し、亀岡キャンパスと「ダブルキャンパス」となる。「実学重視」を唱える同大学の特徴的な取り組みの一つに、国内外の「企業留学」がある。国内の「企業留学」の事例としては、京都府内の企業と連携し、3ヶ月間に及ぶインターンシップ制度を取り入れており、在学生に対して修得した知識を実際に使いこなすことのできる力を養いながら、地元の京都府に対しての社会貢献の一翼を担いつつある。
9代目学長の内山隆夫氏からの挨拶からはじまり、各担当者からの学部学科、入試制度等の説明。同大学の在学生からの体験談も聞かせる時間も設けられた。
当日は、関西を中心とした高等部を受け持つ学習塾関係者が多数参加し、新しく生まれ変わろうとしている大学に関する意識の高さを伺う事ができた。
主催した京都私塾連盟は、来期から同連盟の会長を永きにわたって務めた松井博美氏(創学社代表取締役社長)が顧問に退き、新会長には清水睦夫氏(進英塾塾長)が就任。最後は新会長の清水睦夫氏から挨拶があり、盛会のうちに幕を閉じた。
11月17日(月)、全日本学習塾連絡会議(事務局長 佐藤 勇治)は、『2014 全日本学習塾連絡会議 教育セミナー』を衆議院第二議員会館にて催した。
大島九州男氏(民主党参議院議員)をはじめとした来賓の挨拶、『学習塾百年の歴史』の紹介などあり、文部科学省から行政施策の説明が為された。同省からは総勢11名もの担当者が参加し、次期学習指導要領の検討内容、土曜日の教育活動の推進、道徳の教科化などの進捗状況の報告が、各担当者から為され、より具体的な行政施策に関する報告会となった。
当日は全国から学習塾関係者を中心に定員を大幅に越える参加者が一同に会し、文部科学省の教育再生に関する施策に対する関心の高さが伺えた。