大阪府教育委員会は、国が実施している全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を、公立高校入試の合否判定に使われる中学3年の内申点の基準づくりに活用する方針を固めた。府教委によると全国初とみられる。全国学力テストは、学習の成果を把握して指導の改善に役立てることを目的としており、「趣旨に逸脱する」という懸念の声が識者から出ている。府が独自に実施する府内統一の「チャレンジテスト」と組み合わせ、中学校ごとに内申点の平均値の目安を設定する。10日の教育委員会議で決める。
一般社団法人実用英語推進機構は4月6日、学習塾をはじめとする教育サービスの関係者や教材会社を集め、「英語評価の4技能化に伴う教材の在り方に関する説明会」を国際文化会館(東京・港区)で開催した。
説明会に先立ち、今回のセミナーに協力をした株式会社興学社の池田晃代表が「日本の民間教育者も英語改革について全力で取り組まないといけないと思っています」と今回のセミナーが開催された意義を語った。
続いて、株式会社ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)の込山智之氏と公益財団法人日本英語検定協会(以下、英検)の塩崎修健氏が、それぞれが実施している4技能(読む」「聞く」「書く」「話す」の能力)英語検定試験について講演した。
ベネッセは「GTEC CBT」という試験を主催しており、この試験はコンピューターの画面に問題を表示し、キーボードやマウスで解答を入力するスコア型4技能英語検定試験になっている。対する英検は、いくつかの英語力検定試験を設けているが、今回は日本における「大学教育レベルにふさわしい英語力」を測るための「TEAP」について説明があった。
この2つの試験の特徴は、高等学校の学習指導要領をベースに、大学でプレゼンテーションを行ったり、論文を読んだりするアカデミックな活動を想定した英語能力を測定する試験であることだ。そして、どちらもCEFR(Common European Framework of Reference for Languagesの略。語学のコミュニケーション能力別のレベルを示す国際標準規格として、欧米で幅広く導入されつつある)のレベルも参照できるようになっており、大学入試にも活用できるようになっている。実際にこの試験を活用している大学も増加しているそうだ。
最後は、今回のセミナーを主催した実用英語推進機構の代表理事である安河内哲也氏による特別講演が行われた。
安河内氏は、日本の英語教育が文法に偏重していると述べ、教師も生徒も一言も英語を発話しない、歪んだ英語の授業形態が常態化している点を断罪した。その上で、「生徒に発話させないといけない。教材は先生が教えるのを前提に作るのではなくて、生徒がやるということを前提に作っていかないといけないんです」と続け、これからの英語教材開発のヒントが数多く提案された。
同セミナーについては『月刊私塾界』5月号においても詳細をレポートするので、ぜひご一読いただきたい。
学習塾・学校向け教材出版の教育開発出版株式会社は3月20日、「英語イマージョン教育ワークショップ」を東京・千代田区の同友クラブで開催した。このワークショップは、同日リリースされた「新中学問題集(新中問)数学1年 英語イマージョン版」を使用した模擬授業をはじめ、業界初となる英語イマージョン教材を開発した経緯や英語教育改革に向けた講演などが行われた。
イマージョン教育とは、第二言語で教科を教えることによって、その言葉を習得させる教育プログラム。ワークショップに先だって登壇した、同社常務取締役営業本部長の糸井幸男氏は、同教材を開発した目的に、進行する少子化、通塾率の低下など取り巻く環境が厳しい学習塾の活性化を挙げた。
糸井氏は「グローバル化をテーマとした新学習指導要領が、2020年に全面実施(18年より先行実施)されることになっており、学校の英語指導プログラムが大幅に変化する。しかし、大幅な変化ゆえに、学校だけでは対応できないことが予想され、学習塾の存在が重要になる。その学習塾が、グローバル化に対応するための教材として開発した」と開発目的を述べた。さらに、この教材を導入することによって、学力上位層に対する訴求力を上げるだけでなく、社会貢献の側面から講師のマインド向上にも繋げることができ、学習塾の新たな魅力を創出することもできるという。
次に講演を行ったのは、英語版教材の制作を同社に提案した開倫塾の林明夫代表。林氏は、英語教育改革の必要性を説き、オールイングリッシュによる中学数学の模擬授業大会を同塾主催で開催するなど、イマージョン教育を熱心に進めている。その経験から、とくに指導する講師の確保について、地元大学の留学生を起用するのがいいと参加者にアドバイスした。
最後に、ブライアン・ショウ氏による同教材を使用したオールイングリッシュでの模擬授業が行われた。アメリカ人のショー氏は、指導・研修プログラムの作成や、日本人の中高生向けに、オールイングリッシュでの数学・化学の授業の講師を数多く務めるなど、英語教育現場における豊富な経験を持つ。
ショウ氏は「数学がわからないと英語でやるのはもっと難しいため、高校生などより多くの層がこの問題集を利用してもいいと思う」と語った。
同社は、英語イマージョン版の導入するための研修会などを無料で実施する予定だといい、各塾の早期導入に向けた支援もおこなう。