教育関連企業が学童保育事業を拡大する。ベネッセホールディングスは今後15カ所まで施設を増やす。市進ホールディングスも拠点を増設。明光ネットワークジャパンは15年度内に現在の3倍の約10カ所にする。やる気スイッチグループホールディングス(東京・中央)はフランチャイズチェーン(FC)方式を中心に学童保育の開設数を7年間で500カ所と現在の10倍にする。栄光ホールディングスは16年度に現在の3.5倍の約25拠点にする。学童保育の潜在需要は約40万人。教育各社は児童の囲い込みにつなげる。
ソフトバンクとベネッセホールディングス(HD)は11日、学校で使うタブレット端末に宿題や小テストなどを配信する事業を2015年度に始めると発表した。両社が4月に折半出資で設立したクラッシー(東京・新宿)を通じて、サービスを提供する。タブレットを持っていない学校には販売し、すでに授業に使っている学校には配信だけを手掛ける。クラッシーは全国の中高100校にタブレットを無料で貸し出して、授業の出欠管理や授業中の発言内容の記録などに使ってもらっている。これらの学校などに導入を呼びかけていく方針だ。
外部リンク:Classi株式会社 ウェブサイト
代々木高等学校(東京・渋谷区)で11月5日(火)、『子育てシンポジウム』が開催された。シンポジウムのテーマは、現代の若者をどう理解し、どう支援するか不登校、非行、ひきこもり、いじめ、さまざまな困難を抱える現代の若者が何に悩み、何に苦しんでいるのかを理解し、彼らを支える家族や支援者がどのような対応をおこなうべきか。登壇したのは、児童精神科医の佐々木正美氏と伊藤幸弘教育研究所・所長の伊藤幸弘氏だ。
対談を前に、現代の若者の少年犯罪、引きこもり、不登校などの問題について一般社団法人若者教育支援センター代表理事の廣岡政幸氏による説明が行われた。件数でみると現在、「少年犯罪」は減少の傾向にある。しかし強姦などの性犯罪が増えており、犯罪を犯す年齢が下がっている。そして再犯率が増えている状態である。若者教育支援センターへ相談が多いのが全国に70万人いるといわれる「ひきこもり」「不登校」の問題。学生に関わらず成人のひきこもりも増えている状態であるという。
これらを踏まえて対談が行われた。メインテーマである「現代の若者」を伊藤幸弘氏が経験した事例や自身が体験した事など実例を織り交ぜながら問題を探っていった。佐々木正美氏は「少年犯罪」について、非行に走る少年も、ひきこもりも幼少期の頃に愛情をあまり受けていないからで、幼児が親や先生の注意を引こうと悪戯するように現代の若者も注目が欲しくて犯罪を犯している。小さなサインを見逃さずに愛情を伝える事が重要であり、愛情の伝え方は子供の要望を出来るだけ叶えてあげることだという。
そして親の名誉のために育てるのではなく、子供の希望を通し育てる事で信頼関係ができる。その信頼関係を両親から社会に広げる事が重要だと語った。(中略)性犯罪については現代の文明社会では性的な事を社会、文化のなかで一度隔離させます。その隔離中にスキンシップが少なかった子は愛情を求めてかどうすれば良いのか解らなくなってしまう。それは大人になっても同じ事で痴漢などに走ってしまう原因でもあり、乳幼児期のスキンシップがとても大事だと語りかけた。
■佐々木 正美氏
1935年、群馬県生まれ。新潟大学医学部を卒業後、東京大学、ブリティッシュ・コロンビア大学で精神医学を学び、国内で自閉症の理解を広めた第一人者。現在、 川崎医療福祉大学教授、米国ノースカロライナ大学医学部教授を務め、発達障がいの専門家として世界的に知られている。ロングベストセラー の著書「子どもへのまなざし」で知られる通り、子どもの育つ道筋について30年以上にわたり全国各地で講演をする一方、常に子育て中の母 や子どもに関わる人々に対し、寄り添った活動を続けている。
●佐々木正美コラム 響き合う心(ブログ)
●ぶどうの木HP
■伊藤 幸弘氏
1952年 、神奈川県生まれ。さまざまな問題を抱える少年少女とその親たちのカウンセリングなどのボランティア活動を続ける中、5,000人超の相談者と向き合って きた。自身も母を亡くした悲しさから非行に走った過去がある。約30年前に巨大暴走族・総長という経験を経て、その後は、世の中のために 生きることを誓った。現在は、ワンステップスクール×伊藤学校 名誉顧問、愛知県高浜市青少年育成指導員、青少年非行防止ネットワーク理事長を務める。
●伊藤幸弘教育研究所 HP
●ワンステップスクール ×伊藤学校(ブログ)
●代々木高校HP内紹介 ページ
全国の学習塾が加盟し、研修や学校相談会などを開催しているNPO法人 学習塾全国連合協議会(塾全協、後田多純寿会長)は、11月3日(月・祝)、創立40年を記念した全国研修大会を東京・千代田区のアルカディア市ヶ谷で開催した。
今年の研修は東日本ブロック(沼田広慶理事長)が企画し、グローバル人材育成の必要性が日本の教育界に求められるなか、近年諸外国からの遅れが憂慮される日本国内における英語教育の実状に対して、これから先、どのように変えていくべきか、また文部科学省が掲げる「グローバル化に対応した英語教育改革」を見据えてどのように取り組んでいくべきかを考える機会となった。
この日の基調講演は、神田外語大学・言語科学研究科の長谷川信子教授が「コミュニケーション英語から、言語としての英語へ」というテーマで、CEFRが設定する「全体的な尺度」について説明し、中学校学習指導要領の「外国語の目標」が、1980年当時は「外国語を理解し、外国語で表現する基礎的な能力を養う」ことが目標であったのに対して、2002年には「積極的にコミュニケーションを図るため、聞く・話す」ための基礎能力を養うことに変わり、12年には「聞く、話す、読む、書く」の4技能を養うことが目標となったが、「諸外国と比較しても常に後追いで、10年は遅れている学習指導要領に縛られている」と語った。それに対して、コミュニケーションとしての英語が言語としての英語になっているのが実状だと述べ、「言語を使う」こととは現代社会においては「書き言葉」を駆使できることであると結論づけた。
また、話し言葉と書き言葉の大きな違いについては、以下のように紹介し、話せても書くことができて読めるようになるとは限らない。ここには意識的な教育が必要であり、今後は「書き言葉」の重要性がより増してくるという。だからこそ、学習塾にできることについて、長谷川教授は「塾は個別対応、少数教育、国語との連携や教科横断型の指導が可能で、学習指導要領に縛られずに、10年遅れている学習指導要領に先駆けた教育が可能になる」と語った。
続いて、参議院議員の大島九州男氏が、児童生徒の英語学習に関する状況や諸外国における外国語教育の状況について、資料を元に説明したほか、文科省が有識者を集めて開いた「英語教育の在り方に関する会議」でまとめられ、去る9月26日に報告された5つの提言について説明した。
また、来年度から施行される地方教育行政の法律改正にともない、首長が「総合教育会議」を設置できるようになり、各地域で教育委員会と大綱の策定が行われていくため、今後「学校地域支援本部」や「コミュニティスクール」が増えていくといい、大島議員は「民間教育機関の経営者の方々には、有識者としてそういった活動に協力していただきたい」と述べた。
後半は、レインズ・イングリッシュ学院長のランズリー・ドゥハイロンソッド(Ransley Duhaylonsod)氏などによる、効果的な英語学習のポイントについてプレゼンテーションがされ、ジェスチャーなどを交えた「マルチモード(Multimodal)」の指導法などについて、実践的なロールプレイングやディスカッションも含めたプレゼンテーションがおこなわれた。
研修大会の閉会に合わせて、東日本ブロック副理事長の内藤潤司氏は「今後我々は、関わる子供たちが知識を得、知恵に至り、自立した人格を確立し、英語を駆使して国際社会に貢献できる人材となるよう、指導に情熱を傾けることはもちろん、自ら研鑽を積み、努力することを決意する」と大会宣言を述べた。
10月25日、26日の両日、愛知県の野田塾が主催する「全国模擬授業大会」が名古屋市内で開催され、全国からのべ800人の塾関係者が集まった。25日には千種区の吹上ホールで、大会の歴代チャンピオさンによる模擬授業のエキシビションやパネルディスカッションなどのプレイベントがおこなわれた。
プレイベントには、野田塾の濱口将成 先生(英語)、トーゼミの寺本冬樹先生(数学)、野田塾の柴田よし美先生(国語)、練成会の三角健太先生(理科)、創学舎の村田寛之先生(社会)が登壇し、しっかり授業に惹き込む圧巻の模擬授業を披露し、パネルでは日々の授業に向かう際に心掛けていることや、過去の失敗談などを話して会場を沸かせた。
翌26日は、全国17都道府県から21の塾の、腕に自信のあるおよそ100名の講師らが集結し、東区の名古屋中学校・高等学校を舞台に「全国模擬授業大会 in 名古屋」が開催された。国語、数学、英語、理科、社会、ルーキー(新人)の6部門に分かれて予選がおこなわれた。模擬授業では、授業で最も重要とされる「新単元の導入」の部分の授業を15分間おこない、生徒にとって「わかりやすい」「ためになる」「おもしろい」といった点を中心に、生徒のやる気を引き出す工夫がなされている授業かどうかが各教室2名の審査委員によって審査された。
午前中の予選を経て、午後はグランドチャンピオン決定戦に出場する講師を各部門から1名ずつ選抜するために、部門別チャンピオン決定戦がおこなわれた。また、今年度は敗者復活(ワイルドカード)制が導入され、各部門の2位となった講師のうち、1位と2位の差が最も少なかった出場者1名のみが部門別チャンピオン決定戦に進めることになったため、これまで以上に白熱した部門別チャンピオン決定戦となった。部門毎に会場が分かれて行われた決定戦は、いずれの会場も立ち見が出るほどの見学者が詰めかけ、実力のある講師の授業にメモを取ったりビデオカメラを回しながら、熱心に聞き入っていた。
今大会は、例年以上の熱戦が繰り広げられ、国語部門は野田塾の余田真里先生と開倫塾の菅野隆哉先生が同点で部門チャンピオンとなったため、急遽、グランドチャンピオン決定戦に進む1名を決めるためのくじ引きがおこなわれた。そして部門チャンピオンに選ばれた、英語の練成会グループ・瓜田若菜先生、数学の練成会グループ・長内篤史先生、国語の野田塾・余田真里先生、理科のトーゼミ・並木貴弘先生、社会の野田塾・村上友哉先生によってチャンピオン決定戦がおこなわれた。
いずれの先生も、生徒が目の前に居るかのような迫力のある授業を披露し、最終審査がおこなわれた。その間に、ルーキー部門のチャンピオンに選ばれた野田塾の佐藤紀貴先生が、ルーキーとは思えない堂々とした模擬授業を披露してくれた。
総勢26人の審査員による最終審査は難航を極め、グランドチャンピオンの発表は予定していた時間をオーバーしておこなわれた。そして、見事グランドチャンピオンに輝いたのは、練成会グループの長内先生。惜しくも2位となった余田先生との点差はたった1ポイント。長内先生と3位の並木先生もわずか6ポイント差となり、このチャンピオン決定戦がいかに接戦とだったかを物語った。
総評を述べた愛知県私塾協同組合の山田真司理事長は「4回目を迎えた模擬授業大会はイベントではなく、今後は年中行事となっていく。ルーキー達の授業を見せてもらったが非常にレベルが高く、得るものが多かったと感じている。そして世界には教育を受けたくても受けられない人がいます。生徒たちが日々塾に通えていることは当たり前のことではなく、お母さんお父さんのおかげがあってのことだということを、伝えていただきたい。また、先生方がこうして大会に参加出来ているのも、塾を支えてくれている他の先生や経営者のおかげだということを頭の片隅に置いていただきたい」と話した。
また、野田塾の小川英範塾長は、今大会を振り返って「今年もこのように素晴らしく実りのある大会を開催させていただき、ありがとうございました。感動させる授業を披露してくれた先生方、そして授業を見学しながら応援してくださった先生方の姿勢が日々の教育の現場でも活かされていると信じています。教育には公も私もありません。子ども達の幸せと平和のために、参加された皆さんの若い血によってより理想的な教育をめざしていただきたいと思っています」と感謝の気持ちを伝えるとともに、大会を支えた野田塾のスタッフの労をねぎらった。
次回は、開倫塾が主催する模擬授業大会が2015年5月24日に、栃木県の白鷗大学足利高等学校・富田キャンパスで開催される。回を重ねる度にレベルが上がり、熱戦が繰り広げられる模擬授業大会。出場する塾も増え、今後はほかの地域での開催も期待されている。