首都圏の私立中学入試が2月1日から本格スタートした。今年は1都3県で私立・国立の中学計400校の入試(定員約4万1千人)に、昨年と同程度の約4万5千人が挑戦する。塾関係者らによると、グローバル人材の育成や、思考力や表現力を磨く授業を積極的に採り入れている学校が人気だという。また、大学入試改革をにらみ、早慶に加えMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)など大学の付属校の人気が急上昇しているのが今年の特長だという。
2016年1月5日、「個別指導 今塾」伊丹教室が開校した。今塾は、近畿圏で中学受験を中心に「浜学園」「Hamax」などを教室展開する浜学園グループ(兵庫県西宮市、竹森勝俊代表)と、同じく近畿圏で「第一ゼミナール」「ファロス個別指導学院」などを展開するウィザスグループ(大阪市中央区、生駒富男代表)が業務提携し、14年12月に設立した株式会社浜第一ゼミナールが運営する新しいタイプの学習塾だ。
両グループが培ってきたノウハウやメソッドを活かして、市場の変化に迅速に対応していく新しい塾として、昨年8月にHamax伊丹教室をファロス個別指導学院の伊丹駅前教室に統合し、双方の個別指導塾に通っていた生徒たちはそのまま引き継がれた。そして、ファロスの看板を掲げたまま、今塾で提供しているICTハイブリッド型のサービスを開始。同8月以降に入塾した生徒は、既に教室全体の生徒数の4割を超えたといい、学力でも早くも成果が現れている。
今塾では、小・中・高校生向けに、〝教わる〟のではなく〝学ぶ〟という学習姿勢をつくる「自己解決型個別学習」を採用している。それを実現させたのが、自己解決力の向上とICT(情報通信技術)の利便性を融合した「ICTハイブリッド型学習『I−MA(イーマ)』」である。「I−MA」とは「Innovate Motivate Academy」の略で、今塾(I−MA JUKU)の由来にもなっている。
これにより、生徒が講師に依存し過ぎることなく、映像授業を活用して自ら〝学ぶ〟という仕組みをつくった。また、受講した映像授業は自宅でも復習できるようにするなど、学ぶ場所を選ばず学習環境を提供できる仕組みも整えている。その上、ICTの活用によって、授業料も廉価に設定することができ、学習機会の損失を最小限に抑えることも今塾のコンセプトの一つになっている。
「ICTの導入により均質化した指導が実現し、個別指導塾にとって課題となっている講師の確保もクリアできます」と、株式会社浜第一ゼミナールの小林一勲(かずのり)氏は語る。
また、生徒のPDCAサイクルの確立も視野に入れており、とくに生徒たちの自己肯定感を高めることを念頭に置いている。入塾の際には、生徒の家庭での学習状況を聞きながら、どのような受講スタイルを採るか教室長と生徒・保護者が一緒に決めて、その生徒に適したカリキュラムで映像授業を受講し、学力や単元によってピンポイントに学習する必要があれば、講師が個別指導を担当する。
しかし、学習を自己解決させるためには、モチベーション(意欲)が重要になることから、教室長は学習指導に加えて、生徒一人ひとりの意欲を喚起する役割も担う。
「教室長の役割は、教務力も兼ねた意欲喚起が重要となるため、生徒や保護者との密度の高いコミュニケーションや、目先の事象にとらわれない客観性、といった総合的な人間力がポイントになると思っています。ICTを導入して利便性は上がっても、そこだけは絶対に外せません」と、株式会社浜第一ゼミナールの藤田万博(かずひろ)氏は意気込む。
今後は、3月に稲野教室(兵庫県伊丹市)と塚口教室(兵庫県尼崎市)で2校新規開校する予定で、それ以降も兵庫県南東部を中心に複数の校舎を展開する予定だ。
昨年は、相次いで日本のロケット技術、衛星管制技術の高さを世界に示した。
8月「こうのとり」5号機が、国際宇宙ステーション(ISS)に無事物資を届けた。ISSへの物資補給に、米ロが相次いで失敗し、物資不足から緊急事態に陥っていた。それを「こうのとり」が見事救った。しかも、「こうのとり」を、ロボット・アームを使いキャッチしたのは、油井亀美也宇宙飛行士であり、NASAの通信担当のリーダーは若田宇宙飛行士であった。
12月「はやぶさ2」が地球スイングバイに成功した。その四日後、「あかつき」が金星周回軌道への修正に5年振りの再挑戦で、これも成功した。
前者が実施した、小惑星「Ryugu」への軌道修正は、野球場に例えると、ホームベースからバックスクリーンの0・1ミリ以下の的に、ボールを当てる精度が要求される。後者は、金星が自転と公転方向が反対なため、金星の自転方向と同じ周回軌道に入れるための角度等が、非常に難しい。
これらを支えた技術は、日本の宇宙予算が少ないことから、工夫に工夫を重ね、気が遠くなる程軌道計算を繰り返す等の賜物である。彼らは、お金が無いからとか、設備が、人財が足りないからなどと泣き言を言わず、果敢に挑戦した。
我々学習塾業界も同じである。足りないものに嘆くことなく、前進しようではないか。大学生がバングラデシュで始めた「e─Education」は、我々に大きな勇気を与える。
(如己 一)
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