Category: 塾ニュース|塾・企業

クラウド学習サービス「学研ゼミ」が事前登録を開始

幼児から高校生を対象に、〝熱中できるまなび〟のポータルサイト「学研ゼミ」(http://gk-zemi.jp/)が、7月1日にオープンする。それに先立ち、6月1日から登録受付を開始した。
7月1日から配信されるコンテンツは、無学年制のドリル学習コンテンツ「ワンダードリル」、6冊の辞典と学研ニューワイド学習百科事典が使い放題の「学研デジタル百科事典+(プラス)」、学研や提携会社のアニメーション、「理科の実験動画」、「逆上がりなどの体育動画」などが見られる「学研チャンネル」、「朝日小学生新聞・朝日中高生新聞」と協働し、学研オリジナル記事と合わせて毎日ニュースを配信する「学研ジュニア新聞 話したくなるニュース Powered by 朝日学生新聞社 × 学研」だ。これらは、すべて月額500円(税抜)で利用できる。

「ワンダードリル」のマップ画面

「ワンダードリル」のマップ画面

なかでも注目したいのは「ワンダードリル」だ。ゲーミフィケ―ションを採用し、ドリルの世界にキャラクターとして参加し、仲間と世界を冒険しながら学べるようになっている。トータルプロデュースは、チームラボが担当している。

学研デジタル百科事典+」のトップ画面

学研デジタル百科事典+」のトップ画面

これらに加えて、「宇宙ミッション体験」、「マンガ家体験」などの体験コンテンツ、あるいはスイミングスクールなど異業種とコラボレーションした協業コンテンツも提供される予定だ。これらは、アクティブラーニングを意識したものだが、協業者は、導線コンテンツとしての活用も目論む。
学習塾向けには、7月1日から「学研プライムゼミ」という大学入試対策の映像講義コンテンツを提供する。こちらは、ウイングネット社と協働し、同社のウイングネットを通して配信する。先に挙げたコンテンツの導入はもちろんこと、生徒の進捗度合の管理機能など学習塾での運用を想定したものが多数搭載される。

学研教育アイ・シー・ティーの北居誠也社長

学研教育アイ・シー・ティーの北居誠也社長

株式会社学研教育アイ・シー・ティーの北居誠也代表取締役社長は、「学研ゼミを使った教育ビッグデータの活用も想定している」と言う。そして、学研ゼミについて「学力を氷山に例え、見えている部分を3、見えていない部分を7とすると、我々はその見えていない部分も支援していきたい。そのために、学習記録や読書記録などのログも取ることが可能になっている」と語る。
10月1日には、キッズクラス、図書コンテンツなどを追加し、幼児もフォローした上でグランドオープンする予定だ。

早稲田アカデミーが「Branded Shorts of the Year」アワードを受賞

虎ノ門ヒルズのアンダーズ東京で開催された第1回「Branded Shorts of the Year」のアワード授与式。第1回「Branded Shorts of the Year」のアワード授与式が、6月9日、アンダーズ東京(東京・港区)にて開催された。

Branded Shortsとは、アメリカアカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル & アジア」(SSFF & ASIA)が、日本がアジアにおけるブランデッドムービー(企業などのブランディングの一環として制作された動画コンテンツ)の発信地となることを目指して、新たに立ち上げたプロジェクトのことだ。

「Branded Shorts of the Year ナショナルカテゴリー(国内)」を受賞した、早稲田アカデミーの村瀬厚・広告宣伝部次長。

「Branded Shorts of the Year ナショナルカテゴリー(国内)」を受賞した、早稲田アカデミーの村瀬厚・広告宣伝部次長。

そのSSFF & ASIAが定めた4つの視点(アイデア、ストリーテリング、シネマチック、エモーショナル)に基づき、ノミネートされた国内外のブランデッドムービー28作品の中から「Branded Shorts of the Year」が選ばれた。

「Branded Shorts of the Year ナショナルカテゴリー(国内)」を受賞したのは、早稲田アカデミー『「へんな生き物」篇』。

この作品は、まず母親の視点で子供の行動が映し出される。子供の行動は、母親には意味がわからず、奇妙にしか映らなかった。しかし、ある日子供が宇宙飛行士になると言う。そこから、同じ行動を子供視点で見てみると、奇妙な行動の謎がわかるような仕掛けになっている。

タイトルの〝へんな生き物〟に込めた想いついて、株式会社早稲田アカデミー広告宣伝部次長の村瀬厚氏は、「子供一人ひとりが大きな可能性を秘めた生き物だと思っています。それを応援し、見守るというのが、我々塾の仕事です。また、このムービーをご覧いただいて、子供たちを応援する気持ちを共有していただければ嬉しく思います」と、受賞の喜びを語った。

「Branded Shorts of the Year インターナショナルカテゴリー(海外)」は、ジョニーウォーカーブルーラベル『紳士の賭け事Ⅱ』(イギリス)が授賞。また、「Branded Shorts Special Recognition」(日本の動画マーケティングを牽引してきた企業に贈られる賞)には、ネスレ日本株式会社が受賞した。

「Branded Shorts of the Year」を主催するSSFF & ASIA代表の別所哲也氏。

「Branded Shorts of the Year」を主催するSSFF & ASIA代表の別所哲也氏。

授与式の最後に、SSFF & ASIA代表の別所哲也氏は、「子供の不可思議、そして大人の冒険心、様々なものが描ける。そして人の心を動かす。それがBranded Shortsです」と選考理由を話した。

当日は、授賞式の他、ネスレ日本によるショートフィルム活用事例やショートフィルム『Life is』(監督:レスリー・キー氏)の上映、「動画マーケティング」に関するパネルトークも実施された。

外部リンク:「早稲田アカデミー「へんな生き物」篇

個性的な塾とは何か? 塾教育研究会30周年記念の会が開催

塾教育研究会(JKK)の「30周年記念の会」が、5月29日、中央大学駿河台記念館(東京・千代田区)にて開催された。

皆倉宣之代表

皆倉宣之代表

まず、「塾教育の過去・現在 そして未来への展望」をテーマに皆倉宣之代表が、基調講演をした。「塾の実態は、ものすごく複雑になってきている」と、皆倉代表は語る。また、「現在、個人事業のような塾は淘汰されてきており、チェーン塾のようなものが隆盛している。また、ICTの進歩によって、塾業界以外の業種が参入してきている」と分析する。そういった現況を背景に、ICTの利活用、塾と公教育、子供の貧困、世界情勢などを例に挙げ「これまでの塾ではとても生き残れない」と続けた。

参加者同士のディスカッションの時間も設けられた

参加者同士のディスカッションの時間も設けられた

続くパネルディスカッションでは、仲野十和田氏(ナカジュク代表)、金原伸充氏(秀峰スクール代表)、林マキコ氏(青藍学院教室長)、高田康太郎氏(株式会社keys代表取締役社長)の4人がパネリストとして登壇した。ナカジュクの飛鳥井郁枝氏と稲穂塾の平林一之氏がモデレーターを務め、「個性的な塾ってなに?」をテーマに、議論が繰り広げられた。
パネリストらによる、自塾の取り組みをはじめ、学校や会社の強みをお互いに議論する時間も設けられ、意義深い内容となった。

布浦万代副代表

布浦万代副代表

最後に、布浦万代副代表(ひびき)が、昨年7月にジュネーブにある国連欧州本部にて、「古代日本女性の社会進出と知的財産」をテーマに行った講演の報告をした。

布浦副代表は、万葉集に収められている6名の女性天皇の和歌にフォーカスして、女性天皇、あるいは当時の日本女性の活躍を講義し、「ハイテクの日本なのにも関わらず、歴史、文学といったものを非常に大事にしている。そのことに感銘を受けた方が多くいた」と述べた。

今年、創立30周年を迎えたJKKだが、創立当時とは社会状況が大きく変わり、塾を取り巻く環境も大きく変化した。皆倉代表は、講演の中で次のように語った。「塾というのは、学校教育から離れて何かをやろうとしても、親のニーズがなければ成り立たない。それを踏まえ、学校教育を越える教育というものはないのか、それがJKKがこれまで考えてきたことであり、これからも考えていきたいと思っている」と語り、「今後もJKKは新しい塾や新しい教育の在り方を見据えて活動していく」として、会を締めくくった。

クレオ キャンパスが「自然体験×英語×サイエンス」をテーマに、名門大学に通う優秀な留学生と学ぶサマーキャンプを開催

株式会社エデュリンク(東京・渋谷区、北山雅史代表)が運営する小学生、中学生対象の学習塾「CREO  CAMPUS(クレオ キャンパス)」は、キュリオジャパン株式会社株式会社二期リゾートとの共催で、小学生を対象にした「グローバルキッズキャンプ in 那須」を開催する。

アート・ビオトープ那須

アート・ビオトープ那須

同キャンプは、小学生4・5・6年生対象に、二期リゾートが運営する宿泊施設「アート・ビオトープ那須」にて、2016年7月25日~28日の3泊4日で、世界各国の優秀な留学生とともに、自然体験、異文化、サイエンスを楽しみながら学ぶ。引率する留学生スタッフは、東京大学で海洋生物学を研究しているコロンビア人留学生をはじめ、東京工業大学に通う様々な国籍の留学生。

大自然の中で異文化やサイエンスを楽しみながら学べる

大自然の中で異文化やサイエンスを楽しみながら学べる

参加費は、73000円(税抜、交通費別)で、申し込みは、クレオキャンパスのウェブサイトで6月30日まで受け付ける。クレオ キャンパスでは、このグローバルキッズキャンプを皮切りに、英語による理科実験や、プログラング学習といった、留学生たちの特技を生かした多彩なプログラム「グローバルキッズキャンパス」を定期的に開催していくという。

背泳入江 日本初五輪仕様50億円プールで練習公開

競泳男子背泳ぎ日本代表の入江陵介(イトマン東進)が、所属先が東京都多摩市に総工費50億円かけてオープンした「AQiT(アキット)」で練習を公開した。

リオオリンピックの出場が決まっているイトマン所属の入江陵介選手、中村克選手、塩浦慎理選手、山口美咲選手らも出席したAQiTの完成披露式典

リオオリンピックの出場が決まっているイトマン所属の入江陵介選手、中村克選手、塩浦慎理選手、山口美咲選手らも出席したAQiTの完成披露式典

 

同施設は民間では日本初の五輪仕様公認競技用プールという触れ込みで5月24日に開場した。水深は3メートル、五輪と同じオメガ社製のスタート台が設置された全8レーンの長水路(50メートル)で、水中や天井に配された計37台のカメラで撮影された映像は、プールから上がることなく、大型画面で即座に見ることができる。

 

AQiTの外観

多摩センターに完成したAQiTの外観

 

黒、赤、青のペンを片手に、授業力を競う

授業を行う森﨑先生2016年度Q1グランプリが、5月13日に開催された。このQ1グランプリは、神奈川を中心に関東圏で進学塾、予備校を展開する湘南ゼミナールの模擬授業大会である。
今回で4回目を数えるQ1グランプリの決勝に残ったのは、地域の予選を勝ち上がった7名の講師たち。チャンピオンを目指して、それぞれのQE授業を披露した。
QE授業は、湘南ゼミナールオリジナルの授業で、QEは、「クイックエクササイズ」の略。この授業の特徴は、テキストを使わず、先生が生徒に直接問題を出し、生徒に考えさせるところにある。そして、先生は一問ごとに必ず挙手確認などで生徒の理解度を見極め、理解度に応じて次の問題を出す。生徒が能動的に考える機会を作ることで、学力だけでなく生徒の生き抜く力を引き出すことが狙いにある。
決勝戦を戦った7人の先生たち(優勝トロフィーを持っているのが森﨑先生)Q1グランプリのルールは、12分間の持ち時間の中で、講師各々が考案したオリジナルQE授業を、生徒役の講師に向けておこない、審査員の審査によってチャンピオンが決まる。
そして、7名の精鋭たちの中からチャンピオンに輝いたのは、宮崎台教室の森﨑重盛先生だ。森﨑先生は、過去すべての決勝に残ったが、あと一歩のところで優勝を逃していた。しかし今回、4回目にして念願のチャンピオンとなった。
算数・数学を担当する森﨑先生は、今回、小学5年生の単元である分数の割り算の授業を行った。分数の割り算について、図などを用いて概念から丁寧に教えた。問いかけは絶妙で、生徒たちが自ら答えを導くように工夫された、見事な授業であった。
優勝トロフィーをかかげる森﨑先生森﨑先生が普段心がけていることは、〝教えないこと〟だそうだ。生徒が、自分自身で答えに気づけるように常に心がけ、授業をおこなっている。そして、必ず〝褒める〟と言う。何よりも生徒に自信をつけてもらうためだ。
また、Q1グランプリは、授業力を競う場であると同時に、他の先生の授業方法を学び、共有する場でもある。つまり、先生各々の授業力を底上げできる絶好の機会となっている。
森﨑先生は、
「目の前にいる生徒を大事にした授業をしたいです。それを若い先生にも少しずつ波及させていきたいと考えています。そういった意味で、Q1グランプリはいい機会だと思います」と、最後に語ってくれた。

日本初のiPad用電子辞書アプリ「語句楽辞典」が登場 主要9辞書のほかに問題集が付いたプレミアム版もリリース

セイコーソリューションズ株式会社は、日本初のiPad用電子辞書アプリ「語句楽辞典」の提供を始めた。電子辞書に定評のある同社が開発した語句楽辞典は、収録されたすべての辞書から一括検索をしたり、よく使う辞書だけを選んで効率よく検索することもできる。

「語句楽辞書」高校生用の画面

「語句楽辞書」高校生用の画面

辞書には高校生用と大学生用のパッケージがあり、高校生用のスタンダード版には、英語が4種(エースクラウン英和辞典 第2版、ルミナス英和辞典 第2版、ルミナス和英辞典 第2版、オックスフォード現代英英辞典 第9版)と国語が5種(デジタル大辞泉、全文全訳古語辞典、全訳漢辞海 第三版、新明解四字熟語辞典 第二版、新明解国語辞典 第七版)の合計9種類の辞書で構成されている。

高校生向けプレミアムパッケージ

高校生向けプレミアムパッケージ

これに加え、プレミアム版には、KADOKAWAのシリーズ累計発行部数150万部以上の実績がある参考書「ぐんぐんドリル」の英単語、古語単語、世界史B、日本史B、政治経済、現代社会、生物基礎、倫理化学基礎、化学の10教科の問題集が付属するほか、英語辞書の小学館 オックスフォード英語類語辞典、ロングマン現代英英辞典 6訂版(音声付き)と大学受験対策をバックアップする生物、物理、化学、古語辞典がパッケージされている。

このほか、英語辞典では例文に対応した音声や、検索結果表示画面から新たに引き直さずに、指定した単語の訳語にジャンプできる機能や、重要語句や覚えておきたい語義にマーカーをして、履歴を一覧表示できるマーカー機能など、電子辞書としての機能を充実させている。

大学生/ビジネス向けプレミアムパッケージ

大学生/ビジネス向けプレミアムパッケージ

大学生用のスタンダード版は、ビジネスシーンにも対応したリーダーズ英和辞典 第3版、リーダーズ プラスのほか、英語が3種(ルミナス英和辞典 第2版、ルミナス和英辞典 第2版、オックスフォード現代英英辞典 第9版)、国語が4種(デジタル大辞泉、新明解国語辞典 第七版、新明解四字熟語辞典 第二版、全訳漢辞海 第三版)の9種類の辞書で構成されていて、プレミアム版には、6つの英語大辞典(ビジネス・実用英語用として、新和英大辞典 電子増補版、新英和大辞典 第六判、ランダムハウス英和大辞典 第2版(音声付き)の3種と、学習英語用として、小学館 オックスフォード英語類語辞典、ロングマン 現代英英辞典 6訂版(音声付き)、プログレッシブ 和英中辞典第3版)を追加収録しており、収録される英語の項目数はおよそ140万語におよぶ。さらに、機械、情報通信、金属、化学、海外企画の専門用語を豊富に収録した理系の技術・専門用語の180万語対訳大辞典 英和・和英と、岩波 理化学事典 第5版、ビジネス技術実用英語大辞典 V5 英和編&和英編、そして本格派国語辞書の広辞苑 第六版も収録している。

提供価格は、これだけのコンテンツが入って8800円(税別)からで、コストパフォーマンスが高い。同製品に関する問い合わせは、加賀ソルネット株式会社 EMカンパニー(TEL.03−5657−0153・Email:acr@solnet.ne.jp)へ。

大阪府教委と株式会社mpi松香フォニックスが、 小学生向け英語学習プログラム『DREAM』を共同開発

大阪府教育委員会と株式会社mpi松香フォニックス(mpi)は、府内の公立小学校向け英語学習プログラム『DREAM』を共同開発した。mpiは、英単語の綴りと音の規則性を学ぶフォニックス学習法を基にした英語学習教材を開発、販売する会社で、公立小・中学校をはじめ、全国約450のmpiパートナー教室や各地の英語スクールなどに導入されている。このプログラムについて、同社の竹村千栄子代表と教育事業部 学校営業推進統括の高塚勝久氏に話を伺った。

mpi

mpi松香フォニックスの竹村千栄子社長          高塚勝久氏

プログラムの開発を終えたそうですが、今後の展開を教えてください。

switch-on竹村 今回の開発は、府の事業に参画し、公立小学校向けの英語学習プログラムを新たに作り出すという、非常に夢があると同時に、大きな責任・使命感を感じるものでした。今後は、大阪府内でのプログラム導入をサポートします。 加えて、共同開発したこのプログラムは、府教委が取り組まれる府内の公立学校以外については、弊社のプログラムとして商品化し、販売することが可能となっております。大阪府教委版が「DREAM」、弊社版は「小学校英語 SWITCH  ON!」(右図)です。この映像教材をできるだけ多くの小学校に活用していただけるよう、活動していきます。

 

このプログラムが及ぼす影響をどうお考えですか?

竹村 多くの方が、今すぐ小学校で英語学習をはじめるのは難しいのでは?と考えていると思います。ですが、府教委がめざす学びのスタイルを、実践研究を通じて見て、「これならできる。」「この方法しかない!」と、感じました。

高塚 最大のポイントは、公教育へのフォニックスの導入だと思います。これまでですと、フォニックスを導入したいと思っても、誰がどうやって教えればいいのかわからないという課題がありました。しかし、このプログラムでは、児童が、できるだけ多くの英語を見て聞いて、自分で気付いていく。先生も児童と一緒に楽しみながら、学んでいく。これが普通にできるのです。公立小学校で、フォニックスに触れながら、英語を学ぶことになると、同じことをしている塾は変化を迫られることになるでしょう。小学校で何が起きているのか、しっかりと把握して、対応を検討していかなければならないでしょう。

竹村 本プログラムの本質は、いうなれば「先生が教えないプログラム」です。この本質を理解していただければ、ご用意したシナリオ案は、あくまでご提案なので、学校やクラス、児童の状況を見ながら、モジュール活動の内容をカスタマイズすることも可能です。こうした高い汎用性も、本プログラムの強みです。

小学校英語への取組みについて、お悩みの学校も多いと思います。このプログラムでその解題を解決し、日本の将来を担う子どもたちの英語学習のお役に立ちたいと考えています。

 

『DREMA』の開発について、大阪府教育委員会事務局 教育総務企画課の中原淳太・教育イノベーション特命グループ参事に聞いた。

中原淳太氏

中原淳太氏

このプロジェクトは、グローバル人材の育成を視野に入れた大阪府の英語教育改革の一環として、小学校1年生からコミュニケーションツールとしての英語にできるだけ多く触れてもらい、英語の4技能をバランスよく習得するための素地を築くことをねらいとするものです。小学校の実態を踏まえ、英語を専門としない学級担任によるモジュール活動で児童の学びを支える仕組みを作るといった野心的な取組みで、府教委の構想をもとに、2014年7月から民間事業者と共同で開発をスタートしました。同年9月からは、府内7市町立の16の小学校で実践研究を開始し、プログラムの根幹となる、「担任による活動」と「同じ学習素材に毎回違った視点で触れ、学びを積み重ねていくラウンドスタイル」について、試行錯誤を繰り返しました。

大阪府内の小学校でのモジュール活動の様子

大阪府内の小学校でのモジュール活動の様子

当初、動画(アニメーション)を見た児童は、シンプルで分かりやすい内容のため、話の大筋をすぐに理解できてしまい、現場から「簡単だ」という声が届けられました。ですが、場面・状況に応じた機能としての表現が習得できたというものではありません。

例えば、子どもが朝起きて目をこすっている場面を見れば、「この子は眠たい。」という場面は理解できますが、そのときの表現(“ I’m  Sleepy.”)と結び付けることがポイントです。このことを念頭に、活動のシナリオ案を6カ年分(全627回分)を整備しました。

また、「プログラム」と呼んでいるのは、6年間の体系的な学びをデザインし、小学校での学びのサイクルとなる学期を単位に、テーマ、ねらいと目標を設定しているからです。これに使用する学習素材の解説を加えた「学びのガイドライン」も作成しました。担任の活動に奥行と深さを提供できればと考えています。

コンテンツは、いわゆる「英検5級相当程度」と言っています。小学生の社会性、価値観等に照らし、触れておくことが望ましいと考える英語を整理すると、概ねこの水準が基本となるということです。毎回10 分から15分の活動を1週間に3回、6年間絶え間なく、積み重ねていくことで、児童は無理なくその多くを吸収できるでしょう。

 

【註釈】『DREAM』の正式名称は、「大阪府公立小学校英語学習6カ年プログラム」、英語名称を「Osaka Program Designed for Real EnglishAcquisition by Modules」としている。その略称・愛称として「DREAM」というパッケージ名称がつけられた。DREAMには、児童が夢や希望を膨らませ、国際コミュニケーションツールとしての英語を使って、自分の夢〝DREAM〟を語ることができるような姿を1つの目標に、小学校での6年間の英語学習をサポートするという意味も込められている。

 

mpiロゴ
〈外部リンク〉
mpi松香フォニックス ウェブサイト
www.mpi-j.co.jp

 

 

学生たちがブランドをデザインする『BranCo! 2015』

『BranCo! 2015』の決勝プレゼンテーションが、3月12日、東京大学駒場キャンパスにて開催された。このBranCo!は、学生のための「ブランドデザインコンテスト」。東京大学教養学部と博報堂ブランドデザインが主催するこのコンテストは、次代の教育を考えるヒントが数多くあった。

ブランドをデザインする

BranCo!は、東京大学教養学部で開講している「ブランドデザインスタジオ」の拡大企画として、対象を東京大学の学生から他大学の学生も参加可能にし、2012年から行われている。

このコンテストは、毎回違うテーマに基づき、ブランディングをし、プレゼンテーションの出来を競う。しかし、ただブランドをデザインするのではなく、博報堂によるセミナーに参加し、〝学ぶ〟時間が用意されている。

また、予選通過したチームは、チーム毎に博報堂のスタッフがアドバイザーとして参加し、協働してブランドを構築し、様々な視点から最終的にプレゼンテーションをおこなうのが特徴だ。

1チーム3~6名の学生がエントリーし、今回は総勢674名147チームが参加した。今回のテーマは、「『学び』に関する新しいブランドをデザインする」。予選を勝ち抜いた4チームが、決勝プレゼンに臨んだ。また、残念ながら決勝に残れなかったチームも、今回の決勝を見届けるべく、多数が参加していた。

乃木坂46もプレゼンテーション

津田大介氏

津田大介氏

プレゼンテーションの合間には、ジャーナリスト/メディア・アクティビストの津田大介氏、女優の鈴木杏樹氏、サイエンス作家の竹内薫氏の講演も行われた。

「メディアの情報を鵜呑みにしないで、主体的に情報を解読する力を身に着けてほしいと思います」と、津田氏は語り、情報の“ギャップ”について語った。

鈴木杏樹氏

鈴木杏樹氏

鈴木氏は、自身の留学経験を踏まえ、その後の人生に大いに影響を与えたことを語った。

「自分の中で、もっとも大切だった時間がイギリスの5年間です。外から日本を見たことによって、日本人というものを意識的にとらえることができました」と語り、海外での暮らしを薦めていた。

竹内薫氏

竹内氏は、現在、未来小学校という株式会社立の小学校の設立に向けて奔走していると言う。英語とプログラミングの重要性を語るとともに、自身の小学校設立のために取り組んでいるリサーチやマーケティング、資金作りなどをもとに、ビジネスの進め方を具体的に語った。

「日本全体として世界に後れを取ってほしくないと思い立ち上がりました。日本全体に波及させないといけない。地方創生を含めて、日本を変えないと意味がないと思っています」と、竹内氏は語った。

プレゼンテーションをする乃木坂46のメンバー

プレゼンテーションをする乃木坂46のメンバー

さらに、サプライズゲストに「乃木坂46」の秋元真夏さん、生田絵梨花さん、伊藤かりんさん、松村沙友理さん、若月佑美さんが登壇。5人はチームとして、プレゼンテーションを行った。

アイドル活動を通じて学んだことから、人々の役に立つアイデアをデザインし、学生同様、アドバイスを受けながら、見事なプレゼンテーションを披露。大いに会場を沸かせた。

アクティブラーニングのひとつの形としても

左から、福田沙季さん、伊藤望さん、大川将さん

左から、福田沙季さん、伊藤望さん、大川将さん

グランプリに輝いたのは、伊藤望さん(神戸大学4年生(当時))、大川将さん(関西学院大学4年生(当時))、福田沙季さん(関西学院大学4年生)のチーム「つくしーず」。

調査をもとに、学びをテストの点数など取るための「手段的学び」と自分を高めるための「自己目的学び」に分類し、前者を後者に変えるためのデザインをプレゼンテーションした。

それを具現化したものが「ノメル」という飴。この飴は、口に入れてからちょうど〝25分で消えるという飴〟であり、学習をする際にこの飴を口に入れて、25分集中して学べるようにデザイン。学びを阻害する時間を測るツールに邪魔されることなく、学びを行えるようにし、学ぶ環境づくりを新しい視点で見事に表現した。

「3週間ぐらいずっと同じことを悩んでいました」(伊藤さん)

「予選を終えたあと、フィードバックをいただいたときに、さらによくするために考えたのですが、前にも後ろにも動けませんでした」(大川さん)

「どこを捨てたらいいのかわからない状態でした」(福田さん)

予選後にアドバイザーから問題点の指摘を受けたときに、大きな壁にぶつかったそうだ。それを乗り越えてのグランプリであり、満面の笑みを浮かべていた。

伊藤さん、福田さんは広告業界に身を置き、大川さんは大学院に進学したそうだ。これからの活躍が大いに期待される。

「BranCo! のコンセプトは、『正解のない問いに挑む』であり、これは今、様々なところで求められていることです。その中で、アクティブラーニング型の授業を、コンテストの形を取り、学生がチームを組んで協働できるようなしくみとして作りました」と、BranCo!を中心になって組織した博報堂ブランドデザイン代表であり、東京大学特任教授の宮澤正憲氏は、その意義について語ってくれた。

プレゼンテーションを行った学生だけでなく、司会をはじめとした運営も学生たちが担っていた。宮澤氏が語るように、アクティブラーニングのひとつの形として、非常におもしろい試みである。このコンテストは、今年度も開催される予定だ。

 

 

受験率上昇、関西圏中学受験市場に明るい兆し

危機感背景に、多くの関係者が出席

エデュケーショナルネットワークの藤川享氏

去る4月21日(木)、株式会社エデュケーショナルネットワーク(以下、EN社)は、大阪にて『2016年度中学入試情報セミナー』を開催。私立中の入試広報担当者や塾などを対象に、同社が集積した直近の関西圏中学入試データから市場傾向を総括しようというものだ。参加者は学校関係者が73校・126名、民間教育事業者は30社・57名。受験生となる12歳人口の減少などを背景にしてか、参加者の多さがその危機感を物語っている。

しかし、中学受験事情に詳しいEN社の藤川享氏が同セミナーで語ったところによると、暗いニュースばかりではないと言う。ここ2年、中学入試の機運は盛り上がりを見せており、受験生数そのものはほぼ横ばいだが、受験「率」は2014年度の8.7%を底に、9.0%(15年度)、9.2%(16年度)と上昇傾向にあるという。

生徒募集成否の二極化、女子校は苦戦

藤川氏の話に熱心に聞き入る参加者ら

藤川氏の話に熱心に聞き入る参加者ら

また、この流れに乗り受験生(入学者)を大きく伸ばした学校もある一方で、大きく定員割れする学校もあるなど二極化が激しいのも近年の傾向、と藤川氏。人気校の共通項として挙げられるのは以下の五点だ。①京阪神大への進学がはっきりイメージできる「難関進学校」。②クラブとの両立も可能で、国公立大への進学も狙える「ソフトに見える進学校」。③関関同立クラスの附属校 ④併設大学をセーフティネットとし、それ以上の大学進学を期待させる「半附属校」。⑤学校改革などで今後が期待できそうな「新進校」。共通キーワードとして見えてくるのはやはり六年後の進路保証であり、中学受験をする保護者層にとって最大の関心であると言えそうだ。

逆に苦戦しているのは、そうした「出口」に対する保証の弱い偏差値五四以下の学校と、進路特性の出しにくい女子校だ。私立の学費を考えたとき、いわゆる「普通の」女子中学校を私立受験するくらいなら、難度的に多少無理をしてでも先述の附属系共学校を狙わせ、ダメなら地元の公立中から上位の公立校を目指そうという傾向が強いと見られる。こうした女子校不遇は当面続きそうで、全国的な共学化が加速する中、関西圏でも次年度からさらに二校の女子校が共学化に踏み切る。参加したある女子校の教諭は「かつては女子校ならではの教育理念や数値化できない強みに魅力を感じてくれる保護者も多くいたが、近年はやはり出口保証がないと厳しい」と複雑な表情を見せた。いずれにせよ、次代のニーズと学校の個性や理念をいかに共存させ、不易と流行の学校改革を進めるかが私立校生き残りのカギとなるだろう。

次回の同セミナーは9月15日(木)開催。17年度の入試要項を総覧する予定だ。