京都大は7月8日、世界トップレベルの大学がインターネットで講義を無料配信するオンライン教育機関「edX(エデックス)」を通じて4月から配信していた授業で、成績が上位だった国外の6人を招待、来日したと発表した。6人はベトナム、ラトビア、セルビア、ペルー、米国、フィリピン出身の10~20代の大学生や社会人で、エデックスで上杉志成教授の授業「生命の化学」を英語で受講。ミニテストや宿題の評価が、世界中の受講者約1万9千人の中でトップクラスだった。
FD(ファカルティ・ディベロプメント)という言葉をご存知だろうか。ファカルティとは大学の教員組織のこと、ディベロプメントとは能力開発を意味し、「教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称」(文科省)と定義されている。
学生母数の減少・国際競争力強化の必要性に伴い、各大学はFDセンターを設置して積極的に教育の質向上を図っているが、一般的には教員相互の授業参観や研修強化などが行われることが多い。
そのような中、龍谷大学が7月4日(金)に開催(於・龍谷大学深草学舎)したのは、大学と付属校が合同で中学・高校入試市場のトレンドを分析し、「高大連携」を深めて教育の質向上のカギを探ろうという、興味深いFD事例だ。
この日講演者として招かれたのは、緻密なデータ分析に基づき、関西圏の中学受験トレンドに詳しい株式会社エデュケーショナルネットワークの藤川享氏と、大胆な学校改革で同大付属平安中学校の入学者数を3年で約3.5倍に押し上げ、合理的な進学校化で大学合格実績向上をマネージメントする校長補佐の平井正朗氏。
両氏によると、関西私立中高受験市場の人気校には、一定の傾向があるという。それが、大学進学という「出口保証」だ。中高受験者は、受験時すでに「大学」を見据えており、そのニーズに応える教育の質向上はFD的観点からも欠かせないといえよう。
特に附属中高を持つ大学においては、関関同立への進学が保証されるこれらの直系附属校と、併設大学への進学をセーフティネットとしつつ、それ以上の大学進学も期待できる「半附属校」が人気を二分していると両氏は分析する。龍谷大と付属平安高校は後者に当たるが、このポジショニングを両者で共通認識として持ち、より緊密な連携を続けていくことを確認しあっていた。
塾においても、FDは注目しておきたい要素だ。FD活動の内容を見れば、その大学が今後どこに力を入れたいのかが見えてくる。生徒への進路指導の判断材料として重要な情報源となるだろう。