Archive for: 10月 2016

ロジャー・アダムス賞に山本尚さん

有機化学の分野で最も権威があるとされる2017年度のロジャー・アダムス賞を山本尚(ひさし)・中部大教授が受賞することが決まった。日本化学会が9月22日公表した。同賞は米化学会が1959年から2年に一度、有機化学で優れた業績を上げた研究者に贈る。受賞者の多くがノーベル賞を受賞している。日本人では01年度の野依良治さんに次いで2人目。野依さんは同じ年にノーベル化学賞を受賞した。

レノボ、富士通のパソコンを傘下に

中国レノボ・グループは富士通のパソコン事業を傘下に収める方針を固めた。合弁会社を設け、レノボが過半を出資する方向で調整している。富士通は中国や台湾のメーカーが勢力を拡大するパソコン事業で単独で生き残るのは難しいと判断した。レノボに主導権を渡し、主力のIT(情報技術)サービス事業などに経営資源を集中する。パソコン世界首位のレノボは事業規模を生かし、部品調達や製造のコストを削減して収益性を引き上げる。

給付型奨学金、1カ月最低3万円以上を確認

自民党の給付型奨学金に関するプロジェクトチーム(委員長・渡海紀三朗元文部科学相)は5日、政府・与党が創設を検討している返済不要の給付型奨学金について、1カ月当たりの給付額を最低3万円以上にすると確認した。2017年度の導入をめざし、給付額や対象、財源などを詰めて月内にも中間報告をとりまとめる。

がん「個別化医療」を研究 がん研、新センター設立

がん研究会(東京都江東区)は9月5日、がん患者一人ひとりに最適な治療法を提供するための研究に取り組む「がんプレシジョン医療研究センター」を設立したと発表した。プレシジョン医療は、患者の遺伝子情報などを調べ、その患者に最適な治療を提供するもので、「個別化医療」とも呼ばれる。センターは、この分野に詳しい中村祐輔・米シカゴ大教授を特任顧問に招き、現在あるゲノムセンターに新たに2部門を追加する形で1日付で設立された。

「次世代に求められる3つのスキル」を学ぶ 滝川中学校・高等学校で特別授業

株式会社エナジード(東京・港区)が提供する総合学習プログラム「ENAGEED(エナジード)」の特別授業が、10月3日に滝川中学校・高等学校(神戸市須磨区)で実施された。オリエンテーションを兼ねた1回目が前の週に行われ、今回はその続きの二回目となる。対象は男子校である同校の中学2年生。授業は二つのクラスに分け、それぞれ約70名の生徒の前で、エナジードの社長、氏家光謙氏が講師として熱弁をふるった。

生徒一人一人に語りかけていく氏家氏

「ENAGEED」は7冊の冊子を教材として用いる。すべてエナジードのオリジナルで、「世の中に新たな価値を生み出す方法」をさまざまな角度から問いかけ、能動的に考える工夫が施されている。今回の授業では、生徒は2回にわたって「Vol.1」の内容を学んだ。テーマは「次世代に求められる3つのスキル」だ。そのスキルとは「課題開発力」「アイディア力」「実現力」である。課題を発見し、アイディアを考え解決策を実現する例として、本田技研工業の創設者、本田宗一郎氏が、夫人が自転車で重い荷物を運んでいる様子を見て、原動機付自転車を生み出したことなどを紹介した。

総合学習プログラム「ENAGEED」

生徒には起床から登校するまでにストレス(課題)になることをできるだけ多く書き出すよう指示が与えられた。そしてストレスの原因とそれがなくなった場合の「理想状況」を生徒に書かせ、「理想状況」を実現するために何が必要か氏家氏は問いかけた。生徒からは、満員電車で通学するストレスをなくし、みんなが気持ちよく電車に乗れるよう「2階建ての電車の車両をつくる」などのアイディアが出された。

同校の新教育プログラム推進支援センター長、下村卓治氏は「これからの社会で求められるのは、決まった正解がない問題に挑み、解決する力です。生徒たちは積極的にこの授業で学び、いいアイディアが生まれていました」と語った。氏家氏は「アイディアを考えてからが新たな価値を生み出すスタートです。そこから実行に移すことが何よりも重要です」と授業を締めくくった。

同校では「ENAGEED」を今後も活用していく予定だ。2020年の教育改革に先駆け、知識を身に付けるだけではなく、知識を使って「新たな価値を生み出す」ことができる生徒の育成に期待したい。

21世紀型教育機構が発足 評価基準設け質担保

21世紀型教育を実践・推進する学校が連携し、これまで研修会などを行ってきた「21世紀型教育を創る会(21会)」が発展的に改組し、この9月に「21世紀型教育機構(21st CEO:21century Education Organization)」が発足し、9月19日に浜離宮朝日小ホールで設立記念シンポジウムを開催した。

同機構は、新しい教育を作っていくことに挑戦するとともに、教育機関の質を保証(アクレディテーション)して、メンバー校が機構の思想に則って教育を推進しているかもチェックしていく。

吉田晋氏

吉田晋氏

シンポジウムでは、冒頭に「今なぜ21世紀型教育機構か」をテーマに、同機構理事長の吉田晋氏(富士見丘学園理事長・校長)が講演。この機構を設立した根底には脱偏差値があるといい、「人工知能の発展によって今ある職業の消失が予想される未来で、子供たちが予測不可能な問題を解決できるための教育の構築を目指す」と述べた。

大橋清貫氏

大橋清貫氏

続いて、同機構理事の大橋清貫氏(三田国際学園学園長)が登壇し、「先鋭的な21世紀型教育とは何か」をテーマに講演した。大橋氏は、「21世紀型教育に必要なスキルの育成は、学校の教育現場で実践されてこそ意味がある」といい、三田国際学園で取り組んでいるアクティブ・ラーニングやグローバル教育、そして生徒のエンパワーメント評価などの事例を紹介した。

福原正大氏

福原正大氏

IGS代表の福原正大氏(一橋大学大学院特任教授)は、「未来を切り拓く教育」をテーマに講演した。「人工知能全盛時代では人間の持つ生物性がより注目される」と述べ、人工知能ができない共感の重要性について説明した。また、知識偏重になりがちな日本の教育に苦言を呈しながらも、日本の文化祭などの学校行事、クラスルームにおける人と人が接する環境があるのは、「日本の学校教育の強み」と話した。こういったことを通して学生時代にいかに〝共感〟を磨けるかが重要であり、「グローバル化、人工知能全盛時代になる中で、子供一人ひとりに寄り添う形で、子供たちのストーリーをどのように作ってあげられるのかが、これからの教育において大切なこと」と福原氏は言う。

平方邦行氏

平方邦行氏

その後、登壇した3人がパネリストとなり、同機構理事の平方邦行氏(工学院大学附属中学校・高等学校校長)のコーディネートのもと、21世紀型教育について、パネルディスカッションを行われ、21世紀型教育のひとつの形として、0から1を創造するデザイン思考やSTEM教育に着目して、意見が交わされた。平方氏は、パネルディスカッションの終わりに「予測不能な未来に挑戦する教育を今後とも続けていきたい」と語り、21世紀型教育を推進していくことを誓った。
21世紀型教育機構のメンバー校は以下の11校で9月に発足された。

  • 工学院大学附属中学校・高等学校
  • 順天中学校・順天高等学校
  • 聖徳学園中学・高等学校
  • 聖学院中学校・高等学校
  • 聖パウロ学園高等学校
  • 東京女子学園中学校高等学校
  • 富士見丘中学校高等学校
  • 文化学園大学杉並中学・高等学校
  • 三田国際学園中学校・高等学校
  • 八雲学園中学校・高等学校
  • 和洋九段女子中学校 和洋九段女子高等学校

※校名は五十音順(2016年9月17日現在)

パネルディスカッションでは、21世紀型教育について議論が意見が交わされた。

パネルディスカッションでは、21世紀型教育について議論が意見が交わされた。

セブン&アイHD、H2Oと資本業務提携へ

セブン&アイ・ホールディングスは10月6日、阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングと資本業務提携すると発表した。両社は、H2Oの発行済み株式の3%にあたる金額(約57億円)の株式を相互に持ち合う。また、セブン&アイ傘下の百貨店大手そごう・西武が運営するそごう神戸店(神戸市)、西武高槻店(大阪府高槻市)、そごう西神店(神戸市)の関西3店舗をH2Oが引き継ぐことでも合意した。

菅義偉官房長官 平成29年度税制改正で配偶者控除の廃止見送り

菅義偉官房長官は9月6日の記者会見で、平成29年度税制改正で、政府・与党が年収103万円以下の配偶者を持つ人の所得税を優遇する「配偶者控除」の廃止を見送る方針を固めたとの報道に関し「政府と与党の税制調査会で議論が進められているところであり、現時点で決まった方針があるわけではない」と述べた。

AO入試実施、過去最多79校 17年度国公立大

文部科学省は10月4日、国立大82校と公立大86校の2017年度入試の概要をまとめた。書類審査や面接で判定するアドミッション・オフィス(AO)入試を1学部以上で実施する国公立大は計79校(47.0%)となり、前年度から4校増えて過去最高を更新。学力検査を原則免除し、調査書などで選抜する推薦入試は同1校増の160校(95.2%)だった。17年度入試で新たにAO入試を取り入れる国立大は滋賀、香川、熊本の3校。弘前大はこれまで推薦入試を実施してきた3学部でAO入試に切り替える。

米グーグル新スマホはAI主役 話すとアプリ起動

米グーグルは10月4日、新型スマートフォン(スマホ)や家庭向けスマートスピーカーなどを発表した。話しかけて操作する会話型人工知能(AI)「アシスタント」を標準搭載した。AIを利用したサービス競争が激しさを増すなか、ソフトとハードの一体開発を強化し、同様の垂直統合モデルを強みとする米アップルに対抗する。新型スマホはグーグルが端末のデザインや仕様、流通などへの関与を大幅に強めた最初のスマホとなる。今回からはグーグルブランドのみとし、名称も「ネクサス」から「ピクセル」に刷新した。

 アップルの「iPhone」に対抗する最上位機種と位置づけるピクセルの画面サイズは5型と5.5型の2種類。15分間の充電で7時間使える急速充電機能や、撮影した写真や動画を容量無制限で保存できるクラウドサービスなどをつけた。米国での価格は649ドル(約6万6000円)。日本での発売は未定。

 話しかけ「アシスタント」を呼び出すと、検索や地図などグーグルの各種サービスだけでなく、スマホ内の他のアプリも音声だけで起動し、店舗の予約などができる。