Archive for: 6月 2016

教科書協会長に山川出版社長の野沢氏

教科書各社でつくる教科書協会(東京)は6月27日、山川出版社社長で同協会副会長の野沢伸平氏を新会長に選任した。鈴木一行前会長が社長を務める大修館書店が、自社の英語教科書を採用した高校に問題集を無償提供していた問題を受けた。鈴木氏は今年2月に会長に就任したばかり。野沢氏と鈴木氏は同日、文部科学省を訪問。馳浩文科相は「舌の根も乾かぬうちのことで大変残念だ。ルールが守れないなら退場していただく」と強い口調で話した。

電子書籍、アマゾンが定額読み放題に

アマゾンジャパンが、電子書籍を定額で読み放題とする米国でのサービスを日本でも始めることがわかった。アマゾンで電子書籍を提供している複数の出版社が、サービスに同意したことを認めた。出版不況が続く業界内では、読者が作品に接する機会を拡大できるとの期待もあるが、紙の書籍が売れなくなることへの懸念も強い。料金はおおむね月額1千円前後となる見通し。

 アマゾンジャパンによると、アマゾンが2014年から米国で始めた読み放題サービス「Kindle(キンドル) Unlimited(アンリミテッド)」は、月額9ドル99セント。開始当初は約60万タイトルの電子書籍が読み放題となった。

ビッグデータ分析のプロ、国挙げ育成 文科省

文部科学省は2017年度から、企業が持つビッグデータを分析して事業戦略などに生かす専門家の育成に乗り出す。10前後の大学にコースを設け、博士課程の学生などから毎年250人を養成する。統計学に精通し、高度な知識を持つ専門家は毎年500人ほど育成が必要とみており、大手だけでなく地方企業への人材供給につなげる。ブロックごとに拠点となる大学を選び、統計分析など必要な知識を教える。理工系分野で博士号を取得した人や博士課程の学生を対象にする。

 データサイエンティストと呼ばれる専門家は大量のデータを分析し、企業や組織が抱える課題の解決策を提案する。米グーグルが検索精度の向上に結びつけるなど、米ネット企業の成功の陰の立役者ともいわれる。

月刊私塾界2016年7月号(通巻423号)

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巻頭言

今年の夏期講習では、何か新たな取り組みがおありだろうか。講座、カリキュラム、教材などなど。
エチオピアで生産されたTシャツ30万枚が、日本に出荷された。製造したのは、岡山県に本社を置く株式会社ストライプインターナショナルだ。
エチオピアは工場労働者の賃金が低いことから(中国の10分の1、月額40~60ドル)、多くの企業が進出する。GE、サムスン、ハイネケン等世界の大企業だ。
しかし、労働者の生産性や技能レベルは高くない。また、道路、電力等のインフラは未整備であり、関税や許認可などのルールも不明確だ。更に、内陸国であり、隣国のジブチの港から輸出する。
アパレルの巨人H&Mでさえクリアーできないそれらハードルを、見事に乗り越えた。読者諸兄は最先端を行く製造型小売業(SPA)だからだ、とお考えであろうか。
茨城県竜ケ崎市にある横田農場。日本の水稲栽培農家の耕作面積が平均1㌶のところ、横田農場は120㌶。これを1台の田植え機と1台のトラクターで作業する。そのために、7種類の米品種を2ヶ月かけて植え、2ヶ月かけて収穫する作業体系を構築する。驚異的な高効率を達成している。にもかかわらず、九州大学の研究プロジェクトに参加し、更なるイノベーションを目指す。如何だろうか。
先日、某大学の教育工学研究室を訪ねた。先生曰く、必ず成績を上げる方法がある、と。再現性があること。属人的でないこと。これこそ科学である。改革の種は至る所にある。

(如己 一)

目次

    【2016年7月号 目次】

  • 6 CatchUp1 グローバルキッズ倶楽部(GKC)
    京都教育界の老舗、成基が手掛ける英語学童教室
  • 8 CatchUp2 FLENS
    教育ICT市場を丁寧に開拓する
  • 10 SpecialReport・1 私塾界リーダーズフォーラム in 博多
    公益社団法人 全国学習塾協会 九州・沖縄支部 全国研修会 共催
    ICT・人工知能(AI)、アクティブ・ラーニング、高大接続、教育再生について考える
  • 14 SpecialReport・2 私塾界リーダーズフォーラム in 金沢
    学習塾協議会いしかわ 共催
    英語教育改革、グローバル人財育成、アクティブ・ラーニング、高大接続、教育再生について考える
  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 44 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 45【特集】
    株式公開企業塾 2016年度3月期決算を読む
  • 54 HOT TOPICS  人間の可能性に触れる
    第14回 全日本私塾教育ネットワーク(私塾ネット)全国研修会
  • 56 シリーズ・教育改革
    迫る大学入試改革、わが子が身につけるべき本当の力とは?
  • 58 短期集中連載「自立学習」を超えて!(5) 山田徹雄
  • 60【TOP LEADER】
    第23回 東進衛星予備校全国大会
    独立自尊の社会・世界に貢献する人財を育成する
    ナガセグループ
  • 70 挑む私学 東京立正中学校・高等学校
  • 72 教育サービス業界 企業研究(45) 株式会社ナイトズーキーパー
  • 75 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(271)
  • 76 疾風の如く(84)
    探究堂(京都府)
    代表 山田 洋文さん
  • 78 好機到来(15) NPO法人 高卒支援会 理事長 杉浦 孝宣さん
  • 80 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(38)
  • 82 白書界隈徘徊話(16) 西村克之
  • 84 自ら動き出すチームにする方法(22) 中谷彰宏
  • 86 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(36)
  • 87 芸術見聞録(36)
  • 88 高校生からの子育てハイウェイ(15)
  • 89 クロスワードパズル「塾長の机」
  • 90 為田裕行の「教育ICT行」(15)
  • 92 新・授業改革を目指して(91) 石川幸夫
  • 94 林明夫の「歩きながら考える」(131)
  • 96 咲かせよ桜(20) 小林哲夫
  • 100 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(39)
  • 102 論点2016(7) 奨学金制度の本来的趣旨
  • 106 編集後記
  • 108 Book Review
  • 110 塾長のためのガジェット講座

大阪府教 「チャレンジテスト」実施へ

大阪府教育委員会は6月23日、公立中学3年生の統一テスト「チャレンジテスト」を実施する。結果が良い中学校は、多くの生徒に高校受験時の内申点を高くつけられるようになるのが特徴で、今の中3から対象になる。学校間の評価の「公平性」を保つのが狙いで、全国でも異例の方式という。一方で、関西を中心に教室を構える学習塾「開成教育セミナー」は「生徒から不安の声があった」と5月下旬に対策模試を実施した。こうした事前対策に取り組む学校や学習塾があり、「競争が激しくなる」と懸念の声も上がる。

安西祐一郎氏 日経に檄文掲載

日本経済新聞は6月28日、「多極化時代の『教育維新を』」と題し、日本学術振興会理事長安西祐一郎氏の檄文を掲載した。安西理事長は高大接続システム会議の議長を務める傍ら、人工頭脳(AI)の専門家会議の座長も引き受けている。多忙な安西理事長が7月4日、親の水ソラシティカンファレンスセンターで行われる私塾界主催のリーダーズフォーラムでAIと教育について基調講演を行い、パネリストとしてディスカッションに参加される。基調講演に先立ち、自らのアイデンティティを吐露した檄文となった。

山口東京理科大入試に中期日程も 推薦には地元枠「市内枠」と「県内枠」も

今年4月から山陽小野田市立の公立大学になった山口東京理科大学の来年度入学試験の概要が明らかになった。一般入試の個別試験は前期日程に加え、すべての国立大学と併願ができる中期日程でも実施。推薦入試では「市内枠」と「県内枠」を設ける。一般入試の募集人員122人のうち、来年2月27日に実施する前期日程が96人(大学入試センター試験が5教科のA方式、3教科のB方式が各48人)。同年3月8日に実施する中期日程は26人。

高卒までに指導する英語語彙、3千語から4千~5千語に

文部科学相の諮問機関の中央教育審議会が6月20日、2020年度から小中高校で順次始まる新学習指導要領の下で、高校卒業までに指導する英語の語彙数が現在の3千語程度から、4千~5千語程度に増やすとした。現在は中学校で1200語程度、高校で1800語程度を指導。新指導要領で英語が小学5年から教科になるのに伴い、小学校で600~700語を指導するほか、中国や韓国など海外の状況も参考に、中学では1600~1800語、高校では1800~2500語にそれぞれ増やす。

訪日客向けリアルタイム翻訳開発 日本マイクロソフトなど

日本マイクロソフト(MS)とブロードバンドタワー(BBタワー)、豊橋技術科学大学は6月21日、訪日外国人向けのリアルタイム翻訳サービスの開発で協力すると発表した。50カ国語の音声認識や翻訳に対応するMSのクラウドサービスを基盤技術として活用する。汎用の翻訳では精度が上がりにくいため、観光や医療など訪日外国人のニーズが高い分野に特化して対訳データを大量に集め、人工知能(AI)が自ら学習してデータを分類する機械学習と呼ばれる技術を使って翻訳精度を高めていく。

現金やカード不要の「顔払い」技術、NECが実験

NECは6月21日、商品購入者の顔をカメラで見分けて、代金を決済する実証実験を本社(東京・港)の売店で実施すると発表した。月内に始め、8月下旬まで続ける。実店舗への導入を想定した運用を通じ、技術性能の向上や運用ノウハウの蓄積をめざす。「顔払い」の実験対象はグループ社員約1000人。事前に撮影・登録した社員の顔画像と、レジの近くに設置するカメラで撮影する顔画像を照合して本人確認する。代金は給料から自動的に引き落とされる仕組みだ。