総務省が9月20日、敬老の日に合わせてまとめた15日時点の人口推計によると、80歳以上は前年比38万人増の1002万人となり、初めて1000万人を超えた。65歳以上の高齢者人口は前年比89万人増の3384万人で、総人口に占める割合は0.8ポイント上昇の26.7%となり、人口、割合ともに過去最高を更新した。2010年の国勢調査をもとに、その後の出生数や死亡数などを反映して推計した。日本の高齢者人口の割合は欧米主要諸国の中で最も高く、イタリアの22.4%、ドイツの21.2%を大きく上回る。
第36回 私立中高進学相談会 NPO塾全協主催で
NPO法人 学習塾全国連合協議会(NPO塾全協)が主催する私立中高進学相談会(東京会場)が9月6日、東京・新宿区の新宿NSビルで開催された。第36回の今年は、私立中学・高校132校、高等専修学校3校、大学・短大資料参加校8校が参加。会場には、夏休みを終えた小中学生とその保護者約4000名(主催者発表)が、自分たちの進路を決めるべく、気になる学校のブースで足を止め、熱心に説明を聞く姿で溢れていた。
また、相談だけでなく、大型ディスプレイを使い、実際に服を着なくても仮想的に試着した姿を見ることができるサービスも用意されていた。女子限定ではあったが、ユニークな試みであった。
特別セミナー「来年度入試はこうなる」も開催され、入試の最新情報を中学入試・高校入試の専門家たちによってレクチャーされた。そのうちのひとつ、「2016年 中学入試の注目点」と題した森上教育研究所と四谷大塚入試情報センター合同ディスカッションでは、来年の受験の動向や試験の傾向が話し合われた。
今年の中学入試では、偏差値を基準にした学校選びではなく、自分が本当に行きたいと思える学校を受験する傾向が強かったそうだ。来年もその傾向は、継続するだろうという意見があった。
また最近では、附属校の人気が伸び悩んでいたが、回復傾向にあるとも。とくに、附属大学への進学だけでなく、東京大学など他大学への合格実績が多い学校は人気が出ているそうだ。
中高一貫校のメリットとして、高校入試を受験しない分、教科を先取りして学習できるため、留学など教科以外の学習機会を利用できる。そのため、留学プログラムなど英語に対する学校の取り組みにも注目してほしいとのアドバイスもあった。
そして今年の中学1年生からは、入試改革などにより、新しい形での大学入試に変わることが予想されている。そのことを念頭に置いた学校選びをするべきだとの意見も。その影響から、当日発表が増加している傾向にある中学入試も、今後は適性試験なども含め、記述式が増え、時間をかけて合否判定が行われることもありうるとの意見もあった。
しかしその反面、インターネットによる試験当日に合否判定が行う学校は多いため、受験機会は多様であり、スケジューリングの重要性も説かれた。
少子化の影響から参加者の数は、減少傾向にあるそうだ。今後ますますその傾向は強まるだろう。真の意味での魅力ある学校づくりが求められ、それをいかにしてアピールするか。学校の底力が問われている。
今後10月中旬にかけて、民間教育の業界団体が主催する進学相談会が、東京、名古屋、大阪など各地で開催される。詳しくは『月刊私塾界』の〈業界カレンダー(ウェブサイトは〈塾暦〉)〉を参照下さい。
湘南ゼミナールの特例子会社湘南ゼミナールオーシャン(横浜市中区)が障害者雇用の促進を目的とした平成27年度「職場改善好事例」(独立行政法人 高齢・障害・求職者支援機構主催)において、奨励賞(同機構理事長表彰)に選ばれたことが、厚生労働省より発表された。過去の受賞は、ホンダ、ソニー、リクルートなど大企業の子会社が選ばれることが多かったが、今回初めて教育サービスの関連企業が選出された。
「法令等を遵守し社会的責任を果たすために、障がい者に特別の配慮ができる特例子会社という制度を選びました。障がいのある方でどこまでできるだろうか、という不安の声も社内にありましたが、今では経理入力業務や文書PDF化など事務軽作業の欠かせない戦力として活躍しています。」と、湘南ゼミナール小山人事部長は語る。
「まだまだ試行錯誤の毎日です。受賞できたのは、第一に障がいのあるスタッフのがんばり、第二に特例子会社は経営を維持するための事業であり、長期的に見守るという経営陣の理解と協力があったからです」と、障がい者雇用の現場に立つ、湘南ゼミナールオーシャンの前山マネージャーは説明する。
同社は身体、知的、精神の三障がいの中でも雇用対策が最も遅れている精神障がい者を中心に雇用をおこなっている。「精神障がい者は1年以内の離職率が6割と言われていますが、弊社では1年以内で離職した社員はおりません。障がい者に活躍し続けてもらうためには、障がいに対する理解に加えて、一人ひとりの特性を見極め、長所に合った配置を行い、意欲を引き出し、成長を促し続ける現場力が必要です。教育の現場ノウハウを持っている塾業界は、障がい者の育成、定着に向いている人材が多くいるのではないでしょうか。」と前山氏。
障がい者雇用について、「本業に追われて進まない」と頭を痛めている経営者も少なくないだろう。教育サービス業の障がい者実雇用率は上昇しているものの、1.51%(全業種平均1.82%)と全業種中でワースト2位となっているのが実情だ。障がい者雇用に特化した特例子会社を設立している塾などの教育サービス企業はまだ数社しかない。来年には改正障害者雇用促進法や障害者差別解消法が施行される。障がい者雇用という、業界全体に問われる課題解決策の一つとして、今後も同社をはじめとする特例子会社の動向を見守っていきたい。