NTTや国立情報学研究所などはミクロな世界で起きる量子現象を利用し、新たな原理で計算するコンピューターを開発した。脳の神経細胞ネットワークのように全体が協調して動作し、問題の答えを見つけ出す。現在のコンピューターが苦手とする問題を、50倍の速さで解けることを確認した。2017年にも専門家が使えるようにし、有用性を詳細に確かめる。内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の山本喜久プログラム・マネージャーらの成果で、米科学誌サイエンス(電子版)にこのほど掲載された。
同じ県内で35年以上営んできたライバル同士の2つの学習塾が、この度、合併した。学習塾業界では少子化の波に巻き込まれ、ここ数年、合併の話には事欠かないが、今回の「合併話」は少し趣が違う。
10月1日に合併を果たしたのは、株式会社ケーイーシー(小椋義則代表)と株式会社アンドリュー(木村正泰代表)。ともに奈良県で多くの生徒を指導し、輩出してきた老舗の学習塾だ。今回の合併で、2つの会社が一つに統合し、代表取締役社長には小椋義則氏、それに伴い、アンドリューの創業者である木村正泰氏は勇退する。これだけ聞くと、ケーイーシーがアンドリューを飲み込んだような、ある種、ギスギスした印象にも取れる。ただ、去る10月14日に奈良ホテルにて催された、両社の経営統合をお披露目する場として企画された「結婚式」では、そんなマイナスイメージを払拭する、両社の思いが一つとなったハートフルな経営統合のお披露目の場となった。
この「結婚式」には学習塾・予備校や私学関係者を中心に全国から多くの列席者が集い、盛大に催された。
式では、各々の会社のマスコットキャラクターが、それぞれの社長に手を引かれて、新郎新婦として入場。続く「披露宴」では、一つになった両社の社員が歌や踊りを披露し、統合に至るまでの歩みを、演出にこだわった映像を使って紹介するなど、最後まで和やかな雰囲気の中、会が進んで行く。
会の最後に、両社の社員の社長となる小椋氏が心の内を語った。
「創業者である自分の父は突然亡くなったこともあり、自分自身が引退の花道を作ることが出来なかったことを今でも悔しく思っている。今回こそは木村社長を引退の花道を作りたいという思いもあり、この結婚式を企画した。」
経営統合でどちらがイニシアチブを取っているかを論ずるのは言語道断。人間大事の教育を企業理念に掲げ、子ども達の10年、20年先にも続く自信を育てることを使命とするケーイーシーグループを心から祝福したい。
国からの就学支援金詐欺や不適切な授業、提携先のサポート校からの編入学など不正が次々に明るみに出た広域通信制高校を巡り、文部科学省は実態調査を実施したうえでチェック体制を整えようとしている。ただ、それを担うことになる自治体には職員数などで対応に限界もあり、再発防止にはなお課題がある。
広域通信制高校とは自宅学習を基本とする通信制高校の中で、3都道府県以上から生徒を集めている学校。1961年施行の改正学校教育法などで制度化され、全国105校に約10万人が在籍している。不登校経験者や帰国子女などさまざまな生徒を受け入れ「学び直し」の場にもなり、不登校が深刻な社会問題になった90年代には、高校側から依頼を受けて生徒の生活面も含め学習を支援する民間施設のサポート校との提携が増え始めたといわれる。だが、サポート校が学校教育法上の認可を受けておらず、教育面での法規制が及ばないケースが多いことから、提携や教育の実態は不透明だった。