2014年5月時点で小中一貫教育を実施する学校は全国に1130校ある。中でも小中学校の施設を一体にした学校は、06年に東京都品川区が作った「区立日野学園」を皮切りに全国へ拡大した。日野学園は他学区からの入学希望者が多く例年抽選を実施。大阪府箕面市が11年度に開校した施設一体型の「市立彩都の丘学園」は、当初71人だった児童生徒数は、直近では7倍以上の509人に増えた。こうした一貫校は人口減や少子化の進んだ過疎地や都心部に多い。新設なら再編統合に伴う反対が少なくなるといった側面もあるようだ。
2015年4月、公立としては全国初の全寮制男子校として開校する鹿児島県立楠隼中学・高等学校。鹿児島県立としても、はじめての併設型中高一貫教育校でもある。特徴的なのは、中学、高等学校それぞれ、県内だけでなく全国から生徒を募集しているところにある。
中学校への出願はすでに締め切られた(2015年12月20日現在)が、定員60人に対して259人の志願者があった。志願倍率は4.32倍で、259人のうち県外からの出願が110人と4割以上を占めている。
高等学校では、現在、志願者は募集中(同日現在)で、前期入試(定員は45人)の出願期間は1月5日から9日まで、入試日は2月4日、試験科目は国数英と面接になっている。試験会場は東京、大阪、福岡、鹿児島、同校の5会場で受験でき、遠方に住む受験生への配慮もある。また、後期入試(定員15人)もあり、鹿児島県の他の公立高等学校と同一日程(2015年3月5日~6日)・内容で実施する。
楠隼が開校する鹿児島県肝付町は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の内之浦宇宙空間観測所があり、同校はその地の利を活かし、宇宙分野の教育や海外企業・大学と連携した宇宙航空に関する課題研究「シリーズ宇宙学」というカリキュラムを設けている。同校に寄せられる期待の高さは、11月22日に行われた新設寮の見学会・体験授業に、全国から約600名の参加者が集まったことからもうかがえる。当日はJAXAの名誉教授である平林久氏を迎え、「シリーズ宇宙学」の体験授業などを実施し、同校の教育の一端が紹介された。また、宇宙だけでなく、寮内で東進ハイスクールの学習コンテンツが利用できるなど、難関大学の入試対策にも力を入れている。
全国には同校と同じように県内だけでなく、県外からも生徒を募集している学校はいくつかある。例えば島根県の島根県立隠岐島前高学校も寮を完備することによって県外からの入学生を受け入れる『島留学』のシステムをつくっている。
これらの背景には、少子化の影響で過疎化が進んでいる地方特有の問題がある。同校の取り組みは、全国から生徒を集めることによって、地域の活性化も期待される。
しかし、公立校が県外の生徒を集めることへの疑問の声もある。確かに公立の「私学化」という声が挙がっているのも事実だが、全ての公立校がこのような施策を採るわけではない。僻地であってもそのような新たな試みに取り組む学校が公立でできることは、日本の教育界の活性化にも繋がるのではないだろうか。
学校法人片山学園(富山県富山市、片山浄見理事長)は12月8日、富山県内初の私立小学校「片山学園初等科(仮称)」を、射水市戸破の同市小杉庁舎跡地に設立する計画を発表した。小学校は、約1万44平方メートルの敷地に6階建ての校舎と3階建ての体育館を建設予定。1学級20人の少人数教育で、各学年は2学級40人。全校で12学級240人とする。校長には、片山学園の設立母体である学習塾「富山育英センター」の原本幸一・教育本部総括部長が就任する予定。2018年4月開校を目指し、初年度は1年生(定員40人)のみを募集する方針。
世界で活躍できる人材を育てようと、小1から英語を週5時限(1時限45分)設け、卒業時には英検2級の取得を目指す。授業は、全学年で平日6時限、土曜4時限。教科ごとに専任の教師が担当する。小6の期末試験の結果を考慮するが、卒業後は原則、片山学園中に進学できるという。
射水市の太閤山ランドや富山市ファミリーパークなどと連携し、屋外での課外活動も積極的に取り入れる。また、放課後に校内でピアノやそろばん、書道などが習えるようにし、学童保育の役割も担う。希望者が入れる寮も併設し、全国から児童を募集するという。片山学園は、富山市東黒牧に中高一貫校を設置している。富山市内で会見した片山浄見理事長は「射水市から情熱的なお誘いがあり、決心した」。周囲に野球場やサッカー場、図書館などが充実していることを挙げ、「環境も抜群に素晴らしい。市の活性化、人口増に貢献し、文教地区として発展できるようにがんばりたい」と話した。いずれは近くに総合大学を設置する構想も明らかにした。
学習塾の経営コンサルティングなどをおこなうエース教育総合研究所(青木清理事長)が主宰する「第42回 青木経営フォーラム」が、11月16日(日)から11月18日(火)の3日間にわたって、沖縄の塾や学校を会場に開催される。
初日の16日は、若干20歳で英語塾を立ち上げ、生徒80名からスタートした予備校が一次は生徒数が5000人規模を誇る予備校へと成長し、その実績を見込まれて廃校寸前の私立学校(550名の定員に対して50名の応募者しか見込めなかった)沖縄尚学高等学校・附属中学校を県内有数の進学校に築き上げた体験について、名城政次郎理事長に講演していただく。同校は、沖縄県で戦後初となる現役東大合格をはじめ、旧帝大、県外国公立大、難関私大、県内の琉球大や私大にも多数の合格者を輩出するとともに、スポーツの分野でも柔道や高校野球で全国制覇を果たしたことで文武両道の指導に定評がある。
さらに、進展するグローバル化に対応できる教育「国際バカロレア(IB)認定校」について、副理事長の名城政一郎氏が講演する。そして初日を締めくくる特別講演では、沖縄尚学野球部を春夏13回の甲子園出場に導き、春の選抜大会で2回の全国優勝を果たした野球部監督の比嘉公也氏が自身の経験をおおいに語る予定だ。
翌17日には、2015年に創立40周年を迎える津田塾を訪問し、後田多純寿塾長から「津田塾の教育理念と教育方針」について講演をしていただく。その後、2012年に開学し安倍内閣の地域活性化の起爆剤として、科学技術分野での取り組みが注目される沖縄科学技術大学院大学(OIST、恩納村)を視察する。
3日目の18日は、会場をワールド進学予備校(那覇市安里15−2)に移し、「これからの塾業界の展望」をテーマにした塾経営特別セミナーがおこなわれる。この特別セミナーでは、「勝ち残る塾の5つのキーワード」をテーマに『月刊私塾界』編集長の山田未知之が話しをするほか、「迫り来る教育のICT化時代の『切り札』」についてFLENS株式会社の大生隆洋代表が講演する。また、クロージングセミナーとして、エース教育総研の青木清理事長が「『退塾防止作戦』で利益を3倍に増やす方法」について語る。
津田塾の教育理念と経営方針を語る 塾長 後田多 純寿氏
科学技術に関する卓越した教育研究を行うことによる、沖縄の自立的発展と日本および世界の科学技術の向上に寄与するOIST。安倍内閣の地域活性化の起爆剤として、科学技術分野での取り組みが注目されている。
講師:『月刊私塾界』
編集長 山田 未知之
講師:FLENS株式会社
代表 大生 隆洋氏
講師:エース教育総合研究所
理事長 青木 清氏
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