Category: 月刊私塾界

パイオニア ランゲッジスクール(神奈川県)英会話という「窓」を開けて 真のコミュニケーション能力を|疾風の如く|2016年3月号

優等生だった自分。
それに疑問を抱いたとき、
目の前の「窓」は開かれた。
学力という、唯一にして
画一的な価値観に踊らされる
親子を助けたい。
英会話には、そんな力がある。

パイオニア ランゲッジスクール(神奈川県)

マネージャー 中村 由香里さん

レールを外れてみたかった

マネージャー 中村 由香里さん

飛行機が空に残した一筋の白い雲は、彼女の夢が描いた軌跡そのものだ――三年生になったとき、その女子高生は単身渡米した。これから、一年間の留学生活の幕開けである。
 ただ、留学とはいっても、高校が用意した交換プログラムの類ではない。渡米も、滞在先も通う学校も、すべて自ら(と家族)が独力で判断・手配したものだ。「ずっと敷かれたレールの上を歩んできて、そこを外れてみたかったんだと思います」。当時を回顧して、当人・中村由香里はそう笑う。
 地元の有名私立校に通い、勉強が得意で生徒会長も務める「ザ・優等生」だった中村。目指している大学もあったが、ふと感じた。「これって、本当に私がやりたいことなのかな……」。
 テストで良い点を取ることだけが、唯一の存在証明であり人間的価値。志望校に挙げた大学も、特にそこへ行きたかったわけではなく、立場上そのあたりが妥当だろうと空気を読んだだけだ。
 そう、彼女は自分の人生ではなく、日本社会が望む理想的高校生の人生を生きようとしていた。演じている自分に気づいてしまったのだ。

母の背中を追って

母で校長の祐子さん。中村さん共々、熱い教育理念の持ち主だ

そこに気づける感性を彼女に授けたのは、間違いなく母だ。約三五年前、母の祐子は、静岡・富士宮で小さな英会話スクールを開いた。現在、中村がマネージャーを務める『パイオニアランゲッジスクール』の前身だ。とはいえ、当時はただでさえ英会話スクールなど珍しかった時代。ましてや静岡の片田舎となれば尚更である(現在は神奈川へ移転)。
 しかも母自身、英語に堪能だったわけではないという。彼女は大学で心理学を学んだが、学会で外国の研究者と意思疎通すらできない自分たち日本人に、猛烈な危機感を抱いたのが始まりだ。それは単に語学力だけの問題ではなく、外国人とコンタクトを取ろうとする意思そのもの、最も原始的なコミュニケーション力の欠如と言っていい。「こんな状況は私たちで終わりにしたい。次の世代に、英会話力という新しい窓を創ってあげたい」。それが開校の理由だった。
 経営者であり、妻であり、親であり、同時に祖父の介護まで行いながら自分の情熱を次々と形にしていく母への憧れ……母は信念の人であり、明らかに自分の人生を生きていた。その有形無形のイズムは長い年月をかけて中村のなかに種を蒔き、やがて彼女が一八歳を迎えるころ一気に芽吹くこととなる。

決められた物差しの中で、さまよう親子たち

校長・スタッフのみなさんと。創業時はネイティブ講師を自宅に下宿させていたほどだという

 海を渡った中村に、自由の大地は次々と価値観のシャワーを浴びせてくれた。中でも驚いたのは教育哲学だ。
 個人主義のアメリカでは、不得意な科目があってもそれを「劣る」とは見なさず、個性だと考える。代わりに得意なことをとことん認め、伸ばす教育だ。また、いま学力がふるわない子でも、学びへの熱意や努力の過程が評価されれば大学へも進学でき、奨学金も得られる。子供の未来に賭け、評価し、投資する発想なのだ。
 対して日本は、得意を伸ばすよりも、苦手をなくして平均化することが是とされる。「今の」成績が悪ければ次の学びの門は決して開かれない。日本式教育の利点も理解できるが、子供の価値をはかる物差しが学力しかないのはどうなのか。さらに、親も子もそれが正しいと信じ込まされ、成績だ受験だと踊らされ、疲弊を重ねている。そんな思考停止的社会に恐怖すら感じた。彼らを救い出してあげたい、そうじゃないよと教えてあげたい……中村のなかに理念が生まれた瞬間だった。
 やがて米国の大学を卒業して帰国。大手塾などで働いたのち、母の教室へ。夢は大きく「日本人の開放」である。母は英会話力を「窓」と称したが、その気持ちは同じだ。英語を通じて世界に繋がれば、視野の裾野は無限に広がる。学力=人間的価値という一方通行の一本道を歩いてきた子供たちに、「どこにだって歩き出せるんだ」と気づかせてあげたい。それが中村の、『パイオニア』たる彼女の、教育フロンティアだ。(敬称略)

文/松見敬彦

中村 由香里 YUKARI NAKAMURA

静岡県出身。英会話スクールを経営する両親のもとで育ち、留学を経て日本の教育の画一性に疑問を抱く。大手の塾企業・通信事業企業に勤めたのち、両親が興した『パイオニアランゲッジスクール』入社。受験英語ではなく英会話というスタンスを貫き、単なる語学力としてのそれではない、総合的・人間的コミュニケーション力を伸ばすことに力を注ぐ。  

●WEBサイト
http://www.pls-edu.jp

スマイルアシスト(栃木県)塾と親が手を取り合って みんなで育てる、心の〝共育〟を|疾風の如く|2016年2月号

人とは少し違う道を歩いてきた。
だからこそ、見えることもある。
勉強だけできても人は育たない。
心を育てて、人を育てる――
元・キャリア自衛官が抱いた
教育の理想とその挑戦。

スマイルアシスト(栃木県)

塾長 黒木 久美子さん

女子大生は、キャリア自衛官へ

黒木 久美子さん

「えっ、本当にウチでいいの!?」。採用担当者は、立場も忘れてそう尋ねた。それも無理はないだろう。その就活生は、なんとキリスト教系女子大の学生。同窓生の多くが銀行員や保育士として就職するなか、ここ・防衛省の門を叩いていた。しかも、各都道府県でたった一人しか採用されないと言われる裁判所勤務の内定を蹴って。まさに異色中の異色と言っていいだろう。
もちろん、防衛省だってエリートコースだが、いわゆるキャリア自衛官の道だ。精神的・体力的にも厳しく、男社会。職責も特殊である。
しかし、本人に迷いはない。当時はPKO活動が話題になりはじめたころで、「人を助けて、しかもそれが仕事になるなんて素晴らしい」と思っていた。自分の信念にまっすぐで、自他共に認める負けず嫌い。黒木久美子とはそういう女性であり、だからこそいま、塾をやっている。

教育を思うからこそ、教育から離れよう

実はもともと、教育への関心は強かった黒木。大学では教育実習も経験、生徒から慕われる人気の先生だった。「ああ、先生の仕事っていいな」。素直に、そう思ったという。
しかし、だからこそ彼女は教員の道へ進むのをやめた。「たかだか二〇年そこそこしか生きていない小娘が『先生』なんて呼ばれ、こんな狭い経験と視野で子供に何を伝えられるのか」と、採用試験を目の前に踵を返した。「一度、一般社会で揉まれ、それでも先生になりたいと思えたら挑戦しよう」と考えたのだ。
防衛省では暗号部隊へ。「相当やられましたね」と彼女は笑うが、そこは、予想通り厳しい世界だった。自衛官にとって〝現場〟とは戦地であり、自分一人のミスで部隊が全滅することもある。ここで仲間を思いやり、大事にする価値観を徹底的に鍛えられた。同時に上官として「人を育てる」ことの楽しさも再認識していた。
その後は順調なキャリアパスを重ねながらやがて結婚し、娘も産まれたが、それが転機に。女性が子育てしながら自衛官を務めるのは職務上かなり難しく、駐屯地内に保育所機能を持たせる意見具申をするなど奔走したが、物理的な壁もあり難しかった。
結果、ここでも彼女らしさを発揮する。次のあてもないまま退省したのだ。当然、周りは全力で慰留した。「なぜ安定を捨てるのか」「このままいけば勝ち組なのに」と。しかし彼女にとって、家族をないがしろにして得る将来など、決して勝ち組とは呼べなかったのだ。

個性心理学を活かし『三位一体』の塾を

笑顔が印象的な黒木さんだが、生徒と向き合うときは真剣そのもの

退省後は、地元・福島の有名企業へ。しかしそこは完全な個人主義の会社で、人材を育てようとしない。「隣のデスクにいるのは、仲間ではなく敵」というありさまで、勉強だけできて一流企業に入ってもこれでは…… という思いを強くした。
それが反面教師になったのか、学生時代のあの想いが頭をもたげる。「やっぱり、教育をやりたい。人を育てる塾を創りたい!」。
そうして着々と起業準備を進めるさなかだった。〝あの日〟が訪れたのは。―― 3・11。自宅は半壊、原発の不安もあった。開業どころか、生活もままならない状況に意を決し、娘を連れ栃木へと移住、そこで晴れて塾を開いた。
これまでの経験から、胸にあった想いは一つ。「まずは子供の自尊心を育てたい」。だが当初は、それがなかなか理解してもらえない。保護者が求めるのは「とにかく成績さえ上がればいい」ばかりで、まずはここを変えねばならなかった。
そこで個性心理学を学び、その子の個性や才能に即して指導を使い分ける手法を取り入れた。さらに親をも巻き込み、親身に相談に乗りながら協力して子供らを育てる『三位一体』『親子共学』の教育も実践。実は親自身も、子育てに多くの悩みを抱えていたのだ。その取り組みはみるみる地域に浸透し、いまや押しも押されもせぬ人気塾だ。
「うちから世界に羽ばたく子を育てたいんです」(黒木)と理想は高い。自らが異色のキャリアを歩んできたからこそ、伝えられることがきっとある。(敬称略)文/松見敬彦

黒木 久美子 KUMIKO KUROKI

福島市出身。防衛省・民間企業を経て、震災後は栃木県小山市に移住。一度は福島での開業を諦めた学習塾を立ち上げ、「教育を通して世界中の子どもたちを笑顔にする」という志を基に、その子の個性を明らかにすることで才能を伸ばす教育を実践中。また、母子のストレス軽減・学習環境改善に取り組む「個育てマム」を主宰するほか、DAREDEMO HERO日本支部関東統括長として、フィリピンの貧困層の子供たちの教育支援、小山市の国際交流会おいふぁの理事も務める。

●WEBサイト
http://www.smile-assist.net/

WinStar個別ONE(兵庫県)塾に携わる者だからこそ、あえて。 目指したのは「塾のない社会」|疾風の如く|2016年1月号

どこを向いて仕事をしている?
 誰のため、何のために塾で働く?
 忘れてしまっていないか子供のための教育を自分が楽しみながら働くという当たり前のことを

WinStar個別ONE(兵庫県)

代表 北浦 壮さん

WinStar個別ONE 北浦 壮氏

塾は趣味でやりたい

戦火に散った戦場カメラマン・ロバート=キャパは言った。「私の一番の願いは、失業することだ」。世界に平和が訪れ、戦場カメラマンという仕事が必要ない社会の実現を願った言葉である。
 思えば、すべての仕事はそんな悲しい皮肉をはらんでいると言っていい。塾だってそうだ。子供たちの学力向上が塾の第一義だとすれば、塾を必要としない世の中にするのが、塾人が目指す最終目的地なのかもしれない。まあ、頭では理解しても、心からそう思うのはたやすくないが。
 しかし、北浦壮(三六)は違った。はばからずそれを口にする。「子供たちが塾なんて行かずに済むようするのが最終目標です」。同時に「塾は趣味でやりたい」とも言い切る。誤解を受けそうな言葉だが、もちろん塾という仕事を舐めているわけではない。そこにこそ、北浦が塾をやる理由、目指した理想があった。

心臓病の少年との出会い

いわゆる〝夜の街〟でアルバイトをしながら、二六歳まで司法浪人を続けたが挫折。それが周囲の笑い物になっているような気がして、いたたまれず故郷を逃げ出し、縁もゆかりもない地で大手進学塾に就職した。「僕は基本的に、逃げてばかりのダメ人間なんですよ」と笑うが、そんな自然体も彼の魅力だ。
 塾を選んだのは、かつて「教育で人は変わる」喜びを経験していたからだ。高一のころ、近所のとある小学生の家庭教師を頼まれたのだが、その子は心臓病を患っており、気も弱く、二〇歳まで生きられないとも言われていた。ふさぎこみがちな我が子を心配した母親が、「せめて話し相手に……」と北浦を引き合わせたのだ。
 勉強もそれなりに教えたが、くだらない日常のこと、女の子のこと、ちょっと悪い遊びのこと……まともな学校や塾なら大問題になりそうな話題もたくさん語りあった。それはお世辞にも上品な「教育」ではなかったが、血の通った真実がたくさんあった。「臭いものに蓋をしない」――それこそ北浦の教育であり、その姿勢は塾を開いた今も変わらない。やがて少年は奇跡的に回復し、明るく元気になったうえ社会復帰も遂げ、今でも友達のような存在だという。そこに北浦は「人を育てる」という教育の純粋な楽しさを見出したのだ。

売上を追い求めない塾を作りたい

しかし、最初に就職した塾は、いわゆる軍隊式で売り上げ至上主義。自身は常にトップクラスの成果を出してはいたものの、違和感をぬぐえなかった。後に転職した塾もそれは同じで、どこか社員たちが、生徒でなく会社のほうを向いて仕事をしているように感じたのだ。子供たちには「生きる力」だ、「夢を持て」だと言いながら、当の先生たちが仕事、ひいては人生を楽しんでいるようには到底見えなかった。
「この人たちは、誰のため、何のために塾で働いているんだ?」。そう思ったとき、独立するのは自明の理だったと言えよう。

夏のキャンプにて。その笑顔から、いかに子供たちと一体になって楽しんでいるかよく分かる

そこで、開業するに当たって重視したのは「自分も子供も」笑いあえる塾。営利に走らない塾。教育が売上追求の犠牲にならないよう、事業を多角展開し、利益の多くはそこで出そうと考えたのだ。北浦自身が塾を「楽しめる」こととは、自分の利益に惑わされず、純粋に子供たちの利益を追求できることであり、「塾は趣味でやりたい」という言葉の真意もここにある。
 だから、今でもチラシはほとんど打たないし、無理な入塾も迫らない。塾生の成績が上昇してきたら、平気で(もっとハイレベルな)他塾への転塾を勧める。不思議なもので、そうすればするほど生徒は増えたし、生徒たちの成績も上がった。塾生同士も結束が強く、小学生から浪人生まで、まるで家族のような関係性だという。個別指導塾では珍しいことだ。
「塾というより、教育を通じた地域サロンのような場にしたい」と北浦。もしかしたらそれは、彼の目指した「塾のない社会」の第一歩、あるいは進化した塾の形なのかもしれない。(敬称略)

文/松見敬彦

北浦 壮 TAKESHI KITAURA

1979年生まれ、大阪府出身。塾が過剰な営利主義に走ることを疑問視し、理想を求めて独立開業。「自分(講師や社員)が幸せでないのに、他人(生徒)を幸せにはできない」という理念のもと、塾の社会的地位向上を目指す。そのため、各教室長がプロとして独立した裁量権を持って教室運営するスタイルを取る。気さくな人柄で「僕みたいな人間でも、楽しいことを追求して生きていけるんだと子供らに伝えたい」と語る。
●WEBサイト
http://www.win-star.jp/
●ブログ
http://ameblo.jp/hoshitea/

麹町学園女子中学校・高等学校|挑む私学|月刊私塾界2016年2月号掲載

昨年、創立110周年を迎えた麴町学園女子中学校高等学校。伝統ある同校だが、ここ数年は教育改革に関する大きなトピックスが聞こえてこなかった。
 しかし、今、財団法人実用英語推進機構代表理事であり、「英語教育の在り方に関する有識者会議」の委員も務める安河内哲也氏を特別顧問に招き、まさに大改革がおこなわれている。
 そこで今回は、英語教育改革を中心に、次代を見据えた進化に挑む同校にフォーカスしたい。

麹町学園女子中学校・高等学校

校長 山本 三郎氏
特別顧問 安河内 哲也氏

麹町学園の校舎

麹町学園の校舎

「みらい型学力」

グローバル社会、情報化社会、そして大学入試改革に対応するためにこれから求められる力を、麴町学園女子中学校高等学校では総称して「みらい型学力」と呼んでいる。
 その内容の一つは、「思考型授業」。講義型と思考型の学習を組み合わせた指導法を展開し、身につけた知識をもとに生徒間でディスカッションを行いながら理解を深めるために、各教科でアクティブラーニングを行う。

16代校長の山本三郎氏

16代校長の山本三郎氏

二つ目は、「みらい科」だ。これは、同校が独自に実施している進路教育プログラムだ。課題対応力や人間関係形成能力を感得できる「みらい論文」、「クリティカルシンキング授業」、自己理解、自己管理能力を醸成するための「レジリエンス教育」など多岐に渡っている。

みらい型学力のイメージ

みらい型学力のイメージ

三つ目は、「グローバルプログラム」である。同校では、中学2年生時には、全員参加のアイルランドへの海外研修旅行を用意している。また、中学3年生のGA・SAプレコースでは、3学期時にニュージーランドへの3ヶ月留学も用意し、英語を使うことから異文化理解、多様な人々との協働を通して学びを深めていく。
 もちろん、希望者には短期・長期を問わず海外留学の門戸を開いている。
 昨年16代校長として着任した山本三郎氏は、これらを掲げて学校改革に着手。さらに、英語科特別顧問に安河内哲也氏を招き、英語教育改革「アクティブイングリッシュ」を新たな柱に据えている。

「アクティブイングリッシュ」
英語科特別顧問の安河内哲也氏

英語科特別顧問として安河内哲也氏を昨年10月に迎えた。

昨年10月より特別顧問に就任した安河内氏と英語科でミーティングを重ね、共働して着々と改革を進めている。
 例えば、英語科の10の約束である。その内容は、
1・授業では最新のテクノロジーをフル活用します。
2・授業の半分以上は生徒の言語活動に当てます。
3・すべての教員は音声を重視した指導します。
4・頭を使わない丸写しのような作業はやらせません。
5・教師も積極的に英語を話します。
6・無計画な宿題は出しません。
7・英語の授業では全文訳は書かせません。
8・決められた教材を中心に反復を重視します。
9・ネイティヴの音声を多く使います。
10・英語が楽しくなる工夫を授業に盛り込みます。
となっている。
 これを公約し、実行に移すのは相当覚悟のいることだろう。
 しかし、これらを実行するために、「英語は音声教育の徹底」、「ICTのフル活用」、「チームティーチング」、「アクティブラーニング」、「モチベーションを上げる体験」の5つの柱を中心に据え、4技能を磨き、使える英語を身につける取り組みを強化していく。
 具体的な変化としては、2016年度の新中学1年生からは、これまでおこなってきた朝読書に加えて、毎朝10分の英語の音声活動を開始する。これは全国的にも類を見ない新しい取り組みだ。

i LoungeでのChristmas

2015年9月に新設したi Loungeで安河内哲也氏。

もちろん、他学年の在校生に対しても同様に、導入準備を始めている。さらに、ユニークな試みとして英語の歌による合唱コンクールも計画されている。
 ICTの活用については、全教室にプロジェクターとスクリーンが設置された。その使い方を生徒にもレクチャーし、朝の音声活動などを生徒が中心になり運営していく。さらに、無線LANも全教室に備え、海外の大学の講義をネット閲覧できるようにすることも検討している。
 また、チームティーチングを導入することにより、教員間で教材の共有化やメソッドの統一が期待できる。そして、教員に時間的余裕が生まれ、空いた時間に研修をおこなうなど、指導力の研鑽に充てることができ、教員のスキル向上を図ることができる。
「アクティブラーニング」については、先に挙げたように、生徒が授業運営に参加することで、自ずと能動的に学ぶ環境が整備される。
 また、平常点による定性的評価、CAN‐DOリストも導入される。

i Lounge

i Loungeでリラックスしながら英語に親しむ生徒たち

そして、「モチベーションを上げる体験」。同校には、校内英語村として、英語のみで運営されるスペース〝iLOUNGE〟が設置された。その中では、お菓子なども食べることができ、リラックスしながら、英語に親しむことができるようになっている。
 また、〝多読ライブラリ〟を設置し、本棚には多数の洋書が置かれる。
さらに、教材の選定、作業型宿題の廃止、定期試験のフォーマットの統一、英語関係のイベントの誘致、英語コンテストなど、わずか数ヶ月で数えきれないほどの改革が実行されようとしている。
 まさしく「アクティブイングリッシュ」である。

山本校長

就任以来、次々と改革を実行に移す山本校長

改革はまだ序章に過ぎない

安河内氏は言う。「この学校で英語教育を変えられなかったらどこでもできない。不易である過去の伝統も大事ですが、それに固執していれば輝を失ってしまいます。私学としての魅力を発揮するためには、常に次代を見据え、進化することが不可欠です」
 また、山本校長は、「現在、授業時間は34時間体制ですが、来年からは7時間目を作り、その時間にキャリア教育や国際理解教育として、社会で活躍する女性を招いた授業等を行う予定です。しかし、まだ〝やります〟という段階です。本当に試されるのは、次年度。今、次年度に向けて様々な準備をしています」と語る。

開校当時の様子

1905年に大築佛郎氏によって開校された当時の様子

麴町学園女子中学校高等学校は、これまでよりもスピードを上げ、高みを目指した改革を進めている。そうした改革は、同校だけでなく、他校、さらには公教育全体の試金石となるのではないだろうか。
 ぜひ、新しい学校教育の旗手となってもらいたい。

■学校データ
学校法人 麹町学園
麹町学園女子中学校・高等学校
〒102-0083
東京都千代田区麹町3-8
http://www.kojimachi.ed.jp
TEL :03-3263-3011(代)
FAX :03-3265-8777
2017年1月12日(木)、21日(土)に入試説明会を実施

月刊私塾界2016年12月号(通巻428号)

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巻頭言

早や師走。例年のことだが、入試への追い込み時期到来である。インフルエンザ等健康に留意し、生徒たちへの指導に奔走していただきたい。
 9月、メキシコのグアダラハラにて開催された国際学会「IAC2016」で、スペースX社イーロン・マスクCEOが火星移民のための宇宙輸送システム「インタープラネタリー・トランスポート・システム(ITS)」構想を発表した。
 ITSは全て再使用型のロケットエンジン、打ち上げ機、宇宙船からなる宇宙飛行システムである。火星への有人飛行を想定したシステムであり、100万人規模での移民を視野に入れる。更に、生命体の存在が期待される木星の衛星エウロパと、土星の衛星エンセラダスへの着陸までも計画される。
なんと壮大な計画であろうか。
 しかも、6年後の2022年から運用が開始される、と云う。虚言とも思えるような計画であるが、内容は実に緻密である。
 同社は、ファルコン9で打ち上げたロケットの第一段目部分を、エンジン逆噴射により、地上や洋上で垂直状態で着陸・回収するという、想像を絶するような技術を見事開発した。それだけに現実味を帯びる。期待したい。
 学習塾業界ではどうだろうか。壮大な計画や如何に。売上1兆円を目指す、全ての生徒の成績を必ず上げる指導方法の考案、徹底したマーチャンダイジングによるカリキュラムや教材の開発などなど。
 さて、初夢が楽しみである。

(如己 一)

目次

  • 8 CatchUp01 ケイシングループ 中四国地方に生徒数5500名を超えるグループが誕生
  • 10 CatchUp02 なかざわ・塾 本格的英語スクールのタブレット化を実現
  • 12 挑む私学 啓明学院中学校 高等学校
  • 14 HOT TOPICS01
  •    教える力のグランドチャンピオンに輝いたのは、
       中萬学院の橋本雅由先生
       「第6回 全国模擬授業大会 in 名古屋」で

  • 16 HOT TOPICS02
  •    地方は教育改革とどう向き合っていくのか?
       「徳島人材育成シンポジウム」で討議

  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 46 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 47【特集①】株式公開企業塾の2017年 第2四半期決算を読む
  • 56【特集②】高大接続改革に向けて今すべきことはなにか?
  • 70 短期集中連載「自立学習」を超えて!(10) 山田徹雄
  • 72 教育サービス業界 企業研究(50) 株式会社恵学社
  • 79 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(276)
  • 80 疾風の如く(89)個別志導のサクセス(愛知県)塾長 近藤 成人さん
  • 82 好機到来(20) イデアスポット 代表 竹山 隼矢さん
  • 84 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(44)
  • 86 白書界隈徘徊話(21) 西村克之
  • 88 自ら動き出すチームにする方法(27) 中谷彰宏
  • 90 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(41)
  • 91 芸術見聞録(41)
  • 92 高校生からの子育てハイウェイ(20)
  • 93 クロスワードパズル「塾長の机」
  • 94 為田裕行の「教育ICT行」(21)
  • 96 塾ソムリエの講師研修指南 西村則康(名門指導会代表 塾ソムリエ)(10)
  • 98 林明夫の「歩きながら考える」(136)
  • 100 咲かせよ桜(25) 小林哲夫
  • 104 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(44)
  • 106 論点2016(12) 不登校の実情
  • 110 編集後記
  • 112 Book Review
  • 114 塾長のためのガジェット講座

月刊私塾界2016年11月号(通巻427号)

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巻頭言

次年度の準備は如何だろうか。
 今年は昨年にも増して教育ICTのニュースが多い。シンポジウム、展示会、そして数々の導入や実践事例。これから導入を予定しているところもあろうし、まだどうしたら良いか迷っている方々もおられると推測する。また、既に使い始め、ヴァージョン・アップを検討している学習塾もあろう。
 いずれにしてもこれだけ多くのツールが開発され、日進月歩で新たなシステムが次々出ると、何をどのようにしたら良いか迷う。ここで一度立ち止まり、何のためにICTを利用したいのか、考えてみる必要がありはしないだろうか。
 その第一は、自塾の教育理念や経営理念と照らし合わせることだ。最も基本となる事柄から導き出すことが必要である。そうしないと利用目的が明確化しない。
 また、教育工学の観点から教育ICTを考察することも有益である。起点が解り、どこでどのように分岐し、今後どのように進むかを理解できる。専門書に触れることを推奨する。
 ところで、公文教育研究会が認知症重症化予防サービスとして、「学習療法」を提供していることをご存知だろうか。現在約1600の介護施設などで1万2千人余が利用する。要介護度が上がらない実績が出ている。学習教材は公文お得意の紙と鉛筆、高齢者二人に一人のスタッフがつく。何ともローテクの世界なのである。しかし、ハイタッチの世界だ。
 皆さんも自塾のリソースを洗ってみてはどうか(頭の中も)。宝の山が眠っているやも。

(如己 一)

目次

  • 8 CatchUp01 イング
  •    子供たちの成長実感を創造すること・・・
       そのためにイングが力を入れていること

  • 10 CatchUp02 英俊社
  •    欲しい過去問をピンポイントで選択、
       オリジナル教材を作成

  • 12 CatchUp03 サテライトネット
  •    教育から地域貢献を

  • 14 HOT TOPICS01 教育改革先取り対応セミナー
  • 16 挑む私学 東京女子学園中学校・高等学校
  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 50 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 51【特集】 教育ICT考 2016・秋(後編)
  • 60 HOT TOPICS02 さらなる教育力の向上を目指す「興学社大学」
  • 62 短期集中連載「自立学習」を超えて!(9) 山田徹雄
  • 64【TOP LEADER Company】
  •    夢を追い求め、果敢に挑戦する
       学校法人 創志学園

  • 76 教育サービス業界 企業研究(49) 大阪進研
  • 79 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(275)
  • 80 疾風の如く(88)
  •   学習支援塾ビーンズ(東京都)
      代表 塚﨑 康弘さん

  • 82 好機到来(19) マツハシゼミナール 代表 橋山 智洋さん
  • 84 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(42)
  • 86 白書界隈徘徊話(20) 西村克之
  • 88 自ら動き出すチームにする方法(26) 中谷彰宏
  • 90 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(40)
  • 91 芸術見聞録(40)
  • 92 高校生からの子育てハイウェイ(19)
  • 93 クロスワードパズル「塾長の机」
  • 94 為田裕行の「教育ICT行」(20)
  • 96 新・授業改革を目指して(93) 石川幸夫
  • 98 林明夫の「歩きながら考える」(135)
  • 100 咲かせよ桜(24) 小林哲夫
  • 104 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(43)
  • 106 論点2016(11) 学校耐震化。そして、老朽化対策
  • 110 編集後記
  • 112 Book Review
  • 114 塾長のためのガジェット講座

月刊私塾界2016年10月号(通巻426号)

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巻頭言

とろさば料理専門店「SABAR(サバー)」をご存知だろうか。「株式会社鯖や」が展開する。
 鯖料理専門だけでもユニークであるが、それに留まらない。店舗開設や運営資金をクラウドファンディングする。最速65時間で調達した例を持つ。また、鯖の蓄養にも乗り出す。その資金1億円余も同方法で集める。
 当初は八戸前沖で獲れた鯖のみを使用していたが、1匹550g以上の鯖のみを用いるこだわりを守り、東北近海まで範囲を広げた。それでも品薄で、店舗展開に追い付かず、蓄養を始める。
 クラウドファンディングを実施する学習塾を散見するが、成功例を寡聞にして知らない。鯖やの専門性、こだわり、ストーリー性等に成功のヒントがありそうである。
 もう一社「akippa(アキッパ)」を紹介する。駐車場を借りたい人と貸したい人(自宅や月極の空スペース)をマッチングする、所謂シェアリングエコノミーを展開する。駐車場数は、業界3位の6千個所に急造。独走するタイムズも対応せざるを得なくなった。コインパーク概念のコペルニクス的転換を果たした。
 皆さんの学習塾での教え方は如何か。旧態依然としていないだろうか。幾何などは2600年前のピタゴラス同様ではないだろうか。正攻法ではあるが、生徒が集まらない理由はその辺りにあるのかも知れない。
 自塾内、業界内で解決できない課題でも、他社や異業種に解決策を見出すことができる。是非「学ぶ=真似ぶ」を。

(如己 一)

目次

  • 8 CatchUp01 ユナイテッド・インテリジェンス
  •    本格的なプログラミング講座を始動

  • 10 CatchUp02 スタディプラス 勉強を記録・共有する
  • 12 特別取材・熊本地震
       地震の後も熊本の私塾が貫いた、民間教育機関としての使命
  • 16 挑む私学 大妻中野中学校・高等学校
  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 46 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 47【特集】
       教育ICT考 2016・秋
  • 56 【私塾界大学 経営学部 教育経済学科 E2BASU】
       大学入試改革研究会 研究レポート Part3 
  • 60 短期集中連載「自立学習」を超えて!(8) 山田徹雄
  • 62【TOP LEADER Company】
       新潟から世界を見つめて
       NSGグループ
  • 72 教育サービス業界 企業研究(48) JR西日本
  • 75 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(274)
  • 76 疾風の如く(87)一会塾(神奈川県)代表 山口 滋朗さん
  • 78 好機到来(18) 明蓬館高等学校 校長 日野公三さん
  • 80 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(41)
  • 82 白書界隈徘徊話(19) 西村克之
  • 84 自ら動き出すチームにする方法(25) 中谷彰宏
  • 86 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(39)
  • 87 芸術見聞録(39)
  • 88 高校生からの子育てハイウェイ(18)
  • 89 クロスワードパズル「塾長の机」
  • 90 為田裕行の「教育ICT行」(19)
  • 92 塾ソムリエの講師研修指南 西村則康(名門指導会代表 塾ソムリエ)(9)
  • 94 林明夫の「歩きながら考える」(134)
  • 96 咲かせよ桜(23) 小林哲夫
  • 100 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(42)
  • 102 論点2016(10) 見えてきた次期学習指導要領
  • 106 編集後記
  • 108 Book Review
  • 110 塾長のためのガジェット講座

月刊私塾界2016年9月号(通巻425号)

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巻頭言

夏期講習や特訓合宿などを経て、生徒たちは学力は勿論、人間的にも一回りも二回りも成長したことでしょう。先生方もその実感を胸に、二学期の指導に熱が入っていることと拝察する。
読者諸兄の中には、健康目的でヨーグルトを食べている方が、結構おられるのではないだろうか。「腸の調子が良くなる」とか、「アレルギーが改善する」、更には「免疫が高まる」などと。かく言う筆者もその一人だ。
しかし、である。これらはイメージで、エビデンスがあるものは感染性腸炎についてだけだそうだ。
ヨーグルトが体に良いイメージがあるのは、イリヤ・メチニコフ(1845~1916)の研究からである。彼は腸内細菌に着目し、乳酸菌が腸内の悪玉菌を減少させる作用に注目した。また、ブルガリアが長寿地域であり、ヨーグルトを日常的に摂取する環境下にある。このことから、ヨーグルトが健康に良いイメージができた。
それから一世紀。未だにアレルギー改善とか、免疫力が高まるなどのエビデンスは無い、と稲島司東京大学病院循環器専門医は云う。
中室牧子慶応義塾大学准教授は、「教育にエビデンスを」と盛んに発信する。そう、教育の世界では、印象や個人的体験で物事を発言しがちである。いじめ問題などの様々なコメントをみれば分かる。科学的根拠が無い発言、処方ばかりだ。
父母会や入塾説明会等で、イメージで語ってはいないだろうか。エビデンスを用いてで説明すれば、格段に信頼が増す。

(如己 一)

目次

  • 6 CatchUp SSゼミナール
  • 既存の方法にとらわれない次世代型の塾教育

  • 8 Special Report01 リーダーズフォーラム2016 in 東京
  • 16 Special Report02 リーダーズフォーラム2016 in 大阪
  • 22 Special Report03 大学入試改革に向けた公開討論会
  • 27 目次・巻頭言
  • 28 NEWS ARCHIVES
  • 52 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 53【特集】①アクティブ・ラーニングがはじまる教室
  • 62【特集】②株式公開企業塾の2017年度 第1四半期決算を読む
  • 70 【私塾界大学 経営学部 教育経済学科 E2BASU】
  • 大学入試改革研究会 研究レポート Part2

  • 74 短期集中連載「自立学習」を超えて!(7) 山田徹雄
  • 76【TOP LEADER Company】
  • 顧客満足のカギは講師にあり 株式会社 東京個別指導学院

  • 86 新しい塾のカタチ
  • やる気スイッチグループホールディングス株式会社
    総合的な教育プラットフォームが未来の大きなビジネスに。

  • 90 挑む私学
  • 東京家政大学附属女子中学校・高等学校
    135周年の学園が掲げる「自主自律」の教育

  • 92 教育サービス業界 企業研究(47) 株式会社ユーデック
  • 95 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(273)
  • 96 疾風の如く(86)
  • 株式会社メイツ(東京都) 代表取締役 遠藤 尚範さん

  • 98 好機到来(17) 清水教育研究社 代表 清水 詠一 さん
  • 100 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(40)
  • 102 白書界隈徘徊話(18) 西村克之
  • 104 自ら動き出すチームにする方法(24) 中谷彰宏
  • 106 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(38)
  • 107 芸術見聞録(38)
  • 108 高校生からの子育てハイウェイ(17)
  • 109 クロスワードパズル「塾長の机」
  • 110 為田裕行の「教育ICT行」(18)
  • 112 新・授業改革を目指して(92) 石川幸夫
  • 114 林明夫の「歩きながら考える」(133)
  • 116 咲かせよ桜(22) 小林哲夫
  • 120 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(41)
  • 122 論点2016(9) 定着しない専門職大学院
  • 126 編集後記
  • 128 Book Review
  • 130 塾長のためのガジェット講座

月刊私塾界2016年8月号(通巻424号)

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巻頭言

理化学研究所の森田浩介グループディレクターが率いる新元素探索チームが、原子番号113番を発見した。世界中のチームと鎬を削り、12年に成功した。03年から原子番号30の亜鉛と83のビスマスを加速器内で衝突させ核融合反応を起こし、実験を繰り返した。
 森田チームは命名権を得、「ニホニウム」と提案し、6月8日に公表した。日本由来初の元素だ。
 現在の原子核物理学では、新しい元素の存在だけでなく、その性質まで予測できる。それを莫大な費用と時間を費やす意味があるか、などと批判してはならない。このような基礎研究が重要なのである。
 同じようなことがある。重力波の発見だ。こちらはアインシュタインが100年前に、理論的に予測した。それが昨年9月初めて観測に成功した。ブラックホールのような光を発しない天体の天文学が始まる。昨年ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章氏も、今年3月から「KAGURA」を用いて観測を開始した。
 教育におけるCAIは、第二次世界大戦中アメリカで兵士教育のために、研究・開発されたものだ。今では、eラーニング、それも人工知能(AI)やビッグデータを利用したものにまで達している。
 これはペスタロッチやデューイらの基礎研究の上に、ガルニエの学習理論やアフォーダンス理論等々を積み上げた上に成り立つ。
 是非、読者諸兄も基礎理論や応用研究を学び、グーグルやマイクロソフトが提供するAIを利用し、新たな学習機会の創造にチャレンジして欲しい。

(如己 一)

目次

  • 14 CatchUp 七田チャイルドアカデミー
       脳を喜ばせながら五感を楽しく刺激する
  • 16 挑む私学
       2017年4月 校名変更予定
       アサンプション国際中学校高等学校
       未来の社会で活躍する人を育てる教育改革
  • 19 目次・巻頭言
  • 20 NEWS ARCHIVES
  • 42 HOT TOPICS 第11回 全国模擬授業大会
  • 44 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
  • 45【特集】
       2020年に間に合うか?
      英語教育改革の現在地
  • 54 【私塾界大学 経営学部 教育経済工学科】
       大学入試改革研究会 研究レポート Part1 
  • 60【TOP LEADER Company】
       学習塾の価値をもう一段高めていく
       株式会社 栄光
  • 70 短期集中連載「自立学習」を超えて!(6) 山田徹雄
  • 72 教育サービス業界 企業研究(46) 株式会社イングリッシュセントラル
  • 75 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(272)
  • 76 疾風の如く(85)
      株式会社たまみずき(東京都)
      代表取締役 櫻井 元さん
  • 78 好機到来(16) 株式会社サイトビジット 代表取締役 鬼頭 政人さん
  • 80 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(39)
  • 82 白書界隈徘徊話(17) 西村克之
  • 84 自ら動き出すチームにする方法(23) 中谷彰宏
  • 86 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(37)
  • 87 芸術見聞録(37)
  • 88 高校生からの子育てハイウェイ(16)
  • 89 クロスワードパズル「塾長の机」
  • 90 為田裕行の「教育ICT行」(16)
  • 92 塾ソムリエの講師研修指南 西村 則康(名門指導会代表 塾ソムリエ)(8)
  • 94 林明夫の「歩きながら考える」(132)
  • 96 咲かせよ桜(21) 小林哲夫
  • 100 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(40)
  • 102 論点2016(8) 正確に知ろう、発達障害
  • 104 編集後記
  • 108 Book Review
  • 110 塾長のためのガジェット講座
  • 月刊私塾界2016年7月号(通巻423号)

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    巻頭言

    今年の夏期講習では、何か新たな取り組みがおありだろうか。講座、カリキュラム、教材などなど。
    エチオピアで生産されたTシャツ30万枚が、日本に出荷された。製造したのは、岡山県に本社を置く株式会社ストライプインターナショナルだ。
    エチオピアは工場労働者の賃金が低いことから(中国の10分の1、月額40~60ドル)、多くの企業が進出する。GE、サムスン、ハイネケン等世界の大企業だ。
    しかし、労働者の生産性や技能レベルは高くない。また、道路、電力等のインフラは未整備であり、関税や許認可などのルールも不明確だ。更に、内陸国であり、隣国のジブチの港から輸出する。
    アパレルの巨人H&Mでさえクリアーできないそれらハードルを、見事に乗り越えた。読者諸兄は最先端を行く製造型小売業(SPA)だからだ、とお考えであろうか。
    茨城県竜ケ崎市にある横田農場。日本の水稲栽培農家の耕作面積が平均1㌶のところ、横田農場は120㌶。これを1台の田植え機と1台のトラクターで作業する。そのために、7種類の米品種を2ヶ月かけて植え、2ヶ月かけて収穫する作業体系を構築する。驚異的な高効率を達成している。にもかかわらず、九州大学の研究プロジェクトに参加し、更なるイノベーションを目指す。如何だろうか。
    先日、某大学の教育工学研究室を訪ねた。先生曰く、必ず成績を上げる方法がある、と。再現性があること。属人的でないこと。これこそ科学である。改革の種は至る所にある。

    (如己 一)

    目次

      【2016年7月号 目次】

    • 6 CatchUp1 グローバルキッズ倶楽部(GKC)
      京都教育界の老舗、成基が手掛ける英語学童教室
    • 8 CatchUp2 FLENS
      教育ICT市場を丁寧に開拓する
    • 10 SpecialReport・1 私塾界リーダーズフォーラム in 博多
      公益社団法人 全国学習塾協会 九州・沖縄支部 全国研修会 共催
      ICT・人工知能(AI)、アクティブ・ラーニング、高大接続、教育再生について考える
    • 14 SpecialReport・2 私塾界リーダーズフォーラム in 金沢
      学習塾協議会いしかわ 共催
      英語教育改革、グローバル人財育成、アクティブ・ラーニング、高大接続、教育再生について考える
    • 19 目次・巻頭言
    • 20 NEWS ARCHIVES
    • 44 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
    • 45【特集】
      株式公開企業塾 2016年度3月期決算を読む
    • 54 HOT TOPICS  人間の可能性に触れる
      第14回 全日本私塾教育ネットワーク(私塾ネット)全国研修会
    • 56 シリーズ・教育改革
      迫る大学入試改革、わが子が身につけるべき本当の力とは?
    • 58 短期集中連載「自立学習」を超えて!(5) 山田徹雄
    • 60【TOP LEADER】
      第23回 東進衛星予備校全国大会
      独立自尊の社会・世界に貢献する人財を育成する
      ナガセグループ
    • 70 挑む私学 東京立正中学校・高等学校
    • 72 教育サービス業界 企業研究(45) 株式会社ナイトズーキーパー
    • 75 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(271)
    • 76 疾風の如く(84)
      探究堂(京都府)
      代表 山田 洋文さん
    • 78 好機到来(15) NPO法人 高卒支援会 理事長 杉浦 孝宣さん
    • 80 新米塾長のための「学習塾経営基礎講座」(38)
    • 82 白書界隈徘徊話(16) 西村克之
    • 84 自ら動き出すチームにする方法(22) 中谷彰宏
    • 86 新米塾長のための「部下とサシで行きたいごはん屋さん」(36)
    • 87 芸術見聞録(36)
    • 88 高校生からの子育てハイウェイ(15)
    • 89 クロスワードパズル「塾長の机」
    • 90 為田裕行の「教育ICT行」(15)
    • 92 新・授業改革を目指して(91) 石川幸夫
    • 94 林明夫の「歩きながら考える」(131)
    • 96 咲かせよ桜(20) 小林哲夫
    • 100 未之知也(いまだこれ知らざるなり)(39)
    • 102 論点2016(7) 奨学金制度の本来的趣旨
    • 106 編集後記
    • 108 Book Review
    • 110 塾長のためのガジェット講座