Category: 塾ニュース|教育ICT

教育ICTは、次のステージへ入ったか? 第7回教育ITソリューションEXPO

第7回教育ITソリューションEXPO(EDIX)が、5月18日から20日にかけて開催された。学校や塾・予備校などの教育関係者が、ICTの導入・検討するために数多く来場した。
今回のEDIXには、過去最多の680社が出展。特に目立ったのは、アクティブラーニングを意識した展示だ。ICTを使うことによって、教室に留まらず、遠隔地の学校や企業であっても協働で授業や実習を行え、能動的に学ぶことができるサービスが多く提案されていた。
ヤマハの模擬授業の様子。多くの人が注目していたその中でユニークだったのが、ヤマハ株式会社の提案である。ヤマハは、同社の製品であるボーカロイドを使った〝音楽〟のアクティブラーニングを紹介していた。興味を持った人も多く、開催されていたセミナーも盛況だった。
学びNEXTゾーンには、プログラミングロボットなども展示されていた これらに加えて、今回から「学びNEXT みらいの学びゾーン」という名称で、最先端の学びを提案する企業を集めたゾーンが新設された。
 この学びNEXTでは、STEM教育やプログラミング、人工知能、あるいはVR(仮想現実)などを使った学びが提案されていた。また、理科実験の教材やカリキュラムなどがセットになっている理科実験トータル支援システムなどもあった。
今までは、それまで使っていた教材や設備をただ電子化することに主眼が置かれていた向きがある。しかし、今回のEDIXでは、アクティブラーニングなどの新しい学びに対するICTの利活用法に主眼を置いたサービスや商品も増え、バラエティー豊かになってきた。学びNEXTが新設されたことも大きなトピックであり、教育ICTが次のステージへ入ったと感じさせる内容だった。
 ただ一方で、同じようなものに感じる製品が多くあったのも確かだ。今後、ICTを使うことによって生まれる新しい学びの提案が、使いやすさも含めて、どのようにアップデートされていくのか期待したい。

電王戦 プロ棋士連敗 第2局、山崎八段「完敗」

コンピューター将棋ソフトとプロ棋士が戦う第1期電王戦二番勝負の第2局が5月21、22日の両日、大津市の比叡山延暦寺で指され、後手の将棋ソフト「PONANZA(ポナンザ)」が118手で山崎隆之八段(35)を破った。プロ公式戦「叡王戦」優勝者である山崎八段の2連敗に終わった。過去3回の電王戦は5対5の団体戦で昨年、初めてプロ棋士側が勝ち越した。今年から叡王戦優勝者とコンピューター将棋ソフト大会の優勝ソフトとの一騎打ちに変更された。

300万円研究費支援、年齢制限を撤廃し小中学生や幼児も対象に

総務省は5月17日、ICT(情報通信技術)分野で独創的な研究をする人に最大300万円の研究費を支援している制度を広げ、小中学生や幼児も対象にすると発表した。奇想天外な発想を持つ人を後押しする「異能べーション」という制度で、2014年度に始まった。これまでは中学校卒業以上が条件で、2年間で約1500人が応募。「耳飾り型コンピューター」「全自動お絵かきプログラム」などを研究する24人が支援対象に選ばれたという。

複製の入試問題、データを削除へ 旺文社、法律違反の恐れ

旺文社(東京都)は5月16日、参考書づくりなどのために全国の大学や高校から提供を受けた入試問題をPDFデータに変換し、保管していたのは著作権法上の不備があったとして、関連データを全て削除すると発表した。PDFデータで複製保管したのは、2007年ごろ以降に提供された入試問題。出版物の編集などに必要だとして、原本を破棄してPDFデータで保存してきたが、著作権法上の複製権に抵触する恐れがあると判断した。PDFデータで保管することへの許諾も求めていなかったという。

パナソニックが新型電子黒板

パナソニックは4月25日、新型の電子黒板を5月に発売すると発表した。タッチ型の液晶ディスプレーで電子教材を映し出したり書き込んだりできる。リモコンなしで接続機器の切り替えなどができる。同社の教育機関向けの電子黒板のシェアは約3割。18年度に4割まで引き上げる考えだ。価格はオープンだが35万~180万円を想定している。小学校や中学校、学習塾など教育機関向けに売り込む。最下部にメニューバーを表示し、ワンタッチで機能を切り替えられるようにした。

デジタル教科書の効果は 20年度導入案に期待と懸念

文部科学省の専門家会議が4月22日、教科書の内容をタブレット端末などに収めた「デジタル教科書」を2020年度に導入する案を示した。動画や音声を活用すれば、英語の発音のほか、天文や体の仕組みなど理科の学習に効果があるなどとした。同省は現状の副教材の扱いではなく、17年度にも法改正して正式な教科書に位置づける方針だ。導入に前向きな人は少なくない。同省が昨年8月に実施した全国の小中学生の保護者2753人への調査で、「学校や家庭での使用に賛成」「どちらかというと賛成」が計65%を占めた。

小学校でのプログラミング教育必修化を検討 文科省

文部科学省は4月19日、小学校でのプログラミング教育の必修化を検討すると発表した。2020年度からの新学習指導要領に教える内容を盛り込む方向で議論する。コンピューターを制御する能力の育成が重要と判断した5月にも有識者会議を開く。プログラミングの新教科をつくるのではなく、理科や算数といった今ある教科の中に盛り込むことを話し合う見込みだ。現在の小学校では、課外活動として、パソコン画面上のキャラクターを動かすといったプログラミング体験はあるが、授業で教科として教えていない。

ノーベル学習館 「すらら」のホームティーチャーを募集

ノーベル学習館の新ブランド「Every」の外観

ノーベル学習館の新ブランド「Every」の外観

創業56年を誇るノーベル学習館(広島県竹原市)は昨年、「Every」という新たな業態の個別指導塾を立ち上げた。このEveryでは、「すらら」というeラーニングをベースにした指導とウェブ英会話を利用した小学英語をおこなっているのが特徴だ。

対応学年と教科は、年長及び小学校1年〜6年までが英語・国語・算数・理科・社会、中学部は英語・国語・数学・理科・社会となっている。それぞれの科目にはゲームのようにキャラクターとストーリーが設定されていて、各キャラクターが語りかけてくれながら学びが展開していく。そうしてゲーミフィケーションの要素を多く含んでいるため、子供たちも熱中しやすくなっている。

カラフルでポップな印象のインテリア

カラフルでポップな印象のインテリア

同塾が「すらら」を取り入れたのは、品質はもとより、料金を上げずに授業時間を増やしたかったから。ノーベル学習館の西川敏博代表取締役は、「個別指導に来るお子さんは学力に悩みを抱えている場合が多く、成績を上げようとするとどうしてもレッスン時間を増やすことになり、

その結果、月謝も高くなってしまいます。しかし、eラーニング使えば授業時間を増やしても、これまでと同じ料金で指導することができる。そこで『すらら』を中心に学んでもらうEveryを立ち上げることにしたのです」と話す。

ノーベル学習館の西川敏博代表

ノーベル学習館の西川敏博代表

そんなノーベル学習館では今後、幼稚園児・小学生を対象としたホームティーチャーを募集して、『Every』の学習コンテンツをホームティーチャーの自宅でも学べるようにしていきたいと考えている。「それはPCを使用した自立型教材であるため、指導というよりも見守りに近く、自宅でも充分に教えることができます。また、子供を預ける選択肢の1つには学童保育がありますが、ホームティーチャーが近所の子どもたちを放課後お預かりして学習の場を提供できれば、学童保育の代わりにもなります」と意気込む西川代表。

ホームティーチャーを募集するエリアは、まずは東広島・呉エリアから広げていきたいとのこと。単価は地域性があるためあえて決めず、加盟金も不要というから良心的だ。「この事業を1つの社

会貢献として発展させていきたいと考えています。学童保育の代わりを地域が請け負うという想いに、共感してもらえる方にホームティーチャーになってもらいたいですね」と語る西川代表。Everyに関する情報は『月刊私塾界』5月号でも取り上げている。また、ホームティーチャーに関する詳細は、同社専用ウェブページに掲載。問い合わせは、電話082・437・3900(個別指導Every西条中央教室)へ。

「デジタル教科書」20年度に 文科省

文部科学省の専門家会議は4月22日、「デジタル教科書」について2020年度に導入する案を示した。教科書は現在紙を前提としているが、文科省は17年度にも法改正して正式な教科書と位置づける方針。導入後しばらくは紙の教科書と併用する。音声や動画を活用することで、学習効果を高めることが期待できるという。紙の教科書のように無償化はしない見通しで、家庭や国、自治体の負担が課題になる。教員の指導力向上なども欠かせない。専門家会議は16年末までに最終報告をまとめる。

新しいスピーキングテスト「E−CAT」をリリース

株式会社iTEP Japan(東京都新宿区)は3月27日、E−CAT(English Conversational Ability Test)の説明会と受験体験会を開催した。E−CATとは新しく開発された英語スピーキングテストのことで、アメリカロサンゼルスに本社を置くBES(Boston Educational Services)が開発。発案者は、文科省の委員も務める英語講師の安河内哲也氏だ。

安河内氏の説明に聞き入る参加者たち

安河内氏の説明に聞き入る参加者たち

E−CATを受験する際は、ヘッドセットとマイクを装着してインターネットに接続されたパソコンに向かい、指示に従いながらインタラクティブに発話していく。発話した音声データはインターネット経由でアメリカに送られ、トレーニングを受けたアメリカの採点者によって採点される。

テストはパート1〜パート6に分かれていて、パート1は自分のことを話す「自己紹介」、パート2は英文をクリアに読めるかどうかを試す「音読」、パート3は身近なトピックに関して答える「トピック」、パート4は表示される2枚の写真に関して答える「写真描写」、パート5は画面上のドキュメントについて答える「資料」、パート6は自分の意見を述べる「意思表明」となっている。

E-CATのコンセプトを語る安河内哲也氏

E-CATのコンセプトを語る安河内哲也氏

E−CATは現行のスピーキングテストの弱点を克服すべく、様々な工夫がされているのが特徴だ。その1つとして挙げられるのが、発話を誘導するガイド(静止画像)の存在である。ガイドは優しい口調で語りかけてくれ、テストの緊張をほぐしてくれる。BESと試行錯誤しながらE−CATを開発した安河内氏は「これまでのスピーキングテストのような、いかにもテストという雰囲気を改善し、リラックスして受験できるようにしたかった」と話す。

やさしいガイドにより緊張せずにテストを進められる

やさしいガイドにより緊張せずにテストを進められる

また、問題が出題されてから答える間に練習時間を設けるなど、受験者が普段の力を発揮しやすいようにしている他、アカデミックやビジネスなどのような専門領域は扱わず、誰でも経験したことがあるジェネラルな問いが出題されるようになっている。このことによって、英語が得意な中学生をはじめ、高校生、大学生、社会人等すべての人が対象となる。さらに、問題は乱数で自動生成され、近くの受験者とは異なるものを出題。受験者同士が同じ問いに答えることで不正が起こる、といったことがないよう配慮するなど、細部にまでこだわってつくられている。

実際のテストを体験する参加者たち

実際のテストを体験する参加者たち

CEFRでいうA1〜B2レベルの能力が測定できるこのテストの受験方法と受験料は、「団体受験」が4500円、「公開受験」が6000円、「個人受験」が7000円となっていて、日本を代表する複数の大企業がすでに団体受験の申し込みをし、試験を実施し始めているという。また、どんなパソコンからでも自由に受験できる、準公式版もリリースされる予定である。

安河内氏は「E−CATは、学校や企業での英語教育によい影響を与えられることを目指しており、今後大きなテストに育てていきたい」と抱負を語っている。E−CATに関する問い合わせは、電話03・3513・4511(iTEP Japan)へ。