巻頭言
毎年実施されている「全国学力・学習状況調査」(全国学テ)のデータを、我々が利用することに、実質的に制限がかかっている。
政府が収集する公的統計は、「統計法」により、学術研究への活用範囲が定められている。「統計法」で「統計」に分類されるものは、一定の手続きを経ることにより、「個票」の提供を受けられる。ここにまず一つ目の落とし穴がある。
「全国学テ」は、「統計法」に於ける「統計」に当たらないのである。総務省のウェブサイトに「統計調査には、意見・意識など、事実に該当しない項目を調査する世論調査などは含まれません」とある。そう、「全国学テ」では、子どもや親の意識調査も実施しているためだ。
次に、二つ目の落とし穴である。各自治体に対し、情報公開請求をかければ、データを入手できる。しかし、全国の自治体の数を考えると、実質的には相当難しい。
更に加えて、提供されるデータはCSV形式にさえなっていない。昔ながらの固定長テキストなのだ。これでは、仮に全国の自治体からデータを得ても、分析できるように加工するまでに、長い期間と多くの人員を要す。とてもではないが、現在誰もが行う、ビッグデータ解析が不可能なのである。
「全国学テ」実施には、50億円以上が投入されている。2015年度予算において、財務省が切り出した35人学級から40人学級への学級規模の変更で削減できる予算は、86億円だ。
国民が活用できないデータ収集のために、無駄な費用を費やしているものである。
(如己 一)
目次
- 82 白書界隈徘徊話 西村 克之
- 90 為田裕行の「教育ICT行」
- 6 教育ICT考 2015 Spring
- 16 挑む私学
神戸女学院中等部・高等学部 - 19 目次・巻頭言
- 20 NEWS ARCHIVES
- 44 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
- 45 【特集】2015首都圏・近畿圏中学入試分析
中学受験率アップ! 難関校からの脱却?
今年の中学入試に何が起きたのか - 58 TOP LEADER VisualVisionグループ インタビュー 代表 井沢 隆氏
- 66 新しい塾のカタチ【鼎談】産学官が切り拓く教育の未来
- 72 教育サービス業界 企業研究(31) 株式会社フェイオレ・コネクション
- 75 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(256)
- 76 疾風の如く(69)
京進スクール・ワン高津教室(神奈川県)
教室長 守谷 英信さん - 78 challenge~進化形jukuのカタチ(30)集団個別進学塾 ガクシン
- 80 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(21)
- 84 自ら動き出すチームにする方法(7) 中谷彰宏
- 86 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(21)
- 87 芸術見聞録(21)
- 88 中学生からの子育てスクランブル(37)
- 89 クロスワードパズル「塾長の机」
- 91 塾長の新刊
- 92 高嶋哲夫の「塾への応援歌」(最終回)
- 94 林明夫の「歩きながら考える」(116)
- 96 咲かせよ桜(7) 小林哲夫
- 100 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(24)
- 103 論点2015(4) 本当に「手引」なのか? 学校統廃合
- 106 編集後記
- 108 Book Review
- 110 塾長のためのガジェット講座