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物価高における貯金の実態調査を実施、20代の約半数が貯金額100万円未満に ネストエッグ調査

 貯金アプリ「finbee(フィンビー)」を開発・運営する株式会社ネストエッグ(東京・千代田区、田村 栄仁 代表取締役)は、10月17日の「貯蓄の日」にちなみ、「貯金・お金」に関する調査を実施。(調査期間:9月27日~9月29日)貯金額、貯金目的の経年比較、コロナ禍前後で増減した支出、行動規制緩和後に増やしたい支出、お金に関する価値観、行動について世代別に調査した。

■調査結果トピックス
​2020年から比較すると全体では300万円以上の合計額が43%から49%となり6pt増加。
2021年-2022年比較では、20代の貯金額が減少。40代~60代では300万円以上の貯金が増加。20代の約半数が100万円未満の貯金額に留まった。
物価高による家計支出割合の高騰により、特に若年層において貯金に回せる額が減少していることが要因か。
20代の「旅行貯金」が全世代で最も減少、5割ダウンした一方、「趣味・嗜好」は増加。
全世代で貯金目的における「資産運用」の割合が増加。30代、50代は約2倍の結果に。
今年に入って増えた支出として、物価高の影響がダイレクトに現れる「食費」増加が全体で5割に上った。また昨年から値上げが続いている「光熱水道費」も4割強が増加したと回答。
今年に入って減った支出には、「旅行」「外食」「交際」「被服」が上位を占める。「外出・人との交流」をまだ控えている様子が反映される結果に。
加えて、20代、30代の「貯金」支出が減少。値上げ・物価高の影響から家計支出が多くなり、若年層において貯金に回す余裕がない傾向が出ている。
1ヶ月の平均貯金額は2万8076円。21年度の貯金額は4万3252円。月次貯金額が昨年比2万円以上減少。
お金に関する価値観(将来重視派、現在重視派)は、2021年時は「どちらでもない」が最多だったが、2022年は「将来重視派」が最多に。将来への不安が強くなり、「今を楽しむことを我慢しても、将来のためにお金を貯める」意識が強まっていることが伺える。
現役世代(20代~50代)では「ポイ活」が貯金を増やす手段として定番化。特に30代には圧倒的にポイ活が人気で、半数以上の54%が行っている。また、現役世代すべての年代で約25%が「不用品を売る」ことで現金を得て、貯金を増やしている。フリマアプリの普及などリユース市場の拡がりが見てとれる。

■調査結果詳細(2021年~2022年比較)

世帯貯金額の推移


・20代は100万円以下が9pt増加(38%→47%)、300万円以上が8pt(62%→54%)減少。
・20代の約半数が100万円未満の貯金額に留まった。300万円以上の貯金額が減少していることからも、物価高の影響により若年層の間で貯金に回せる額が減っていることが伺える。
・40〜60代は300万円以上の貯金額割合が増加。特に50代の500万円〜1000万円は大きく増加している(8pt増の20%)

貯金目的について
・全体で「生活費」「資産運用」が3pt増加、「旅行」「住宅購入」が2pt減少。
・全世代で「資産運用」が増加。収入が伸び悩むなか、資産を増やすことへの関心の高さが伺える。特に30代、50代は約2倍の結果に。
・20代で「旅行」が最も減少(▲6pts減の8%)。30代以外は全世代で減少していることから、旅行需要の本格回復まではまだ時間がかかるものと思われる。

貯金方法について


・「銀行の自動積立・定期預金」が最も多く、次いで「口座移し替え」「投資運用」が人気。
・20代の6.3%が「貯金アプリ」を活用して貯金している。

目標金額を達成するための貯金ルール(世代別比較)


・「先取り貯金」「500円玉貯金」「不用品を処分する」が前世代で人気。
・30代40代は「不用品を処分する」が「500円玉貯金」を上回っており、フリマアプリの普及などリユース市場の拡がりが見てとれる。
・また30代は、「推し貯金(※1)」「歩数貯金(※2)」「365日貯金(※3)」「カレンダーの数字貯金(※4)」といった、エンタメ性があり、自分の趣味・嗜好に合わせたルールでコツコツ貯める貯金をしている人が多い。

※1.推し貯金:
好きなアイドルやキャラクターなどが活動をしたときに、推しへの気持ちを貯金する貯金
※2.歩数貯金:1,000歩歩く毎に100円貯金など歩いた歩数に連動して貯金
※3.365日貯金:1~365までの数字から1日1回、好きな数を選んで同額を貯金
※4.カレンダーの数字貯金:1日は1円、2日は2円というように日にちに合わせて貯金

1か月の月収と項目別費用(世代別比較) 
・全体で平均月収が約2万5000円(2万4765円)減少。
・世代別では3世代(30代〜50代)が減少、2世代(20代、60代)は上昇。
・月毎の平均貯金額は2万8076円。21年度の貯金額は4万3252円。月の貯金額が昨年比2万円以上減少。

▼世代別月収比較

▼2022年度支出内訳

(項目別費用の定義)
・日用品費:被服費、医療健康費
・余暇費:交際費(家族以外との外食含む)、趣味にかかるお金(旅行は除く)
・その他:交通費、通信費、教育費

物価高が強まった今年(22年)と昨年(21年)を比較して支出が増えた項目(世代別比較) 
・全世代共通で、1位が「食費」、2位が「水道光熱費」という結果。
・物価高の影響がダイレクトに現れる食費の増加が全体で5割に上り、また昨年から値上げが続いている光熱水道費も4割強が増加したという結果となった。

物価高が強まった今年(22年)と昨年(21年)を比較して支出が減った項目(世代別比較)
・ランキング上位が「旅行」「外食」「交際」「被服」など、まだ「外出・人との交流」を控えている様子が反映される結果となった。
・20代、30代では「貯金」が減少。値上げ・物価高の影響から家計支出が多くなり、若年層において貯金に回す余裕がない傾向が出てきている。

今後、増やしたい項目(世代別比較) 
・現役世代(20代~50代)すべてで「貯金」が1位。家計支出があがっているなかで、家計不安から貯金意欲が高まっている。
・支出が減った項目1位だった「旅行」が2位。時流的にも家計的にも我慢が続くなか、「旅行」への意欲は高いことが伺える。

貯金を増やすために(お金を有意義に利用するため)におこなっていること(世代別比較)
・現役世代(20代~50代)ではポイ活がお金を増やす手段として定番化しており、特に30代には圧倒的に人気で、半数以上の54%が行っていた。
・フリマアプリの普及などで、現役世代(20代~50代)のすべての年代で約25%が「不用品を売る」ことで現金を得て、貯金に回している。
・30代以上では、「衝動買いを抑える」人が4割以上いた。
・SNSで増加しているお金に関する情報発信を、特に20代が積極的に活用。
・キャッシュレス決済の利用率は全年代で約3割だが、一番利用率が低かったのはデジタルネイティブ世代の20代であった。

■調査概要
・調査期間:2022年9月27日~9月29日
・調査方法:インターネットリサーチ
・有効回答数 1,000名(全国、20~60代男女、各性年代200名ずつ)

■会社概要
会社名:株式会社ネストエッグ
所在地:東京都千代田区麹町5-7-2 MFPR麹町ビル7階
代表者:代表取締役社長 田村栄仁
設立:2016年4月1日
URL:https://finbee.jp/company/
事業内容:貯金・決済サービスの企画・開発・運営

今年度はじまった「金融教育」 高校生の満足度は 80.7%

「グローバルファイナンシャルスクール」以下略:GFS(東京・港区、市川雄一郎 校長)は、金融教育の授業を受けた、全国の高校生 502 名にアンケートを行った。
 今年度から高校家庭科で必修化された金融教育。高校生の金融教育への満足度は 80.7%と高評価の一方、 18 歳成人にともない、自分名義で契約できることには 45.4%が抵抗を感じていることがわかった。

・高校生の金融教育に対する評価は全体的に高い傾向

・ 取り上げられたテーマ、最多は「金融トラブル」 最少は「資産形成」

・ ローンやクレジットカード、携帯電話など、18歳成人にともない自分名義で契約を
結べることに抵抗がある高校生は 45.4%

・ 18 歳になったら自分のクレジットカードを作りたい高校生 63.7%

・ 金融教育を受けて、資産形成に「早速取り組んだ」高校生は 7.8%
取り組みの最多は「ポイント運用」、次いで「株式投資」「ポイント投資」「仮想通貨」

・ 学校以外で、資産形成などを学ぶ環境に「ぜひ参加したい」高校生は 14.3%、
「興味がある」は36.1%

調査概要
 調査方法: インターネット調査
 調査対象: 金融教育の授業を受けたと回答した、全国の高校生の男女
 調査期間: 2022 年 9 月 16 日〜9 月 23 日
 有効回答: 502 名

■調査結果詳細
・授業に対する高校生の評価は全体的に高い傾向に
 ― 満足度は「満足」「やや満足」 計 80.7%。
 ―「わかりやすかった」「まぁまぁわかりやすかった」 計 77.5%。
 ― ためになったと「とても思った」「思った」 計 87.9%。

 金融教育のわかりやすさについては、「わかりやすかった 」が 22.7%、 「まあまあわかりやすかった 」が 54.8%と、高校生の 4 人に 3 人がポジティブな回答をした。
 ためになったか、については、 「とても思った」が 36.9%、「思った」が 51.0%となり、満足度は「満足」 が 28.5%、「やや満足」が 52.2%と、どの質問も約 8 割の高校生がポジティブな回答を選んでいる。

取り上げられたテーマ、最多は「金融トラブル」
 金融庁が公表している指導教材をもとに、金融教育でどのようなテーマを取り上げたかを聞いたところ、 「金融トラブル」(67.3%)が最も多く、次いで「お金を“使う”こと」(50.2%)、「お金を“借りる”こと」(49.0%) が取り上げられた一方で、「お金を“貯める・増やす”こと(資産形成や金融商品について)」は最も少ない回答となった。

・ローンやクレジットカード、携帯電話など自身の名義で契約を結べるようになることに抵抗がある高校生は 45.4%
 お金に関する契約が成人となる 18 歳でできるようになることに、半数近く(45.4%)の高校生は抵抗があるようだ。特に今の高校生はいきなり成人年齢が近づいたと感じる世代でもあり、余計に戸惑うことも多いと予想している。

・18 歳になったら自分のクレジットカードを作りたいと考える高校生は 63.7%
 お金に関する契約に抵抗感を持ちながらも、63.7%の高校生は自分のクレジットカードは「作りたい」と回答した。一方で抵抗のある高校生は「親と相談して決めたい」(25.9%)となった。

金融教育を受けて、資産形成に「早速取り組んだ」高校生は 7.8%最多は「ポイント運用」、次いで「株式投資」「ポイント投資」「仮想通貨」
 金融教育を受けて、7.8%(32名)の高校生が、資産形成に「早速取り組んだ」と回答した。また「取り組みたいと思わなかった」と回答した人は 17.1%にとどまり、8 割以上の高校生は金融教育を受けて、いつかは投資に取り組んでみようという考えを持ったこともわかった。

 「早速取り組んだ」と回答した 32 名が実際に取り組んだ内容も聞いたところ、一番多く回答されたのは「ポイント運用」(53.8%)となりました。
 次いで「ポイント投資」「仮想通貨」「株式投資」が多く選ばれたほか、その他の取り組みにも満遍なく回答が集まっており、その行動力や興味の高さが伺えた。

グローバルファイナンシャルスクール(GFS)は資産形成の教育の浸透を目指す、金融オンラインスクール。 数多くの講座数を誇り、生徒数を伸ばしている 。

PTAで非効率だと思うこと1位は「会議のために学校に行くこと」

 はたらく現場のコミュニケーションツール「LINE WORKS」を提供するワークスモバイルジャパン株式会社(東京・渋谷区、増田 隆一 代表取締役社長)は、PTA役員経験者435名を対象に「PTA活動に関する意識調査」を実施した。

 ワークスモバイルジャパンは2021年より、PTAやNPO法人をはじめとする非営利団体の活動支援を目的として「非営利団体向け特別プラン」を提供している。全国各地のPTAに「LINE WORKS」が導入されるなか、PTA会員の方々がどのような悩みを抱えており、それに対してオンラインコミュニケーションツールがどう貢献できるのかをより深く知るため、調査を実施した。

【結果サマリー】
PTA活動で非効率だと思うこと1位「会議のために学校に行くこと」
PTA会議方法、57.5%が学校でのオフライン開催。オンラインミーティング活用は42.5%
90.3%がオンラインミーティングにメリットを感じると回答
メリットと感じることTOP3は、1位「会議の日程調整がしやすい」2位「参加できない罪悪感を感じなくて済む」3位「情報共有が早い」
オンラインミーティング活用者の50.9%が「効率的なPTA活動ができている」と回答
対して、オフラインのみで会議をする人では33.1%(17.8ptの意識差)

調査結果詳細
①PTA活動で非効率だと思うこと1位「会議のために学校に行くこと」
 所属するPTA組織の運営において非効率だと思うことを聞いたところ、「会議のために学校に行く事」が48.0%で最も多い結果になりました。2〜6位は僅差で、「PTA一般会員への連絡・通達(情報共有)」35.9%、「お便りや議事録などの紙資料の作成・印刷」35.6%、「会議やPTA活動の日程調整」35.2%、「PTA役員・委員どうしのコミュニケーション」34.7%、「次期PTAへの引き継ぎ」34.3%と続いた。

②PTA会議方法、57.5%が学校でのオフライン開催。オンラインミーティング活用は42.5%
 所属するPTA組織の会議方法を聞いたところ、57.5%が「学校でのオフライン開催」と回答。一方、33.3%が「オフラインとオンラインの両方で行う」、9.2%が「全てオンライン開催」と回答し、合わせて42.5%がオンラインミーティングを活用しているという結果になった。

③90.3%がオンラインミーティングにメリットを感じると回答
 メリットと感じることTOP3は、1位「会議の日程調整がしやすい」2位「参加できない罪悪感を感じなくて済む」3位「情報共有が早い」
 PTA会議でオンラインミーティングを活用していると回答した方のうち、90.3%がそのメリットを感じていることがわかりました。具体的には、「会議の日程調整がしやすい」が47.0%で最も多く、次いで「参加できない罪悪感を感じなくて済む」37.8%、「情報共有が早い」35.1%という結果になった。

④オンラインミーティング活用者の50.9%が「効率的なPTA活動ができている」と回答
 対して、オフラインのみで会議をする人では33.1%(17.8ptの意識差)
 所属するPTA組織が効率的に活動できていると思うかを聞いたところ、オンラインミーティング活用者のうち、6.5%が「とても効率的」、16.8%が「効率的」、27.6%が「やや効率的」と回答し、合わせて50.9%が「効率的なPTA活動ができている」という結果になった。対して、オフラインのみで会議をする人では、4.8%が「とても効率的」、10.0%が「効率的」、18.3%が「やや効率的」と回答し、合わせて33.1%が「効率的なPTA活動ができている」という結果になり、オンラインミーティング活用者と比較して17.8ptの差があった。

■ 調査概要
・調査エリア :全国
・調査実施期間:2022年7月22日(金)~2022年7月25日(月)
・調査対象者 :直近3年間において、PTA組織の役員に従事していた方 435名
・調査方法  :インターネット調査

出生数 1~6月 初の40万人割れ コロナ下で婚姻減

 厚生労働省は8月30日、2022年上半期(1~6月)の出生数(速報)が38万4942人(前年同期比5・0%減)だったと発表した。上半期で40万人を割り込むのは、2000年以降では初めてとなる。少子化が進んでいることに加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う婚姻数の減少や妊娠控えが響いた。
 22年1~6月の出生数は前年同期から2万87人減った。新型コロナの感染拡大の影響がまだ軽微だった20年1~6月からは4万5767人(10・6%)減少している。

トモノカイ調査 今年度必修の「探究」 教員の約5割「生徒の質問に答える時間や人脈ない」

 株式会社トモノカイ(東京・渋谷区、徳岡 臣紀 代表取締役社長)は、文部科学省初等中等教育局視学官として新学習指導要領作成に携わった國學院大人間開発学部初等教育学科の田村学教授と共同で、今年度から高等学校で必修となった「総合的な探究の時間(以下、探究)」の指導について全国の高等学校の教員360人を対象に実態調査を行った。探究を教えていて感じる課題は、約5割の教員が「生徒からの質問に答えるために情報を調べる時間や、大学の研究室などに問い合わせるネットワークがない」と答えた。
■調査概要
調査対象:全国の高等学校で「探究」を指導している教員
調査期間:2022年7月14日~7月28日
調査方法:インターネットリサーチ
有効回答数:360サンプル(うち「探究」の指導経験があるのは301人。トモノカイによる「探究」のサポートを受けている教員は調査対象外)

■調査結果① 約5割「生徒の質問に答える時間や人脈ない」
「探究」の指導経験がある301人のうち、「探究」を教えていて感じる課題で最も多かったのは「生徒からの質問に答えるために情報を調べる時間がない」で23%だった。次いで22%が「生徒からの質問に答えるために大学の研究室などに問い合わせるネットワークがない」と答えた。「生徒からの質問に答える方法がわからない」も5%いて、教員だけで生徒の質問に答えることに負担を感じる教員が多いことが明らかになった。

■調査結果②  4割超が「教員同士で指導法を検討」
「探究」を教えていて感じた課題をどのように解決しようとしているかという質問には、43%が「教員同士で指導法を検討」と最も多く回答が集まった。「指導法をレクチャーするセミナーに参加」は22%いたものの、「塾や指導の専門機関を学校に招き勉強」は4%のみで、専門家などに指導のアドバイスを求めながらも学校の中でのサポートは限られていることが明らかになった。


■調査結果③  最も希望するのは「学生による学習サポート」
 学校の通常の授業以外で生徒の探究学習をサポートするとしたら、どのようなことに取り組みたいかという質問には、「放課後の教室で学生が生徒の学習をサポートする」が最も多い34%で、「放課後の教室で教員が生徒に補習指導を行う」(31%)を上回った。「探究の副教材を生徒に配布する」も15%で、教員が指導する以外の方法を希望する教員が多いことがわかった。

 今回の調査経て、國學院大學の田村教授は、「多くの高等学校が「総合的な探究の時間」に対して、前向きに取り組もうとしていることが分かりました。具体的な校内研修などは組織内で解決しようとしていることも明らかになりました。これからは、学校外の組織の知見を活用することも必要ではないかと考えます。また、多様な生徒の課題にどのように対応するかについても、多くの教師が不安を感じている姿がデータから垣間見えてきます。探究においては、生徒の学びを支え、ともに伴走する姿勢が大切であるとともに、そうした生徒のニーズに対応するためにもさまざまな外部リソースを活用することを検討していくことが求められます。確かな探究の実現のためには、学校だけで対応しようとするのではなく、地域社会や企業、大学などとの連携を積極的に行い、「社会に開かれた教育課程」を実現しようとする姿勢が重要になるのではないかと思います。」とコメントした。

 トモノカイ採点アウトソーシング事業統括マネージャー吉田裕典氏は「生徒が設定する「探究」のテーマはAI、数学、法律、医学など新しい技術と専門知識を必要とするものが多く、3年ほど前から、先生方の時間不足や専門的な質問への対応の難しさなどから探究活動へのサポートに関するお問い合わせをいただくようになりました。授業外の時間で1人の先生が個々にテーマの異なる20人の生徒にフィードバックをするなど、非常に大変な状況にあるとうかがい、今回の調査結果によりあらためてそのような悩みが多くの学校に広がっているということがわかりました。弊社では先生方の抱える課題にあわせて、専門性が高い学生の力を集めて生徒の悩みや疑問に答えることで探究活動に伴走しています。民間企業が学校の外からサポートすることも一つの選択肢にしていただくことで、先生方の負担軽減に少しでも貢献できればと考えています。」とコメントを残した。

「FLENS School Manager」保護者のアプリ活用状況を調査

 保護者の80%以上が週2日以上、さらに約40%が週4日以上もアプリにアクセス。 事務連絡以外の情報到達率は「73.4%」と高水準であったことが判明。

 FLENS(フレンズ)株式会社(東京・港区、大生隆洋 代表取締役)は、同社が提供する「FLENS School Manager(以下、FSM)」が、同サービスの目指す「塾生保護者のファン化」を狙えるコミュニケーションアプリの現状を把握するため、2つの調査を実施し、その結果を発表した。

■調査1 塾生保護者は、1週間に何日間FSMのアプリを開いているのか
 保護者のアプリ活用状況を調査するため、2022年7月3日~7月16日の2週間でアプリを開いた日数を集計し、データ分析を行った。(※2022年7月31日時点で生徒登録されており、期間内に1回以上のアクセスがある保護者を対象)
 調査の結果、アプリを週2日以上開いている保護者は80.1%、週4日以上開いている保護者は41.2%、さらに週6日以上開いている保護者は9.0%となった。子供の通塾日に入退室状況の確認などでアプリを開く他、通塾日以外にもアプリを開いていることがわかる。日常的にアプリを開いている1割程度の保護者は「ロイヤルカスタマー化」している可能性もあり、FSMの目指す「塾生保護者のファン化」が適っている成果であると考えられる。

■調査2 事務連絡以外の「高校情報」「イベント告知」「コラム」などの情報系配信は、どの程度見られているのか
 FSMは、本部や校舎からの事務連絡以外に「高校情報」「イベント告知」「コラム」などの情報配信にも活用されているため、その到達状況調査を行った。
 2022年6~7月に配信された情報のうち無作為に抽出した6本を調査対象とし、延べ配信先は51,849件、延べ既読数は38,039件、既読率は73.4%という数値が判明した。この高い情報到達率から、事務連絡以外の各種お知らせもFSMのアプリ特徴である「タイムライン形式」の仕様により、保護者の安心感や満足度をあげる情報の配信、説明会・紹介キャンペーンでの活用、保護者も巻き込んだマーケティング施策などにも貢献できるサービスであると考えられる。

「FLENS School Manager」は、2020年からFLENSがサービス開始したスマートフォン向けの学習塾コミュニケーションアプリ。お知らせ配信、入退室通知、ポイント付与、ライブラリ、請求額通知、コンビニ収納、メッセージ、映像配信など、学習塾と保護者・生徒の接点をデジタル化し『ファン化』を促進する内部広報を支援するアプリ。また、従業員向けのタスク管理機能も備わっており、コミュニケーション管理と社内業務管理を一体化したシステムで、業務効率化と、既存利用中の複数ツール・サービスを一本化し、大幅にコスト削減が期待できるプラットフォーム。
URL :https://flens.jp/

「そら塾」保護者に向けたオンライン学習時の通信環境に関する調査を実施

 株式会社スプリックス(東京・豊島区、常石 博之 代表取締役社長)が運営するオンライン個別指導塾「そら塾」は、保護者に向けてオンライン学習時の通信環境に関する意識を調査した。「そら塾」の保護者652名を対象にアンケート調査を実施した。
 今回の調査では、オンライン学習時の通信環境に不満を抱いている保護者はわずか約11%にとどまることが判明した一方で不満を持っていると回答した保護者の多くは回線速度の遅さに課題を感じていることがわかった。

【調査概要】調査対象:そら塾の保護者652名(有効回答数)
調査機関:株式会社スプリックス調査(そら塾調べ)
調査手法:インターネット調査
調査内容:オンライン学習時の通信環境に関する調査
実施期間:2022年6月18日~2022年7月4日

• TOPIC1. オンライン学習時の通信環境に不満を抱いているのは全体の約11%
 スマホやタブレット学習が普及し、家庭における通信環境も整いつつあることが判明
 スプリックスが運営する、オンライン個別指導塾「そら塾」では、保護者652名を対象に「オンライン学習時の通信環境に関する調査」を実施した。オンライン学習時の通信環境に満足していますか、という問いに対し不満を抱いていると回答したのは全体のわずか約11%にとどまったことから、家庭学習においてもスマホやタブレットの活用が進み、家庭の通信環境も整いつつあることが伺える。

• TOPIC2. 通信環境に不満を持っている理由第1位は「回線速度の遅さ」
 オンライン学習時における通信環境に不満を持っていると回答した保護者に対し理由を質問したところ、約50%が「回線速度の遅さ」と答え、最も多い結果となった。また、「費用が高いから」はわずか約9%にとどまった。このことから、リアルタイムかつオンライン上でやり取りをする必要があるオンライン学習塾などにおいては、費用面よりも回線の速度を気にする人が圧倒的に多いことが伺える。

• TOPIC3. 通信環境を変更する予定があると回答したのはわずか約1%、一方、約75%は現状維持
 変更する予定がない理由は「我慢できないほどではないから」が最多に
 オンライン学習時における通信環境に不満を持っていると回答した保護者に対し、通信環境を変更する予定について質問したところ、予定があると回答したのは約1%にとどまり、約75%は変更する予定はなく現状の回線を維持すると答えた。その理由として「我慢できないほどではないから」が約35%と最も多く、次いで「最適な通信環境がわからないから」が約28%、「費用がかかるから」が約24%と続いた。
 通信環境への満足度に関わらず、変更手続きが負担、回線への知識が乏しいなどの理由から、通信環境を変更するまでのアクションには至っていない人が多いことが伺える。

2022年版 小学6年生の「将来就きたい職業」 1位は「スポーツ選手」、男女とも人気上昇

 株式会社クラレ(東京・千代田区、川原仁 社長)は、今春小学校を卒業した子どもとその親を対象に、「将来就きたい職業」と「就かせたい職業」のアンケート調査を実施した。
 将来就きたい職業の総合順位は、昨年に続き「スポーツ選手」が1位、女の子の間で人気が急上昇した「漫画家・イラストレーター」が2位となった。10位以内の定番である人気の医療職では、「薬剤師」が8位から5位に順位を上げた。

 
 男の子が就きたい職業の1位は、今年も2位を大きく引き離して「スポーツ選手」でした。2位は「ゲームクリエイター」、3位は「研究者」と続き、今好きなことを極めたいという探求心が感じられる。
 女の子が就きたい職業は、「漫画家・イラストレーター」が初の1位になった。内訳はイラストレーターが8割を占め、活躍の場が広がり、アートとしても注目を集める“絵師”の仕事に憧れる女の子が増えているようだ。そのほか、子どもたちにも身近な教育・医療系の資格職が並んだ。

【調査概要】
・調査期間 2022年1月中旬~3月中旬
・調査機関(調査主体) 自社調査
・調査対象 2022年3月に小学校を卒業した子どもとその親
・有効回答数(サンプル数) 男の子とその親 各518名/女の子とその親 各629名
・調査方法(集計方法、算出方法)インターネット調査

■男の子の「将来就きたい職業」

1位は「スポーツ選手」、サッカーと野球の差縮まる

 1位は今年も「スポーツ選手」で、全職業の中で最も比率を伸ばした。内訳を見ると、サッカーが37.1%(昨年44.7%)、野球が29.5%(昨年23.5%)で、両者の差が10ポイント以上縮まる結果となった。eスポーツは、2年連続で3位となり、子どもが憧れるスポーツに定着してきたと言えそうだ。

2位「ゲームクリエイター」は過去最高順位
「ゲームクリエイター」が2位に入り、過去最高順位となった。コロナ禍でのゲーム需要拡大やeスポーツの人気に加え、プログラミング教育が一般化する中、ゲームの制作という仕事に関心が高まっているようだ。

5位「エンジニア」は人気復活、7位「建築家」は躍進
 昨年9位だった「エンジニア」は、今年5位に順位を戻した。システムエンジニアのほか、ロボット技術者などの回答が見られた。7位「建築家」は「スポーツ選手」に次ぐ伸び率で、昨年の20位から大幅に順位を上げた。

男の子の親は“安定”の「公務員」が圧倒的人気
 男の子の親が子どもに就かせたい職業は、昨年と同じく「公務員」がトップ。4年連続で比率を上げている。

■女の子の「将来就きたい職業」


「漫画家・イラストレーター」が初の1位、イラストレーターが8割

「漫画家・イラストレーター」が、調査開始以来、初の1位となった。内訳を見ると、8割がイラストレーターと回答。日本発のポップカルチャー界で活躍するイラストレーターは“絵師”とも呼ばれ、SNSやネット、ゲームなどで作品に触れる機会が多いデジタルネイティブな子どもたちにとって、憧れの存在となっているようだ。

「スポーツ選手」は圏外から12位に復帰 昨年は20位外だった「スポーツ選手」が12位に復帰した。内訳は、サッカーやバスケットボールなど。世界を舞台に活躍する10代アスリートの活躍も増え、男の子同様、関心が高まっている。

女の子の親も「公務員」が1位に
 女の子の親が就かせたい職業は、コロナ禍で安定を願う気持ちが強まったのか、「公務員」がトップとなった。そのほか、2位「看護師」、3位「薬剤師」、4位「医療関係」といった医療職も、昨年に続き上位となっている。

LINEリサーチ 今年の参院選の認知は約9割 投票する政党や候補者を決める際の参考情報は「政見放送」「テレビ番組/ニュース番組」が上位、年代別では異なる傾向に

 LINE株式会社は、同社が保有する約604万人のアクティブな調査パネルを基盤とした、スマートフォン専用のリサーチプラットフォーム「LINEリサーチ」を運営している。今回LINEリサーチは、日本全国の男女を対象に、今年の参院選の認知率や投票する理由などについて調査をし、その結果を発表した。

この調査結果の詳細はLINEリサーチの調査メディア「リサーチノート」で閲覧できる: https://research-platform.line.me/archives/40453826.html

■今年の参院選の認知は約9割
 調査時点(6/30)で、7月10日に第26回参議院議員通常選挙が行われることを知っていたかどうかについて聞いた。
 全体では、参議院議員通常選挙があることを知っていた人は約9割で、多くの人が、参院選を認知していることがわかった。
なお、「内容や自分の選挙区の候補者についてよく知っていた」と「内容や自分の選挙区の候補者についてある程度知っていた」の、内容を含めた認知(内容認知)は約5割となっていた。

 年代別でみると、参院選の認知は年代が上がるにつれて高くなり、60代以上では99%とほとんどの人が認知している結果となった。内容認知の割合も、60代以上では6割超と高くなっている。一方で、18-19歳、20代では、参院選の認知は約7割、内容認知の割合は3割前後にとどまった。

■投票する理由、しない理由は?予定がわからないとする人の理由とは?
 調査時点(6/30)において、今回の選挙に投票する予定がある人に、投票する理由を聞いたところ「有権者の義務だと思うから」がもっとも高く5割弱、次いで「有権者の権利だと思うから」が約4割となった。一方、投票する予定がない人に、投票しない理由を聞いたところ「支持したい候補者がいないから」が3割強、次いで「支持したい政党がないから」が3割弱と続きました。
 年代別で特徴的だった点としては、18-19歳の層では「住民票がある場所に住んでいないから」が、投票しない理由の1位となった。

 また、投票する予定がまだわからないという人に、その理由を自由記述で回答してもらった。
「誰に投票するかまだ決めていない」「詳しく調べていない」といったまだ情報収集中という回答や「行けるかわからない」「仕事がある」といった予定がみえないという回答が多くみられた。

<投票する予定はまだわからないと回答した人の理由(一部抜粋)>
・候補者の情報収集をまだしていないから(兵庫県/30代女性)
・まだ候補者等見ていないので見た上で投票するか判断したい(神奈川県/20代女性)
・越してきたばかりで立候補者の特徴などが分からない(東京都/18-19歳男性)
・その時の仕事の予定次第(静岡県/40代男性)
・予定が入っているので、時間的に行けるかどうかわからない(大阪府/50代女性)
・妊婦なのでいつ投票所に行けるか不明、間に合えば期日前投票(神奈川県/30代女性)
・気が向いたら行く予定(愛知県/40代女性)
・一度も選挙の投票に行ったことがなく、いまいちよくわかっていない為(千葉県/女性20代)

■今回の参院選で重視したい政策は「年金・社会保障」が1位、年代別では違いがみられる結果に
 各政党の公約や争点としても話題にあがる政策や分野。今回の選挙ではどういった政策・分野を重視したいと思うか聞いた。1位は「年金・社会保障」となり5割弱。次点は昨今の物価高でも注目される「経済・財政」、「景気・雇用」と4割台で続いている。

 年代別でみてみると、重視したいと思う政策・分野は大きく違いがみられる。
「教育」は18-19歳でもっとも高く3割超でしたが、全体では上位に入っていなかった。また、「子育て・少子化対策は」18-19歳から40代までの年代で5位以内に入り、30代では1位で5割を超えた。
 全体1位となった「年金・社会保障」は40代以上で2位となり、50代以上では1位、60代では6割を超え、2位以降とも大きく差をつける結果となった。なお、全体で2位となった「経済・財政」についてはすべての年代で3位以内となった。

 男女別では、女性は「福祉・介護」「医療」が男性に比べ高く、男性は「外交・安全保障」を重視する傾向がみられた。

■「政党/候補者のマニフェスト(公約)」が投票する政党や候補者を決める際の重視点
 今回の参院選に限らず、ふだん、選挙で投票する政党や候補者を決める際にどういった点を重視しているかどうか聞いた。すると、「政党/候補者のマニフェスト(公約)」がもっとも高くなり4割超となった。次いで、3割台後半で「政党への信頼」が続く。

 特に60代以上で「政党への信頼」や「候補者/所属する政治家の人柄」が高い割合となった。

■投票する政党や候補者を決める際の参考情報は「政見放送」「テレビ番組/ニュース番組」が上位
 続いて、投票する政党や候補者を決める際の参考情報について聞いたところ、「政見放送」が約3割ともっとも高く、次いで「テレビ番組/ニュース番組」「新聞」が2割台となった。しかし、年代別でみると傾向は異なった。
 全体では上位となった「政見放送」や「新聞」は、年代が上の層で顕著に高くなった。その一方で、18-19歳から30代の層では、選挙の「ポスター」や「政党/候補者からのSNSによる情報発信」が高くなっている。なお、5位以内には入らなかったものの20代以下では、「政党/候補者の動画チャンネル」や「政党/候補者のアカウント以外のSNSや動画チャンネル」なども参考にする傾向がみられた。

【調査について】
LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査
調査対象:日本全国の18~79歳男女
実施時期:2022年6月30日~7月1日
有効回収数:2493サンプル
※性別年代構成比を市場にあわせてウェイトバック
「LINEリサーチ」公式サイト:https://www.linebiz.com/jp/service/line-research/

国立科学博物館 筑波実験植物園内の花粉輸送ネットワークの解明

 独立行政法人国立科学博物館(篠田 謙一 館長)の田中法生研究主幹(植物研究部多様性解析・保全グループ)は、堀内勇寿博士(研究当時:筑波大学博士後期課程3年、国立科学博物館特別研究生)、上條隆志教授(筑波大学生命環境系) との共同研究により、筑波実験植物園内のハナアブ類による植物花粉輸送ネットワークを解明し、この研究成果を論文発表した。この中で、筑波実験植物園外の一部の外来植物が保全植物の繁殖に影響を及ぼす恐れがあることなどを明らかにした。

研究のポイント

 筑波実験植物園において、園内に生息するハナアブに付着する花粉を解析し、ハナアブ-植物間のネットワークを解明した結果、筑波実験植物園外に繁茂する外来植物セイタカアワダチソウやセンダングサ類が、園内の花粉輸送ネットワークで最も優占していることが明らかになった。これは、園内で栽培保全される植物の花粉輸送に影響を与え、繁殖上の問題を引き起こす可能性があることを示している。今後、植物園内だけでなく、周辺の外来植物を含めた環境管理も重要であることが示された。

 植物園における栽培植物の生育域外保全について、送粉者による花粉輸送を介した繁殖を視野にいれた評価と環境構築の指針を示すための新たな保全展開につながる研究。

 同研究成果は植物園のポリネーターガーデン(送粉生物を保全するための植栽地)としての潜在的機能の創出に資する研究成果であり、植物園の新たな価値を、都市環境の持続的利用の観点からも見いだす契機になると期待ができる。

研究の背景

 近年、二次的な生物の生息場としての都市緑地の機能が注目されている。送粉昆虫の保全を目的に採餌場を創出するポリネーターガーデンは都市緑地を用いた生物保全の試みの一つであり、植物園はその花資源の豊富さ、都市域に設置される立地的な観点から、副次的にポリネーターガーデンとして機能しうると考えられる。そのため、植物園では花粉輸送の促進による植物集団の健全性の維持、または栽培種間での交雑等の観点から、適切な保全を行うための植物-送粉者のネットワークを把握する必要がある。 植物園環境では植栽種の位置特定が容易であり、送粉者による花粉輸送距離を明らかにできるという利点があるため、送粉生態学的な研究に適した調査地でもあり、植物と送粉者の双方の保全にとって有効な場でもある。しかし、植物園環境において客観的に植物-送粉者の関係をモニタリングする方法は確立されていない。この研究は、 筑波実験植物園のポリネーターガーデンとしての評価方法の探索のために、 送粉昆虫としてハナアブを用いた。ハナアブは、1) 送粉に重要な種、2)豊富な存在量、3)ジェネラリスト訪花者(広範な植物種に訪花する性質をもつ)、4)異種花粉の運び手、5)高い移動性、6)トラップによる捕獲の容易さ、というモニタリングに適する特性を持つ。そこで、筑波実験植物園内に生息するハナアブを捕獲し、そこに付着する花粉のDNA配列情報から植物種を同定する(DNAバーコーディング)ことで、園内の花粉輸送ネットワークや送粉パターンの解明を目指した。

研究の内容

〈方法〉
2018‐19年(9月下旬‐11月初旬)に、国立科学博物館筑波実験植物園内にて小型粘着トラップを用いて、ハナアブ類の採集を行いました。ハナアブの体表付着花粉は、顕微鏡での観察に基づき分類し、各花粉種につき1花粉粒ずつDNAを抽出後、 核DNAのITS, 葉緑体DNAのrbcL, trnL-F領域の塩基配列を決定した。国内外で集積された塩基配列情報データベースとの相同性検索および筑波実験植物園内の開花植物種を考慮して花粉の植物種を同定した。このデータを基に、採取したハナアブ個体と花粉種のネットワークを構築した。また、植物種の位置が特定可能な場合はハナアブ類のトラップ位置からの距離を算出し、植物園内の景観要素との関係性を解析した。

〈結果〉
ハナアブ類の体表から、116分類群(種または属)の付着花粉が検出されました。個体レベルでの花粉輸送を表すネットワークは2年間ともに、類似した構造を示した。特に、筑波実験植物園敷地外に由来する外来の2種セイタカアワダチソウとセンダングサ属種は最も多くのハナアブ個体に付着し、付着確率は園内中心部ほど増加した。さらに、植物-植物間においても外来種がネットワークの中心にあった。また、潜在的な送粉経路は園内中心の開放域に集中しており、異質性のある開放環境では送粉距離が短くなった。

〈考察〉
筑波実験植物園において、ハナアブ類は、様々な花資源を利用していたことが明らかになる一方で、花粉輸送ネットワークにおいて、園内には生育しないセイタカアワダチソウなどの外来種が優占しており、園の中心部に近いほどこれらの花粉付着確率が上昇した。これは、筑波実験植物園外に生育する外来植物が、園内の保全植物に異種間花粉輸送をもたらすことにより、繁殖上の問題を引き起こす可能性があることを示している。また、花粉輸送を介したハナアブ類の移動経路が筑波実験植物園の中心の開放域に集中していることや異質性のある開放環境では送粉距離が短くなることから、植物園の環境管理により、保全植物間の送粉をコントロールできる可能性が示された。以上から、植物園内だけでなく、周辺の外来植物を含めた環境管理が、植物園の植物保全に重要であると考えられる。

研究成果から得られた社会的意義、今後の課題と期待

 外来種は、生物多様性保全において最も重要な課題の1つとなっており、これまで、外来種による在来種の生育環境の圧迫、在来種との交雑などの問題は多数の報告がある。この研究により、周囲に生育する外来種さえも植物園内の花粉輸送ネットワークの中で優占し、潜在的に影響を及ぼしうる可能性があることが明らかになった。これは外来種問題の新たな側面として、今後に重要な課題を提示することになる。植物園は、生育域外保全を担う主たる機関であることから、問題の警鐘を先導的に行う必要がある。

 植物園は植物多様性保全の拠点であり、野生環境とは異なる生育域外保全環境を構築している。この環境の中での植物-送粉者間の関係を把握することは、繁殖も考慮した生育域外保全の今後の指針提示に繋がると期待できる。

 植物園を含め、都市環境に点在する公園などの緑地は、送粉生物を保全するための“ポリネーターガーデン”としての機能も期待される。ポリネーターガーデンの科学的な概念構築は世界的にも未熟だが、国立科学博物館では、この研究に加えて、皇居や附属自然教育園での機能評価研究を進めることで、都市緑地の域外保全環境およびポリネーターガーデンとしての機能認知を促すとともに構築のための指針を提示できると考えている。

 今回はハナアブを介した花粉輸送ネットワークに着目したが、他の送粉者を含めた花粉輸送ネットワークを明らかにすることで、より適切な保全戦略を構築することが期待できる。