Archive for: 2月 2017

経営難に陥った高校を引き継ぎ県内トップクラスの進学校へ 沖繩尚学高等学校附属中学校、創立30周年迎え記念式典

沖縄尚学高等学校附属中学校(沖縄県那覇市)の創立30周年記念講演会・祝賀会が、1月21日に同校で開催された。その記念講演会には、学校法人尚学学園の名城政次郎理事長と名城政一郎副理事長が登壇した。

挨拶をする名城政次郎理事長

名城政次郎理事長は、「怖れず 侮らず 気負わず」を演題にして講演。同校は、経営難に陥った沖縄高等学校を引き継ぐ形で政次郎氏が創立した歴史があるが、当初を「何ひとつ明かりがなかった」と政次郎氏は振り返る。
しかし、今では中高合わせて約2000人の生徒が在籍し、東京大学をはじめとし、難関大学に多数合格者を輩出している。また、部活動に置いても、全国大会で優勝する部が数多くある文武両道の学校となっている。
祝賀会でも、吹奏楽部・合唱部の力強い演奏によるBGMが流れ、アトラクションとして空手部の部員たちによる空手演武も行われた。同校では、沖縄の、日本の文化を学び、グローバル教養人としての資質を身につける一環として、部活動だけでなく、空手が必修科目にもなっている。
「本当の意味での人間力と学力を伸ばす進学校としてこれからも歩んでいきたい」と、政次郎氏は語った。

名城政一郎副理事長

謝辞を述べる名城政一郎副理事長

名城政一郎副理事長は、「強くて優しい文武両道のグローバル教養人」を演題に目指す教育を語った。
「〝グローバル教養人〟を育成するためには、『どうにかする力』を育まなくてはいけない」と政一郎氏は言う。その上で、同校では「基礎をやり切り、勝負の場で出し切る」体験を通して、「どうにかする力」を育んでいる。
政一郎氏は、日本の教育が目指すものは、グローバルにあわせすぎなのではないか? と疑問も呈し、「日本が元々持っているグローバルに価値があるものをもっと自信を持って世界に提供するべき」とグローバル化に対する現在の日本の教育について提言した。
創立30周年を迎えた中学校とともに、高等学校も今年度に日本初の国際バカロレア取得者を輩出するなど、新たなチャレンジが身を結び始めている。沖縄尚学のさらなる躍進を期待したい。

ICTの活用が進む大田区の学校

タブレットでプレゼンテーションし合う生徒たち

 1月17日に、平成27・28年度大田区教育委員会教育研究推進校、大田区ICT活用推進モデル校である大田区立蒲田中学校(東京都大田区)が、研究発表会を開催した。各地から集まった学校などの関係者が、全国から300人以上の人が集まった。
 蒲田中学校は、以前からICTの活用を推進してきたわけではない。しかし、27年度にモデル校に指定されてから「誰もが無理なく使えるICTの活用〜いつでも簡単に使えるICT環境が、わかる授業を実現する〜」を研究主題とし、ICT活用の研究、実践、情報発信に全教員で取り組み始めた。
 翌年度には、校長直轄の組織「ICT活用推進委員会」を設置。委員長に情報教育担当をあて、各学年に「ICT推進リーダー」を置く。28年度には、推進委員会の名称を「KIT(Kamata Information Team)」に変更し、さらに3つの分科会に分けて、学校が一丸となって研究・実践を重ねた。
 研究発表では、ICTの活用は生徒の理解度、学習意欲の向上、授業改善に繋がっていると報告があった。今後の課題として、「デジタルとアナログのメリットの見極め」「定期的にアンケートを実施し、生徒からの要望と改善点を実行に移す」「情報モラル教育への取り組み」が挙げられた。
 この日は、記念講演として同校の年間指導講師を務めた、墨田区教育委員会庶務課教育情報担当の渡部昭氏が登壇。同校の取り組みを総括し、その上でICTを推進するためには、「どのような人をリーダーにするのかはとても大きい」と語った。

挨拶をする和田文宏校長

 最後に、和田文宏校長が「推進校の役割を終えますが、これからも大田区のICT活用推進モデル校として、大田区の教育を変える努力して参ります」と意気込みを語り、研究発表会は終了した。

 当日は、全クラスのICTを活用した授業も公開された。例えば、1年生の理科の授業では、「物質の姿と状態変化」「光の世界」について既習した内容をもとに、タブレットを用いてブレゼンテーションするペア学習を行っていた。教員と生徒の一方通行の授業ではなく、生徒同士で学び合う授業が展開されていた。

 また、1年生の体育(剣道)の授業でも、ICTが活用されていた。面打ちと胴打ちの見本動画を見てポイントを確認するだけでなく、タブレットのカメラ機能を用いて生徒同士で撮影し合い、改善点をお互いに見つけ合い、自分のフォームを客観的に見るために役立てていた。

 このように、いわゆる5教科の授業だけでなく、様々な授業でICTを活用した授業が展開された。特に協働学習、アクティブ・ラーニングとも高い親和性を見ることができ、公教育の現場で、今後ICTの活用が進んでいくことを予感させる研究発表内容となった。

月刊私塾界2017年2月号(通巻430号)

巻頭言

赤ちゃん用にIoT(Internet of Things)が組み込まれた多くの製品が販売されている。
ウェブカメラでは、単純に赤ちゃんを見守り、映像をスマホに転送するだけでなく、呼吸数、心拍数、体温まで分かる。また、衣服に装着するだけで、呼吸や体温、体勢、活動レベル、睡眠中かどうかなどをスマホアプリから確認できるウェアラブルデバイスもある。更に赤ちゃんが快適に眠れるよう、複数の揺らし方をする「スマートゆりかご」がある。このゆりかごは揺らすだけでなく、泣き方により聞かせる音を選択する。音は眠りに誘う雨の音にはじまり、母体内で聞いていた音まで奏でる。
これら製品は、親に対し、不安を和らげ、手間を減らし、ストレスを緩和する。
一方で、これら事柄は、育児過程で親が赤ちゃんとのスキンシップや声掛けにより、感じ、判断するもの、という考え方もある。それこそが親の愛情だ、と。
昨年教育界では、AI(Artificial Intelligence)を駆使し、ほぼ自動化されたアクティブ・ラーニングやアダプティブ・ラーニングがもてはやされた。また、大学入試改革で結局は採用が見送られたが、CBT(Computer Based Testing)やIRT(Item Response Theory)なる技術開発がある。これら最先端技術を利用しない手はない。
しかし、子供のやる気を起こすことができるのは、やはり人間だけだ、という声も大きい。
ハイ・テクか、ロー・テクか。それとも……。

(如己 一)

目次

  • 8 CatchUp01 株式会社喜望ゼミナール
    大切にしてきたのは、子供たちに考えさせること
  • 10 CatchUp02 株式会社拓人こども未来
    スポーツ科学に基づいたプログラムで運動能力をアップ
  • 12 CatchUp03 株式会社アップ
    地域とともに成長するアクティブ・ラーニングの発信基地
  • 14 Special Interview
    次期学習指導要領改訂の概要と、松野博一大臣の教育に対する想い
  • 18 シリーズ 格差社会と向き合う①
    教育で貧困層の子供をいかに救うか
  • 20 HOT TOPICS01
    業界全体の地位向上を関東から
    公益社団法人全国学塾協会関東支部研修会で
  • 22 HOT TOPICS02
    京都教育界の老舗、成基が主催。
    私立小学校入試対策テストと体験授業
  • 24 挑む私学 聖光学院中学校高等学校
  • 27 目次・巻頭言
  • 28 NEWS ARCHIVES
  • 50 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 51【特集】続・学習塾白書を読む
  • 60 TOP LEADER Company
    ベスト学院株式会社/株式会社Global Assist
  • 70 Special Report 私塾界PREMIUM SEMINAR 2016
  • 80 教育サービス業界 企業研究(52) 株式会社ドコモgacco
  • 83 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(277)
  • 84 疾風の如く(91)大学受験専門塾 フォレスト(神奈川県)
    代表 松尾 光徳さん
  • 86 好機到来(22) 株式会社ワイズアカデミー 代表 大森 善郎さん
  • 88 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(46)
  • 90 白書界隈徘徊話(23) 西村克之
  • 92 自ら動き出すチームにする方法(29) 中谷彰宏
  • 94 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(43)
  • 95 芸術見聞録(43)
  • 96 高校生からの子育てハイウェイ(22)
  • 97 クロスワードパズル「塾長の机」
  • 98 為田裕行の「教育ICT行」(23)
  • 100 塾ソムリエの講師研修指南 西村則康(名門指導会代表 塾ソムリエ)(11)
  • 102 林明夫の「歩きながら考える」(138)
  • 104 咲かせよ桜(27) 小林哲夫
  • 108 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(46)
  • 110 論点2017(2) 大山鳴動鼠一匹、教育委員会制度改革
  • 114 編集後記
  • 116 Book Review
  • 118 塾長のためのガジェット講座

増進会出版社 システム障害 一部サービスが利用できない状態

「Z会」を手掛ける増進会出版社は1月30日、システム障害により同社の通信教育講座の一部申し込みなどができない状態だと自社サイトで発表した。運用システムに障害が発生し、一部のサービスが利用できない状況となっている。同社は今回のアクセス障害は「新たなシステムへの移行に伴う技術上のトラブルによるものであり、外部からのハッキングやコンピュータウイルスによるものではないことが確認されております。また、今回のシステム障害による個人情報の漏洩は生じておりませんので、ご安心ください。」と話している。今後の対応については、規定の教材を送れない期間は、無償で代替教材を用意する。発送ができていない申込みや資料請求などの書類は対応準備ができ次第発送する。4月からの新規会員受付やサービス再開に向けて2月中旬にも対応策をWebサイトにて告知を行う。

教育同人社、日本の教育メソッドを世界へ  シカゴに100%出資子会社「Japan Math Corp.」オープン

株式会社 教育同人社は、2017年2月1日、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ市に同社100%出資子会社の事業所をオープンし、海外向け学習教材の企画・制作・販売の拠点とすることがわかった。

背景には日本の公教育の水準の高さがあり、TIMSSやPISAなど国際的な調査において実証され、算数・数学の優れた指導法や教材は、世界の教育関係者から注目されている。教育同人社は、日本の優れた指導法と教材を世界へと発信するためJapan Math Corp.を設立し、アメリカ進出における拠点としてシカゴに事業所をオープンした。

Japan Math Corp.は2017年度より、北米の小学校向けに算数の教科書の制作、販売を開始する。日本の算数教育の特徴的なアプローチを取り入れながら、現地の学校の教員や教育研究者との連携のもと実際の授業で試作した教材の検証を重ね、アメリカ国内における教育的ニーズに応じられるように新企画の教科書を制作。
 今後は北米での算数教科書の販売を起点として、他の教科・他の地域へと、事業の拡大を目指す。

ペーパーレス口座振替を小規模塾にも 低価格・カンタン操作で翌月から口座振替開始

株式会社グローウィン(福岡市博多区、因 脩祐社長)は、1月31日、スマート口座振替サービス「e海舟」(イー・かいしゅう)の提供を始めたと発表した。学習塾の月謝の徴収に口座振替が利用されるケースは年々増えているが、同社によると、導入の際の初期費用の高さや、金融機関への口座登録申請の手続きの煩雑さがネックとなり、個人経営や小規模展開の学習塾ではまだ導入が進んでいないケースも目立つという。

口座登録するには「e海舟」の専用端末とタブレットを接続して、キャッシュカードを読み込ませるだけ

「e海舟」は、これまで使われていた3枚複写式の口座振替依頼書ではなく、専用のカード読み取り端末(PINパッド)と、ネットワークに接続されたタブレットPC(iOS、アンドロイド対応)があれば、キャッシュカードと暗証番号の入力のみで口座振替の受付が完了する。(ただし、IC専用など一部対応していないキャッシュカードもある)

紙の依頼書が必要なくなるので、当然印鑑を押してもらう必要もない。そのため、印鑑の不備や書き損じ等の機会損失リスクも軽減できる。しかも、登録は24時間いつでもでき、月末に受け付けても、ほとんどの金融機関で翌月から口座振替が開始できる。

引き落としの入金管理はPCでおこなう

口座振替の管理は、毎月の請求処理を顧客ごとに金額と費目をパソコンで設定するだけのシンプルな操作で、専門知識がなくても簡単に操作できるようになっている。もちろん、請求データの一覧や、振替結果データの一覧をファイル(csv形式)に書き出すことも可能だ。

導入費用も抑えられており、一般的な学習塾ですぐに使える通常のパッケージの場合、初期登録料5万円と、専用のカード読み取り端末代金の1台あたり2万3000円のみとなっている。(私塾界の記事をご覧になった方には特典を用意しています。詳細は文末に。)

また、月々のシステム利用料は端末1台あたり5000円(ボリュームディスカウントあり)と、引き落としをおこなう口座ごとに1件90円の手数料、顧客口座の登録料が1口座につき200円がかかるが、経理業務の効率化と郵送コストの削減をはじめ、顧客に振込手数料などを負担してもらっていることを考慮すれば、経営上はもちろんのこと、新年度募集を目前に控えた今の時期だからこそ顧客満足度(CS)向上の面でもメリットは大きいだろう。(文中の金額はすべて税別)

すでに全国展開の学習塾でも導入が進んでおり、月謝回収業務の大幅な効率化に貢献している。「e海舟」に関する問い合わせ、申し込み、カスタマイズの相談はグローウィン(TEL.092-282-5155、Email info@glowin-inc.jp)まで。

【私塾界会員への特典】初期登録料5万円が、先着200校限定で1万円(税別)になります。

子供たちをネットやスマホに潜む危険から守る 全国398教室の『個別指導塾スタンダード』でインターネットリテラシーの個別指導を開始

「個別指導塾スタンダード」を全国に398教室展開する総合教育カンパニー株式会社SCホールディングス(福岡市博多区、吉田知明代表)は、株式会社ケイ・オプティコム(大阪市北区、藤野隆雄代表)と、デジタルアーツ株式会社(東京都千代田区、道具登志夫代表)と提携し、3 月1日(水)より、小・中・高校生および保護者を対象に、インターネットやスマホの危険について学べる「インターネットリテラシー授業」を開始する。

情報通信技術の発展に伴い、インターネット環境が大きく変化を遂げている中、青少年のスマホ保有率は5割を超え、SNSなどのソーシャルメディアの利用も増加している。一方で、ネット利用をきっかけに青少年が犯罪にまきこまれる事案が発生しており、事前の対策とリテラシー向上が急務となっている。

スタンダードでは、同塾に通う塾生とその保護者を対象にインターネットリテラシーの向上を目的としたカリキュラムを提供するという。この「インターネットリテラシー授業」は、MVNOサービス「mineo」を運営するケイ・オプティコムと、スマホの安心フィルタリングサービス(※)を提供するデジタルアーツが教材を提供し、スタンダードが運営する個別指導のカリキュラムの1つとして開講する。授業は、「生徒2 名」に対し「講師1 名」の1 対2 の個別指導形式で、一方的にではなく、生徒の理解度や実際にインターネットやSNSを利用する際に生じている悩みに応じて、各個人にとって重点なポイントや、的確な解説をカスタマイズしながら、より分かりやすく具体的な指導をめざすとしている。

 

※違法・有害情報との接触から守り、安心して安全にインターネットを利用する手助けをするサービス「教育サービス」×「通信サービス」×「フィルタリングサービス」の相互協力により実現したこのサービスで、より安心してインターネット・SNSが利用できるという。子供や保護者様のインターネットリテラシー向上を促進し、犯罪から守ることにつなげる。