市内の全小学生にタブレットを配り、教育のICT化を推進している佐賀県武雄市と、その効果等の検証をおこなっている東洋大学が、6月の第一次検証報告に続く第二次検証報告会を9月28日に開いた。冒頭、武雄市の小松政市長は「地方創生の根本は人づくりであり、人づくりに欠かせないのが教育である」と同市の教育に対する考えを述べた。
武雄市は市内1小学校の1年生を対象にプログラミング教育をおこなっているほか、全3年生以上の算数、全4年生以上の理科で反転授業を実施。6月の報告では98%の子供がプログラミング授業は楽しかったと答えていることや、85%が反転授業を楽しみにしているといった調査結果を紹介している。
そして今回は保護者、動画を開発した企業全3社、教員へのアンケート結果を報告。武雄市教育長の浦郷究氏は「検証を実施してもらえることは大変ありがたい。全市的にこの取り組みに意義を感じている」と感謝の意を述べた。
保護者に対するアンケートでは、反転授業を概ね理解している割合は約58%と、まだまだ認知度が低いことが分かった。また、動画を開発した企業からは「子供の学習に役立ち、普段の仕事とは違ったやりがいがあった」「教育現場でどのようなコンテンツが望まれているか把握できた」などの前向きな意見が聞かれた一方、3社とも開発費用の負担が大きいことを課題として挙げた。
教員へのアンケートでは「前もって動画を見ることで理解度が増しているのではないか」「事前に動画を見ることで自分の考えを持って授業に臨め、安心しているようだ」といった効果が挙げられたのに対し、課題として「反転授業に適した単元とそうでないものがあるため、どの単元を反転授業にすべきか見直しが必要では」「動画がない通常授業で、いかに予習を習慣づけるかがポイントだ」といった意見があった。
また、教員へは「多忙感」と「達成感」に関するアンケートも実施。反転授業以前の2014年2月は「達成感を感じつつも、多忙感を感じている」教員が多かったのに対し、実施後の15年2月は「達成感が増し、多忙感が減った」という結果が出ている。東洋大学 副学長の松原聡氏は「タブレットの導入で忙しくなっているはずだが、先生たちの多忙感が減ったことは大きい」と反転授業の効果を示した。
算数、理科に占める反転授業の割合は年間授業数の2割程度で、そのうちの約3割が教員の裁量によって通常授業に置き換えられている。今後はその3割を減らしつつ、15年4月にタブレットが配られた市内全中学生と合わせ、引き続き効果を検証していきたいとした。
[…] 武雄市の小学校 ICT化により先生の「達成感」増し「多忙感」減る http://www.shijyukukai.jp/2015/10/8599 […]
[…] 小学校 ICT化により先生の「達成感」増し「多忙感」減る http://www.shijyukukai.jp/2015/10/8599 […]