東京大が16年度入試から導入する推薦入試は、ペーパーテスト一辺倒だった試験から「面接での人物重視」「勉強以外の活動実績」の内容で、従来型の“受験秀才”以外の学生を獲得するのが目的だ。京都大が同じく16年度から導入する特色入試は受験科目に偏らない高校での幅広い学習を重視する一方、医学部医学科では一定の条件を満たせば高校2年でも出願できる「飛び入学」を認めるなど、「世界に通用する傑出した人材」を求めているのが特徴だ。
佐賀県武雄市は学習塾「花まる学習会」(さいたま市)と提携し、来年度より市内11の小学校のうちの2、3校において同会の教材や教育方法を導入していく。契約期間は10年。実際の授業をおこなうのは武雄市の教員で、野外で思考力と人間力を育てる「青空教室」に関してのみ同会の社員を派遣して授業を実施する予定。
提携のきっかけは公教育の停滞感を打開したい武雄市の桶渡啓祐市長が、人間力を育成する、受験塾とは一線を画した同会の理念に共感したため。花まる学習会の高濱正伸代表も「金銭的余裕がないと良い教育が受けられない時代。教育の機会を均等にするためにも、公教育との連携はチャンスがあればやってみたいと思っていた。また、特定の塾に儲けさせていいのかという批判もあるが、武雄市の仕事に関しては、交通費・教材実費等以外の報酬は出ない」と語る。
高濱氏は、花まる学習会が公教育に関わることによって、生徒の学力を上げることがファーストステップとしているが、それはすぐに実現可能だという。それ以降の短期的な目標としては、いい教育を提供することで武雄市の人口増を図ること。そして長期的には生徒の人間力を上げ、保護者を安心させるとともに、武雄市から幕末の志士のような人材を輩出していきたいとしている。
「これからは塾が公教育を支える時代。私たちがモデルを示すことで、日本中の塾が地元の学校に積極的に関わっていき、各地域から官民一体の動きが加速していけば」と全国への波及を期待している。