文部科学省は7日、2020年度開始の大学入学共通テストで導入される英語の民間資格・検定試験について、活用のための要件案を公表した。「読む・聞く・話す・書く」の4技能をバランス良く評価していることなどを求める一方、全都道府県での試験の複数回実施は要件から外れた。
NPO学校支援協議会が主催する無料の公開シンポジウム「新しい学習指導要領/新しい大学入試 英・数の学びはどう変わるか ─第一人者と共に考える」が9月3日、法政大学市ヶ谷キャンパスで開催される。
〈英語〉シンポジウム「CEFRと英語4技能を考える」 の第1部『CEFR とはなにか』では、CEFRに詳しいPearson Educationのマイク・メイヤー氏を招き、「CEFR」 についての解説が行われる。
第2部『大学教育、大学入試は英語4技能でどう変わり、高校はいかに対応するべきか』では、大学におけるグローバル化の中でのCEFRや英語4技能の役割などをパネルディスカッション形式で考察する。大学をはじめ、中高も含めた現場に詳しく実績のある人々が登壇し、CEFRに詳しい東京外国語大学大学院の投野由紀夫教授がコメンテーターとして参加する予定だ。
また、〈数学〉シンポジウム「算数・数学は内容知から応用知へ」の第1部『グローバル社会で求められる算数数学の力とは』では、世界の算数・数学の動向を、東京学芸大学の西村圭一教授が解説する。
第2部『算数・数学で問われる力とは』では、数学教育、算数教育、そして現場と入試、それぞれを専門とする登壇者がパネルディスカッション形式で、算数・数学で問われる力について議論される。このシンポジウムは、英語と数学に分かれており、同時開催される。参加希望者は、下記の必要事項を記入の上、eメールでent@ss-c.org宛に応募する。8月30日(水)が応募締切。
■概要
・日時:2017年9月3日(日)13時~16時(開場12時30分)※英語・数学同時開催
・会場:法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎4階S406教室、S407教室
・参加費:無料
・主催:NPO学校支援協議会
・対象:
〈英語〉中・高等学校教員、大学関係者、保護者等
〈数学〉小・中・高等学校教員、保護者等
・申込方法:参加者希望者は、メールで応募を受付します。8月30日(水)までに下記1~4を明記の上、ent@ss-c.org宛に送信。折り返し、受講確認メールをお送りいたします。
(1)参加者氏名
(2)所属
(3)役職
(4)参加希望シンポジウム(英語 or 数学)
■プログラム
〈英語〉シンポジウム「CEFRと英語4技能を考える」
第1部:『CEFRとはなにか』
Pearson Education/Director マイク・メイヤー氏(日本語への通訳あり)
第2部:『大学教育、大学入試は英語4技能でどう変わり、高校はいかに対応するべきか』(パネルディスカッション)
・登壇者:
明治大学副学長 大六野耕作教授/法政大学 近藤清之常務理事/神奈川大学 久保野雅史教授(元筑波大学附属駒場中・高等学校教諭)/宝仙学園中学校高等学校 右田邦雄共学部教頭(元東京学芸大学附属高等学校教諭)
・コメンテーター:東京外国語大学大学院 投野由紀夫教授
・司会:後藤健夫氏
・後援:ネリーズ/ピアソン・ジャパン/森上教育研究所
〈数学〉シンポジウム「算数・数学は内容知から応用知へ」
第1部:『グローバル社会で求められる算数数学の力とは』
東京学芸大学 西村圭一教授
第2部:『算数・数学で問われる力とは』(パネルディスカッション)
・登壇者:
東京学芸大学 西村圭一教授「中高での数学授業」
明星学苑教育支援室長兼明星大学客員教授 細水保宏氏(元筑波大学附属小学校副校長)「小学校での算数授業」
Z会東大進学教室 石田浩一講師(元開成中学校・高等学校教諭)「中高現場と入試にかかわる立場から」
・後援:ベネッセコーポレーション/森上教育研究所
2017年9月18日(月・祝)に株式会社 成学社が運営する開成教育グループ主催の関西最大の進学フェア(開成進学フェア大阪会場)が開催される。開催に伴い7月28日(金)に参加申し込み専用サイトがオープンした。
昨年の来場者数約5,000人、参加校は約200校、近畿地区で最大級の進学フェアの参加申し込みを開始しました。人気校の説明会や入試分析会ではキャンセル待ちがでるなど、当日飛び込み参加では入場できないコーナーもあるので、お申し込みはお早めに。
※イベントの詳しい情報は8月10日ごろ配信予定。
■開成進学フェア概要
日時:2017年9月17日(日) 滋賀会場
2017年9月18日(月・祝) 大阪会場
場所:滋賀会場 ピアザ淡海(滋賀県大津市におの浜)
大阪会場 マイドームおおさか(大阪市中央区)
申し込み方法:下記URLよりフォームに必要事項を入力
滋賀会場 https://www.kaisei-group.co.jp/form/shigakufair_shiga/
大阪会場 https://www.kaisei-group.co.jp/form/shigakufair_osaka/
株式会社成学社 開成教育グループ 入試情報室
TEL:06-6373-1565
受付時間11:00-19:00(ただし日・祝、及び8月12日〜16日、8月28日〜31日を除く)
文部科学省が「『高校生のための学びの基礎診断(仮称)』に係る民間事業者等説明会」を5月30日、東京都内で開催した。これまで、高大接続改革上で「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の設置が議論されていたが、この名称が5月16日に高大接続改革の進捗状況のなかで「高校生のための学びの基礎診断(仮称)」に変わったことが公表された。これは、高等学校基礎学力テスト(仮称)検討・準備グループで挙がった「順位づけのためのものではないという性質上から『テスト』ではなく『診断』に」という意見に沿ったものだ。
高大接続システム改革の検討・準備グループは、2016年3月31日に公表された「高大接続システム会議」の最終報告を踏まえて、同年5月から17年3月までに計8回検討会を開催。今年1月から3月には、試行調査も行われ、3月末に論点整理が公表された。
論点整理では、具体的な実施体制として、大学入試センターの直接実施『a案』と民間事業者等が問題を作成・実施する『b案』が示された。今回の説明会では、特に『b案』についての言及が多くされた。この「高校生のための学びの基礎診断(仮称)」が整備されることは、高等学校における基礎学力定着のためのPDCAサイクルの確立(注1)のためにあると、文部科学省は強調する。
その上で、「学びの基礎診断」は学力の“測定ツール”として位置づける。各学校の“多様な実態”に応じて選択できる形、つまり複数の事業者の申請を受けつけ、それらを審査・認定し、各学校が適当なものを選択して利用できる形に舵を切りはじめた。
説明会では、「この測定ツールを学校側は必ずしも使わなければいけないのか?」という質問が挙がった。文科省の担当者は、「今の段階で、必ずしも使わなければいけないわけではない」と回答。それを踏まえ、「大学進学をターゲットにしている学校では、すでに導入している模試の存在、運用コストを考えると、大学受験に直結しないのであれば、この新たな測定ツールを導入する学校は少ないのではないか」という率直な意見が挙がった。
学校の定期テストや模試もひとつの「学びの基礎診断」になり得る。それと検討を重ねている「高校生のための学びの基礎診断(仮称)」との違いは何か? テストから診断へと名称が変わり、方向性は見えはじめたが、まだまだ道半ばの様相は否めない。
今後は、実施方針を発表(17年6月末目処)、基準原案等の提示(17年内目処)、基準・審査要項の策定(17年度内目処)がされる予定。“測定ツール”の申請は、18年度から受付を開始することをを目標にしている。
注1:Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の4段階を繰り返すことによって、継続的に学習を改善・実行する
三重県鈴鹿市の私立学校「鈴鹿中学校」が申請していた中等教育学校設置の認可が、3月27日、三重県知事より正式に交付された。これによって同校は2017年度から「鈴鹿中等教育学校」として新たなスタートを切ることとなった。
完全な中高一貫教育を実現できるようになった鈴鹿中等教育学校では、高等学校の内容の一部を中学校で履修し、単位として認定。先取り教育を実施していく。また、6年間の5教科の合計授業数は一般的な中高一貫校より805時間多く、その時数を有効に活かした体系的なカリキュラムで、深く充実した学びを実現する。
こうした同校の動きに受験生も敏感で、17年度の専願受験者は昨対比20名増えた。同校の入試対策部長である小林佳史氏は「一人ひとりの個性を伸ばすという本校の方針に加え、中等教育学校化を含む様々な学校改革に共感いただけたのではないか。入試も例年とは違う形式で行っていて、保護者や塾からの期待は高い」と手応えを感じているようだ。
また今回、中等教育学校に転向したことについて、同校の須藤伸也氏は「1986年の開校から30年経つ本校が、他の併設校にはできないことをしようと考えてこの度の転向に至った。この変化がひとつの起爆剤になればと考えている」と話す。
さらに同校では3月30日に、ICT設備を備えた新図書館「情報メディア教育センター」をオープンした。このセンターは図書室の他、アクティブ・ラーニング室、グループ学習室、メディアブースなど先進的な設備を備えていて、生徒の知的探求心を育むとともに、自ら主体的に考え、学ぶことを支援する。
アクティブ・ラーニングに積極的に取り組んでいる同校では、2016年度より「テーマスタディ」という探究活動をスタートした。生徒はそれぞれ自分の好きなテーマに基づき1年以上かけて探究活動を実施し、それをクラスメイトや後輩たちに発表する。今年度の研究の一例として、テレビゲームの『スーパーマリオ』の世界を人間がクリアできるかどうかを物理的に研究したり、抗菌製品の抗菌力と売れ行きの相関を実際に菌を繁殖させて研究するなど、多方面に渡る。生徒たちの探究力に教員たちは驚いているようだ。
ほかにも新たな取り組みとして、17年度から「グローバル特待生」という制度も新設。これは中等教育学校の6年間で、必要と見込まれる学費440万円(3回の海外研修費用を含む)を返済義務なしで給付するというもの。特待生は入試の成績によって選ばれるが、「この制度を立ち上げたことで、学校を牽引してくれるような子供を育てていきたい」と小林氏は意気込む。
株式会社ビジネス・ブレークスルー(BBT、東京都千代田区、大前研一代表)が運営するビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学、大前研一学長)は、沖縄尚学高等学校(沖縄県那覇市、名城政次郎理事長・校長)と高大連結協定を締結した。今後は、BBT大学教員による出張講義の実施や、高校生を聴講生として大学に受け入れるといった人材交流をはじめ、BBT大学が推進する受講者主体の探究的学習を高校生に体験してもらう機会を提供する。これにより、高校生の視野を広げ、進路に対する意識や学習意欲を高めるとともに、大学の求める学生像や教育内容への理解を深めることを目指す。
「強くて優しい文武両道のグローバル教養人」の育成を目指す沖縄尚学高校は、沖縄県内初の国際バカロレア・ディプロマ(IBDP)課程認定校として、2017年1月、日本語と英語によるIBDP試験の全国初の合格者を輩出した。一方、グローバルビジネスで活躍できる人材の育成を目指すBBT大学は、IBDP課程の卒業生向けの入試枠を設置しており、運営会社のBBTは、3歳から18歳までの児童生徒にIBのカリキュラムによる教育を提供するIB一貫校であるアオバジャパン・インターナショナルスクールの運営にも参画していることから、今回の協定を機にBBT大学と協定校のグローバル人材育成に向けた取り組みをさらに強化していくという。
沖縄尚学高校の名城政次郎校長は、今回の協定締結について、「この社会をよくしようという意欲がある人間を生み出したい。温かみ、厳しさ、知性などの人間的な側面を重視する教育が求められていると考えている。社会に目を向ける余裕のある人間、自分の利益だけでなく周りの人を安心させて喜ばせる度量のある人間を育成したい」と意気込む。
また、名城政一郎副校長は、「本校の目指す『強くて優しい文武両道のグローバル教養人』を育成するという観点から、今回の協定は大変ありがたい話だと考えている」と期待する。
BBT大学の伊藤泰史事務総長は、「BBT大学の教育理念と非常に近い価値観を共有できている。今後は、双方が協力しながらICTを活用した教育の新たな可能性も示したい」と話した。同大学は、高等学校との連結協定締結や出張講義「BBT大学・高校講座シリーズ」の高等学校への提供などの活動を通じて、高校生に「自分の挑戦したいテーマ」を見つける機会を提供し、ビジネスをはじめとするすべての活動の原動力となる「アンビション」を獲得するための後押しをする。
1963年創立のメリノール女子学院中学校・高等学校は、三重県四日市市にある私立学校だ。同校では真理を追究し、善をおこない、それよって常に周囲を美化していく「真・善・美」を校訓に掲げている。そのメリノール女子学院は2017年4月から「四日市メリノール学院」と改め、女子校から共学校に転向した。グローバル化が急速に進む現代にあって、女子に向けた教育だけではなく、男子を含めた教育の必要性を感じてのことだ。共学校としてこれまで以上に社会に貢献することで、新しい伝統を創りたいと考えている。
新生・四日市メリノール学院は、女子校から共学に転換を果たしたほかにも、ここ数年様々な変革に取り組んできた。例えば入試では、それぞれの科目でどれだけの点数が採れて、偏差値はいくつだったかを受験生に公表するようにした。しかも、英語の場合であれば「リスニング」「長文読解」「語彙」「文法」など、各教科3分野程度に分けて詳細なデータを公開しているほか、採点者のコメントも添えている。
入学試験の結果を公表したことについて、同校の高木義成校長は「当校に受かった子が、必ずしもうちの学校に来てくれなくてもいい。ほかの学校で活躍してくれればそれで本望だという思いで取り組みはじめました。もしうちに魅力がないのであれば、それを真摯に受け止め、魅力のある学校づくりをするだけです」と話す。また、入試結果を公表したことで、塾からは「指導の目安になった」と好意的に受け止められている。
さらに四日市メリノール学院では、「スクリティーボ」というICTの教育プラットフォームを独自に開発した。タブレット端末を用いて学ぶこのプラットフォームは、問題を解く際に掛かった時間を過程ごとに表示できるため、子供たちが問題のどこに躓いたのかを教師が細かく把握できる。それによって、子供の弱点をしっかり押さえ、指導に活かすことができるのだ。
このプラットフォームを開発した四日市メリノール学院の伊藤春樹学院長は、学習塾をはじめとする企業に無料でこのシステムを提供し、その代わりに提供した企業から寄付を募りたいと考えている。「キリスト教の学校らしく、他者に奉仕することで学校運営を成り立たせたいと思っています。そして企業から得た寄付は子供たちに還元し、授業料無料の学校を創る。それが私の描いている新たな学校運営の在り方です」と伊藤氏は意気込む。学習塾や教材会社ではなく、学校が提供するICTを活用した教育プラットフォーム「スクリティーボ」。今後の展開を期待したい。