Archive for: 8月 2019

AI英会話アプリ「TerraTalk」を大阪大学が導入  単位認定に「AIによる英会話能力の評価」を活用する

7月25日、ジョイズ株式会社(東京都・品川区、柿原祥之 代表取締役会長/CEO)は、自社で開発・提供している英会話学習アプリケーション「TerraTalk(テラトーク)」が大阪大学(大阪府・吹田市、西尾章治郎 総長)の英語授業で導入されたことを発表した。

昨年度実施された試験導入では、利用した学生約60名のTOEICのリスニングスコアが平均9%向上。大阪大学は、50名を超えるクラスサイズであっても、AIによって個別に学習量や学習内容の記録、スピーキング力の評価が可能と判断し、単位認定に活用することを決定した。

導入にあたり、大阪大学マルチリンガル教育センターの小口一郎氏は、

「TerraTalkが一人ひとりの学習ニーズにある程度対応できること、学習管理が容易であること、AIによる採点と人間による評価を併用できることなどから、大人数クラスでのスピーキング授業に好適であると判断しました。学生がどの程度、TerraTalkのAIナレーターに『人間的存在感』や『人格』を感じるのか、その感じ方の度合いが学習の動機づけにどの程度関係するのか、今後研究してみたいと思っています」とコメントしている。

大阪大学は、北米やASEANに拠点を設け、海外留学を推進し、グローバル人材教育のさらなる発展のため、英語授業への取り組みを強化している。TerraTalkの導入もその一環だ。

今回は、工学部2年「実践英語」の2クラスに導入される。学生は、2019年度の春学期から夏学期のうちの5週間、自律学習課題として、TerraTalkの学習コースのなかから指定されたもの(必修1コース、選択3コース)とTerraTalkの機能を用いた自由スピーチ課題に取り組む。

自由スピーチ課題は、学生はTerraTalkの音声認識・ディクテーション機能を使ってスピーチを記録し、教員はTerraTalkの管理システムを通して提出されたスピーチ内容を確認し評価する。

TerraTalk使った大阪大学の授業風景

●大阪大学への導入について

導入授業:工学部2年「実践英語」の2クラス(履修学生:各クラス50名強)

導入内容:「実践英語」を受講する学生は、2019年度の春学期から夏学期のうちの5週間、自律学習課題として、TerraTalkの学習コースのなかから指定されたコースと、TerraTalkの機能を用いた自由スピーチ課題に取り組む

授業の単位認定条件:TerraTalkでの学習時間、TerraTalkでの学習実態、TerraTalkによるスピーキング力の評価、教員による評価、併用教材(リスニング等)の取組度、期末テスト等から総合的に判断して単位を認定

利用するTerraTalkのコース:

必修1コース「海外で過ごす」

選択3コース(以下から3コース選択して学習)

「新米バックパッカー」「新社会人」「親友」「大学1 年生」「症状を伝える」「ソフトウェア・エンジニア」「愛読家」「映画マニア」「FBIエージェント」

自由スピーチ課題について:自己紹介と各自好みのテーマについて、あらかじめアウトラインを考え、使用する英語表現を用意し、リハーサルをしたうえで、それぞれ1分間のスピーチをする。学生はTerraTalkの音声認識・ディクテーション機能を使ってスピーチを記録し、教員はTerraTalkの管理システムを通して提出されたスピーチ内容を確認し評価する

TerraTalkの画面例

●AI英会話アプリ「TerraTalk」概要

https://www.terratalk.rocks/ja/

アプリとの英会話を通じて、様々な場面での実践的な英語をバランス良く習得できる英会話アプリ。さらに、アプリが発音や表現の出来を自動的に診断し、英語の苦手を特定・解決することが可能。異なる英語力に対応した100以上のコースがあり、試験や職種など、一人ひとりのニーズに応じて実践的な英会話をいつでも・どこでも・いくらでも学べる点が特徴。導入数は200機関を突破。提供開始は2016年2月、法人向けサービス提供開始は2017年4月。

月刊私塾界2019年8月号(通巻460号)

巻頭言

暑いさなか熱い授業を展開されていることと推察する。体調に留意し、是非生徒の期待以上の成果を挙げていただきたい。

 読者諸氏が熱心にお読みになっている本誌「インサイト」。筆者も毎号楽しみにしている。様々な学習塾の、色々な階層の方から赤裸々な悩みが相談されている。

 始まった当初から一つ気になっていることがある。それは、「何」を「どうしたい」のかが分からない質問が多いことだ。極端に言うと、「私の塾をどうしたらいいのでしょうか?」と読み取れてしまう。目的と手段を混同している。場合によっては主客が転倒していることもある。目的が明確でないため、回答者が悩んでいることも窺える。

 自分はどうしたいのか、自塾をどうしたいのかは自分で考えるしかない。

 最近どの業界でもAI、AIという。あたかもAIが万能なように。だから、「兎に角AIを導入し、役立てろ」などと無茶苦茶な号令をかける経営者まで出てくる。

 しかし、勿論AIは万能ではない。目的が明確であることが最低限の条件だ。何らかの課題解決のための一手段としてAIを使うのでなければ、意味をなさない。目的が明確でも、AIでは解決しない物事も多々ある。

 とはいえ新しい技術を駆使することにより、解決できる課題は増えている。

 このことは教育についても言い得る。是非チャレンジしていただきたい。但し、何をどうしたいのかを明確にすることが第一歩だ。

目次

  • 10 CatchUp01 ウイングネット ウイングネットのAIを使って描く未来
  • 12 CatchUp02 アイキューブ+英俊社 いずみ塾が作った新たな入試対策コース
  • 14 HOT TOPICS  経済産業省が「未来の教室」第2次提言を発表  「3つの柱」を掲げ、9つの課題とアクションを提案
  • 24 挑む私学 国際高等専門学校 グローバルイノベーターを育む、充実の環境とプログラム
  • 27 目次・巻頭言
  • 28 NEWS ARCHIVES
  • 52 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 53 【特集】大学入学共通テスト 見えてきた現状と課題
  • 62 TOP LEADER Interview  株式会社ナガセ  『 独立自尊の社会・世界に貢献する人財を育成する』
  • 76 教育サービス業界 企業研究(81) 株式会社ILLUMINATE
  • 79 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(307)
  • 80 疾風の如く(121) Kids Lab.(株式会社Next Edge/大阪府) 代表取締役CEO 松葉 琉我さん
  • 82 好機到来(52) 慧真館 塾長 岸本 崇さん
  • 84 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(75)
  • 86 白書界隈徘徊話(53) 西村克之
  • 88 自ら動き出すチームにする方法(59) 中谷彰宏
  • 90 塾の家計簿(27)
  • 92 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(73)
  • 93 芸術見聞録(73)
  • 94 ぼくの幼児教育考(14)
  • 95 塾長の机
  • 96 為田裕行の「教育ICT行」(53)
  • 97 1981(5)
  • 98 Communication Risk Management(2)
  • 99 Opinion from School(2)
  • 100 林明夫の「歩きながら考える」(168)
  • 102 塾ソムリエの講師研修指南 西村則康(名門指導会代表 塾ソムリエ)(26)
  • 104 私塾界インサイト(18)
  • 108 咲かせよ桜(55) 小林哲夫
  • 112 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(75)
  • 114 論点2019(8) 主権者教育への道のり
  • 118 編集後記
  • 120 Book Review
  • 122 塾長のためのガジェット講座