Category: 塾ニュース|グローバル

一橋大、留学を必修科目に

一橋大は、卒業のために必要な必修科目に、海外留学を加えることを決めた。グローバル人材の育成がねらいで、2018年度以降の入学者を対象にする方針だ。約1千人の新入生全員に、主に英語圏の大学で約4週間の語学留学をさせる。在学中に留学しなければ原則卒業できない。帰国子女のように海外での滞在経験がある学生に対しては、別の言語が使われている国への留学などを検討する。費用は企業やOB、OGからの寄付金と、国の補助金で賄うが、一部は学生の負担になるという。このため、経済的な事情がある学生向けの奨学金制度も作る予定だ。

中国で珠算が復権 小学校で授業

中国の小学校で「珠算」が見直されている。集中力向上などの効果が認められ、再び教える学校が増え始めた。南京に近い江蘇省揚州市は市独自に8校を実験校に指定し、省指定の広陵小などと合わせて計14校で教えるようになった。珠算が昨年12月、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)によって、中国の伝統文化として無形文化遺産に登録されたことも追い風になっている。

新入生の留学必修 一橋大

一橋大学は2018年度までに約1000人の新入学生全員を短期語学留学させる。在学中に英語圏の有力校で4週間程度の語学留学を必修にする。費用の一部は学生が負担するものの、OB組織や企業の寄付を活用するほか、国の助成も見込む。長期留学も認め、インターンシップ(就業体験)も対象にする。海外の語学教育課程の開校時期に合わせ、8月初めだった1学期の終了を6月半ばまでに短縮する学期改革も進める。立教大学や早稲田大学も全員留学の方針を打ち出した。留学を必修とする新学部を設立する大学も相次いでいる。

ピアソンが英語力の世界共通指標開発

英教育大手のピアソンは、グローバルに比較可能な英語能力の客観指標を開発した。新指標「グローバル・スケール・オブ・イングリッシュ(GSE)」は、10から90のスコアで英語能力を評価する。英語能力の測定では、日本のように英語能力テストのTOEICやTOEFLなどの試験を用いる国も多いが、異なるテストで点数を比較することは難しく、これまで世界共通の評価指標は存在しなかったという。ピアソンは世界の150カ国以上で英語教材の提供で培ってきた経験をもとに、企業や教育現場で利用可能な指標を開発した。

英語で授業、教員の15%  文科省調査

文部科学省の調査で6月18日、新学習指導要領で原則英語で行うとしている高校の「コミュニケーション英語1」の授業で、実際に英語で指導している教員は15%にとどまることが分かった。文科省は13年12月、全国の公立高校1年生に必修科目の「コミュニケーション英語I」を教える教員約1万人を対象に調査した。授業中に英語を使う割合について、「発言をおおむね英語で行っている」と回答した教員は全体の15%。「発言の半分以上を英語で行っている」も38%と少なく、「発言の半分以上が日本語」という教員が47%で最も多かった。

「グローバル教育」をテーマに、日本の明日を考える2日間

一般社団法人日本教育者セミナー(JES)は、6月11日、12日の両日、グランフロント大阪(大阪市北区)にて「2014大阪大会」を開催した。「グローバル教育 未来を担う子供たちへ!」と題し、全国から教育業界の精鋭が一同に集い、最後まで飽きさせない学びの場となった。

日本教育者セミナーの会場の様子

日本教育者セミナーの会場の様子

本会を主催する日本教育者セミナー理事長の岡村寛三郎氏(兵庫県、岡村ゼミナール代表取締役会長)が開会の挨拶に立ち、「時代の変化が激しい時ほどビジネスチャンスが多い。このセミナーで学んだことを判断材料にして欲しい」と参加者に語りかけた。

開会の挨拶をする岡村寛三郎理事長

開会の挨拶をする岡村寛三郎理事長

第1講座では、グローバルリーダー育成スクール「IGS」代表の福原正大氏が「グローバル人材育成の最前線」をテーマに熱弁を振るった。スーパーグローバル大学の認定や、東京大学の推薦入試の実施、スーパーグローバルハイスクールによる高大接続、そして国際バカロレア(IB)認定校の拡大などについて言及しながら、これまでの教育の延長線上ではない教育改革が進むと指摘し、今までの知識偏重型の教育から大きく変わっていくだろうと解説した。

グローバル人材育成の最前線について語るIGSの福原正大代表

グローバル人材育成の最前線について語るIGSの福原正大代表

戦後日本の長きに渡る高度成長を支えてきた世界に誇るべき日本の教育は、全体の平均値を上げ、落ちこぼれを作らないもので、答はひとつ。それゆえ日本企業は一枚岩となり強さを発揮してきた。しかし時代が大きく転換した今、日本の中等教育が強みとする基礎知識のインプットに加え、新しい時代に必要なアウトプットが必要と力説した。
日本最高峰の東京大学は世界では23位。次ぐ京都大学は世界で52位である。東大、京大にしか辿り着けない受験勉強では、子どもの可能性を閉じているのではないかと疑問を呈し、世界の大学にも可能性を開くのがTOEFL iBTだと説いた。学部からの直接の進学でなくても、大学入学後の交換留学要件にも用いられ、たとえば慶応大学の交換留学の条件には120満点中80点以上必要とする留学先の大学名が並ぶ。就職活動が始まる前に帰国しようとすれば、大学1年生の9月までに80点以上が必要となる。このような状況からTOEFL iBT対応の学習プログラムを導入する中学高校が増えているという。

オンラインを活用した英語学習について講演するGGIの錦織彰代表

オンラインを活用した英語学習について講演するGGIの錦織彰代表

第2講座では、株式会社グローバルゲートインスティテュート代表の錦織彰氏が「オンラインを活用した英語学習」について自社サービスの内容を披露した。錦織氏は、4年前に韓国の公立小学校と中学校の英語教育を視察し、先生が英語で授業を行い、生徒がしっかり答える様子を目にした。英語力はもちろんのこと生徒の積極性を見て、これでは日本人は負けるなと感じたという。小中生対象のネイティブによるオンライン英語サービス「ネット留学MEET the WORLD」の開発には、英語教育においては日本の10年先15年先を進む韓国の企業と提携。14年春に全国約500教室で利用を開始した。
次に紹介した「e-Spire」は中高生を対象にしたTOEFL iBT対応学習プログラムで、120満点中100点を目指す。コンテンツはIGSが作成。全国の小中学校、学習塾が導入あるという。TOEFLは学生向けのテストで、中学高校生向けのJunior、高校生大学生向けのiBT、ITPがあり、この秋には小学生向けPrimaryがリリースされる。TOEICはビジネスや社会人向けで世界の中でも日本と韓国だけに受験者が多いことが特徴だ。最後に、この夏にリリースする中高生対象の「速読英語」についても紹介があった。単語を学びつつ速読スピードを高める学習ツールだ。

第3講座は、オンラインではなくリアルな場で展開する英語教育についてジャイロスコープ代表の桂次郎氏が、その取組みを披露した。
日立オーストラリア社長、日立アメリカ上級副社長等を歴任後、日本国内に英語公用語ゾーンをという論文で東洋経済新報社高橋亀吉賞を受賞。それを契機に早期退職し10年に起業。現在までハウステンボスを拠点に各種英語体験プログラムを展開している。基本思想はNTT。N/ネイティブ英語を、T/楽しく。T/体験するという。また、商店街で子どもたちがビンゴや宝探しをしながらボランティアの水兵さんと英語での会話を楽しむ米軍佐世保基地と長崎県佐世保市四ヶ町、ジャイロスコープとの3社共同プロジェクト「トモダチ・ハンティング」も実施。12年から年2回開催し今年で5回目を数える。他にも小学生から学生、ビジネスマンなど幅広い年齢層に対し、様々な英語学習プログラムを提供している。
2日目は株式会社船井総合研究所の島崎卓也氏が登壇。「学習塾業界、次の収益の柱を探る」と題した第4講座では、学童保育の最新動向、保育事業についての分析と可能性について語り、ワンストップ型英語保育モデル事業の成功事例を紹介した。

閉会の挨拶をするSRJの堀川直人代表

閉会の挨拶をするSRJの堀川直人代表

閉会の挨拶として株式会社SRJ代表の堀川直人氏が、「経営という立場で教育を見るが、教育者として考える2日間であった」と振り返り、「研修会参加後は意識が高いが、日常の現場でどう活かしていくか、それも新しいことをするのでなく、見直す機会として捉え、この研修で得た刺激を現場で活かして欲しい」と参加者にエールを送り、会を締めくくった。

NPO学校支援協議会主催 「グローバルリーダーに育つ中学・高校の学びとは」

今年度から文科省がスーパーグローバルハイスクールとして、全国56校を指定してグローバルリーダーの養成に乗り出している。今回、NPO法人学校支援協議会が主催するシンポジウムでは、その施策に対し、中学・高校ではどうすればよいかを真っ向から考える場として法政大学市ヶ谷キャンパスにて6月1日に公開された。当日は中学生・高校生を始め、多くの教育関係者が一同に集まり、これからのグローバルリーダーをどう育てるかを考える場となった。「グローバルリーダーに育つ中学・高校の学びとは〜未来の難問に挑む子どもたちのために〜」と題した2部構成。

生徒を前に、白熱した反転授業を展開する開成高校の柳沢校長

第1部は開成中学・高等学校(東京都荒川区)の柳沢幸雄校長による反転授業の模擬授業。基礎的な内容を自宅で予習し、教室では発展的な内容を学ぶ「反転授業」。同氏は自宅で各自、「水俣病」について自習をしてきた中学生、高校生を相手に、公害病を想定した討論を通じて、率先して発言の重要性などをやさしく説いていく。今回は架空の公害病が起きた場合のケーススタディ。当事者ならどのように行動するかを生徒たちに判断し続けた。

柳澤校長から「指されたら3秒以内に発言する」「ほかの人と同じ意見は言わない」などのルールも設定され、生徒たちは迷いながらも舌戦を展開していった。柳沢校長は「常に発言を準備することで、生徒の脳が活性化され、知識の定着につながる。一方、教師には瞬間的な議論の流れに食い込んでいく技術が求められる」と話していた。グローバル社会に立ち向って行く中で、自ら発言していくことの重要性を反転授業を通じ、体感させていった。

丁々発止、意見が飛び交うパネルディスカッション

休憩を挟み、第2部では公開シンポジウム。NHK解説委員の早川信夫氏のコーディネートの下、各教育期間でグローバルリーダーの育成に取り組んでいる有識者によるパネルディスカッションが行われた。鷗友学園女子中学高等学校の吉野校長から、11年前から取り組んでいるオールイングリッシュで行っている英語授業の改革についての発表。横浜市サイエンスフロンティア高等学校の栗原峰夫校長からは、先端科学技術の知識を活用した「サイエンスリテラシー」を柱としたグローバル人材教育についての事例発表。武蔵学園(東京都)の有馬朗人学園長からは、英語で科学を学ぶ「ムサシ・テンプルREDプログラム」の事例紹介があった。

法政大学の学長の田中優子氏からはグローバル人材育成の施策の一環として取り組み始めた「国際ボランティアプログラム」、「国際インターンシッププログラム」の事例紹介が為された。「国際ボランティアプログラム」では夏休みの約2週間、法政大学の学生をアジアやその地域に派遣。そこで、環境問題、貧困問題を真正面から体験させ、国際社会に貢献しようという意識を植え付けさせる。田中氏は「知識を得るばかりではなく、現地で具体的な解決法を身に付けることが大学としての命題になる。学生たちが自主的になるグローバル体験の場を設けることが重要」と話す。

会の最後に開成高校の柳沢校長は、「グローバル人材とは地球上にいる70億人以上の人が相互に理解可能なコミュニケーションを取る事ができる人」と説き、「それには論理力が必要である」と語る。丁々発止、意見が飛び交い、最後まで飽きさせないシンポジウムとなった。

バカロレア 日本語指導可に

「国際バカロレア(IB)」の導入を目指す高校が増えている。これまで英語、フランス語、スペイン語の3カ国語での指導を原則としてきた同機構が16年度の授業から、日本の高校を対象に、全9科目中、数学や物理、歴史など計7科目を日本語で指導できると認めたからだ。教育現場の機運は高まるが、各校で進む準備を通じ、教員の技術不足や通常の教育課程との両立といった課題も浮かび上がる。

国際化教育1位、国際教養大

週刊「サンデー毎日」と大学通信が国際化教育に力を入れている大学はどこか全国2000校の進路指導教諭に調査したところ(昨年9月、676校から回答)、トップは国際教養大だった。

 国際教養大は2004年開学で、授業はすべて英語で行われ、24時間オープンの図書館が自慢だ。就職率も高く、全国から受験生を集めている。同大は2〜5位の国際基督教大、上智大、早稲田大、立命館アジア太平洋大と「グローバル5大学連携協定」を結び、学生や職員の交流を進めている。東京外国語大は12年に外国語学部を改組し、言語教育にとどまらない教育に力を入れている。

英語の楽しさを子どもたちに NPO愛進研「2014教育セミナー」を開催

「ゆとり」でも「詰め込み」でもない、「生きる力」の育成を目指した新学習指導要領が全面的に実施されたことに伴い、大学入試がどのように変わるのか、注目が集まっている。昨年12月には文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を発表。小・中・高を通じた英語教育全体の抜本的充実をうたった同計画では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、国際社会に対応できる英語力を身につけるための教育環境づくりの推進が明記され、教科の中でもとりわけ、英語教育が大きく様変わりすることが予想されている。

英語の楽しさを子どもたちに

愛知県の民間教育機関で働く教師たちで運営するNPO愛知県進学研究会(以下、愛進研)は、子どもたちの進学や未来についての研究を行っている。

「日本がグローバル化に遅れをとった一因は英語教育にある。単語は知っている。文法にも強い。にもかかわらず英語が使えない…子どもたちにもっと英語の楽しさ、大切さを伝えたい」との思いから、5月11日(日)、小中学生を対象とした「2014教育セミナー」を開催した。会場となった名古屋高等学校のチャペルは約400名の親子連れで満員となり、英語教育に対する関心の高さがうかがえた。

楽しいから英語が好きになる

安河内哲也先生

安河内哲也先生

第一部は基調講演『使える英語の学び方』。テレビなどで人気の安河内哲也先生が「良い子のみなさん、悪い大人のみなさん、こんにちは!」と登場すると、会場はたちまち楽しい雰囲気に。「僕は学生時代、英語の勉強が大の苦手でした。教科書の和訳や穴埋め問題に違和感を感じていたのです。大学受験に失敗してさすがにまずいなと思い、予備校に行ったのですが、そこで出会った先生が素晴らしく、僕に英語の楽しさを教えてくれたのです。

英語はコツをつかめば、誰でもいつからでも、できるようになるんですよ」と、自身の体験を紹介した。「英語の勉強の仕方はただ一つ。音で学ぶこと。今日はそれを実践していきましょう」と、英語を使ったクイズをゲーム形式で出題。面白いクイズが続出し、会場は笑いに包まれた。クイズを通して安河内先生は、耳と口とからだを使って楽しみながら英語を学ぶことの大切さを伝えた。

英語教育についての研究発表も

鹿島塾の鹿嶌將博塾長

鹿嶌將博会長

第二部ではNPO愛進研の会長・鹿嶌將博氏(鹿島塾代表取締役社長)による愛進研の研究報告が行われた。従来の常識と異なる新しい学びを展開している国際教養大学についてレポートした。

「学内には海外からの留学生が150名ほど在籍。日本人学生は留学生たちとともに、寮生活を送っています。授業も生活もほとんど英語で行われます。世界各国の仲間たちと切磋琢磨しながら生活していくことで、英語力、コミュニケーション力がどんどん磨かれて行きます」。

そして、鹿嶌会長は「英語は、テストのために勉強するものではなく、世界で活躍するためのツールなのです」と結んだ。

英語を通して見えてくる未来

敬愛塾の伊藤清博塾長

敬愛塾の伊藤清博塾長

第三部は、敬愛塾の伊藤清博塾長によるシチュエーションクイズ。きよひろくんの一日を場面ごとに描いたユーモラスなイラストを見ながら、子どもたちは楽しそうにクイズに挑戦した。

伊藤塾長は引き続きエンディングで、「君たちに贈るメッセージ・ある卒業生のストーリー」として、ある日本人少年のアメリカでのエピソードを紹介。「mission(責務)、Passion(情熱)、Never Give Up(あきらめない)、この三つの精神が、君たちの未来を切り開き、夢の扉を開く、大きな力となります」と会場の子どもたちにエールを贈った。