筑波大学付属病院(茨城県つくば市)の小児病棟「けやきの森」は、入り口の壁いっぱいに森と動物たちが描かれ、自動ドアには大きな木の絵。中に入ると、廊下の壁は雲を思わせる掲示板やリスや鳥のシルエットで飾られ、森の小道の雰囲気を醸し出す。芸術を取り入れた病棟を演出したのは芸術専門学群の教員や学生ら。2012年の新棟「けやき棟」建設を機に、病院の医師らと協力して実現した。芸術と医学、両方の研究分野を抱える筑波大ならではの試みとなる。
公益社団法人全国学習塾協会(安藤大作会長)は、台風19号が近づく10月13日(月・祝)、仙台市のメトロポリタンホテルで「塾の日シンポジウム2014 in 仙台」を開催した。九州や沖縄からの航空便が欠航となり出席できなくなった参加者も数名いたようだが、全国から約170名の学習塾関係者が集まり盛会となった。第1部の塾の日記念式典では、自主基準遵守塾の表彰、読書作文コンクール優秀作品の表彰に続いて、仙台白百合女子大学・人間学部の山口榮一教授が「学習塾講師検定は何をめざすのか」について講演をおこなった。
山口教授は「塾の講師も学校の先生も、子ども達に学ぶ楽しさ、わかる面白さを伝えることが大切」だと訴えた。また「自己肯定感(Self Esteem)を高めるためには、まず「自己効力感(Self Efficacy)」と「自尊感情(Self Respect)」を醸成することが重要」とも話し「塾はいまや学校を補完する存在としてのみならず、学校の先生方を支えるパートナーとして、日本の子ども達を育ててまいりましょう」と語った。
第1部の締めくくりに、多賀城市にある大沼学院の大沼信雄塾長が「仙台宣言」として、東日本大震災の発生から3年7ヶ月が経ち、今なお津波と原発事故の爪痕が残る被災地において、そこに生きる人たちは悲しみを乗り越え、前に進むべく復興への努力を続けており「私たち学習塾は21世紀を生きる日本の子ども達を育てる教育の一端を担っているものと自負している…(中略)…だからこそ、子ども達のより高い学習能力を育てるとともに、極限状況の中でも失われることがなかった『日本の心』を、未来に向けて持ち続ける子ども達を育んで行くことを決意する」と述べた。
第2部では、拓殖大学国際学部の呉 善花(オ・ソンファ)教授を招いて「いま未来に、日本人の心」をテーマに基調講演がおこなわれた。これからの日本はどこに進むのか、子ども達をどう育てていくのか、土台から見つめ直し、未来への原動力にするため、韓国から誤解されている日本、日本が誤解している韓国について90分にわたって熱意を込めてシンポジウムに参加した全国の学習塾関係者に語りかけた。
東京私塾協同組合が主催する「第10回 親と子の私立・都立 中学高校受験相談会」が10月12日(日)、東京・渋谷のエクセルホテル東急で開催された。この相談会は10月5日に小平市のルネ小平レセプションホール、同12日に渋谷エクセルホテル東急、19日に八王子の京王プラザホテルの3つの会場で開催された。この相談会には、東京都内の都立高校ならびに私立中高のほかに、千葉県や島根県、北海道や高知県の学校も合わせ91校の中学校および高等学校がブースを構え、来場者は受験に関することのみならず、普段の学校生活や独自の取り組みなどについて直接相談した。
今年は、3箇所でおよそ2000人あまりの受験生とその保護者らが参加したといい、12日の渋谷会場では、朝日学生新聞社との共催で「東京の部」として今年初めて実施された「ニュース作文コンクール」の表彰式もおこなわれた。
東京の部・作文コンクールの選考委員長を務めた、日本教育ペンクラブの中山登会長(武蔵野塾塾長)は「応募のあった196作品はいずれも政治、自然災害、環境問題、スポーツ、芸能などさまざまなニュースを題材に、子ども達の多岐にわたる関心を見事に文章に表現して、ニュース作文としての構成に工夫を凝らした作品も多く、各塾での熱心な作文指導が感じられた」と語った。
小学生の部で最優秀賞となった「セルモ目黒本部教室」に通う6年生の大滝野々花さんは、8月に発生した広島の土砂災害をテーマに、環境破壊の進む地球のメッセージを伝えた。大滝さんは今回の受賞を機に「地球からのメッセージを多くの人たちに伝えることができて良かった」話した。中学生の部で最優秀賞に輝いた練馬区の「のびのび学習教室」に通う乾市乃さんは、詩人の谷川俊太郎さんが朝日小学生新聞などで「いじめ」を題材にした詩を書き、読者の小・中学生の詩と合わせて紙面に掲載され、それが本となって出版されるという企画に賛同して、今回のコンクールに応募した。乾さんは「年齢や性別に関係なく、言葉を綴るだけで自分の気持ちを伝えることの出来る〝詩〟に感動してこの作文を書こうと思った」と詩の持っている力について伝えたかったと話した。
「ニュース作文コンクール」は、2013年から東京、神奈川、埼玉、茨城の私塾協同組合連合会と「朝日小学生新聞」や「朝日中高生新聞」などを発行する朝日学生新聞社と共同開催されているもので、朝日小学生新聞・朝日中高生新聞の中からテーマを見つけ、400~800字の作文にする。今年から「親と子の私立・都立 中学高校受験相談会」の開催に合わせて「東京の部」が新設されたという。
この「親と子の私立・都立 中学高校受験相談会」は、次回2015年からは新たに千葉県に近い東京東部にも会場を設け、4会場で開催されることになるという。