学習塾白書

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はじめに 

 前回の『学習塾白書2023』では、「“緊急性の低い”塾通いへの需要が一服した」と述べた。その後、状況はどう変化したのか。結論から言えば、回復は望めなかったと言わざるを得ない。一部の調査によると、2023年度の学習塾業界の倒産件数は過去最高を記録したとも報じられている。

 

 それ以上に、2024年度は学習塾業界にとって大きな転換点となった年である。東京都中学校長会進路対策委員会が2025年1月8日に発表した「都立高校全日制等志望予定調査」によると、調査対象となった都内公立中学校610校に在籍する中学3年生77,856人のうち、全日制の都立高校(昼間定時制を除く)を志望する生徒は45,720人で、志望率は58.72%。これは前年の63.29%から4.57ポイントの大幅減となった。一方、「国立・私立・他県公立」の志望率は28.96%と、前年の24.64%から4.32ポイント増加している。この変化の要因の一つとして、東京都における私立高校授業料無償化の所得制限(従来は世帯年収910万円未満が対象)が、2024年度から撤廃されたことが挙げられる。

 

 私立高校を選択する家庭のニーズには、経済的な要因だけでなく、保護者世代の価値観の変化も影響している。提供される教育の質や環境、個別のサポート体制など、子どもに合った学校を重視する保護者が増えたことで、私立高校を選ぶ傾向が強まっていると、都内の塾経営者の間でも指摘されている。

 また、東京以外の地域では、少子化の影響による公立高校の受験倍率低下がさらに進んでいる。全国各地で高校の統廃合が進められているものの、志願者数の大幅な変動は見られない。

 さらに、公立高校離れを加速させている要因として、通信制高校の存在がある。通信制高校の2023年度の志願者数は、2016年度の4倍以上に増加し、生徒数は約26万5,000人に達した。2024年度には29万87人が在籍し、高校生全体の約10%が通信制高校に通うまでになっている。また、通信制高校の数も増加傾向にあり、2023年度には289校に達し、2015年時点から50校以上増加した。さらに、2025年度には新たに25校の通信制高校が開校する予定である。

 

 こうした動向は、「高校受験」を主戦場としてきた学習塾にとって、大きな転換を迫るものとなる。適応できなければ、市場からの退場を余儀なくされる可能性もある。

 では、学習塾は今後どのような対策を講じるべきか。本書では、そのヒントを随所に散りばめている。市場全体の動向、業界各社の取り組み、都道府県ごとの状況を読み解き、ぜひ参考にしていただきたい。本書はあくまで白書であり、具体的な指南書ではないが、今後の経営に活かせる示唆を得られることを信じている。 

 

 

2025年2月吉日

『学習塾白書2024』編集委員会

山田 未知之

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