中高受験において、地域ナンバーワンの合格実績を誇るセナミ学院(茨城県筑西市)。大学受験に関しても、中高受験の結果には及ばないものの、一定の成果を上げている。そうした中で、東進が新たに提供する「東進個別」を導入し、更なる底上げを図ろうとしている。広瀬伸一代表に、「東進個別」を導入しようと思ったきっかけなどを取材した。
地域トップの合格実績の裏に国語力あり

――まずはセナミ学院の特徴をお聞かせください。
当塾は小学生から高校生までをお預かりしていて、小中学生の8割は集団、2割は個別で指導しています。
昨年までは高校生に関しては東進衛星予備校のほか、独自の集団授業コースも開設していました。
校舎は茨城県の西部に3校舎を展開。この地域には下館第一高校と下妻第一高校という、成績上位の公立高校があるのですが、数年前に両校とも中高一貫化をしました。
この二つの附属中学では、初年度から定員の50%以上を当塾出身者が占めるなど、おかげさまで中高受験においては地域ナンバーワンの合格実績となっています。
――素晴らしいですね。公立中高一貫校合格のために、どんなことを意識していますか。
文章をしっかり読み取る読解力、自分の考えをキチンと伝えるための思考力や表現力を養うようにしています。
そこで重きを置いているのが国語の授業です。国語は点数に直結しづらいほか、国語力を育成するには時間がかかるので軽んじがちですが、当塾では重視しています。
近年の大学入試では、文章量が増加。読解力が不可欠になっていますので、方向性は間違っていなかったと感じています。
――具体的に、どのような取り組みをおこなっているのでしょうか。
一つには作文があります。
「あなたの得意なことと苦手なことは何ですか?」「公立中高一貫校の適性検査で不安なことは何ですか?」「小学生に宿題を出すことをどう思いますか?」などなど、正解のない問いに対して自分の意見をしっかり述べられるよう訓練しています。
生徒たちが書いた文章はクラスで共有し、思考や表現の幅が広がるようにしています。
また集団指導のよさを生かし、面接対策やグループワークなどにも力を入れています。こうした学びは中学生になると忙しくてなかなかできないので、保護者会では小学生のうちに鍛えるべきだと伝えています。
遅れを取りそうな生徒は個別にフォロー
――小中学生を指導するうえで気を付けていることをお聞かせください。
遅れを取っている生徒をフォローできないと、退塾につながってしまいます。授業がわかりやすい、面白いというのは当たり前で、それにプラスして生徒一人ひとりに寄り添うことを意識しています。
もし仮に取り残されそうになっていても、しっかり面倒を見ていれば保護者は安心して通わせ続けてくれます。当たり前ではありますが、実践が難しいことを徹底するようにしています。
―― 保護者とのコミュニケーションは、どのようにされていますか?
気軽にやり取りができるシステムを導入し、積極的にコミュニケーションを取るよう心がけています。
例えば当塾では家庭学習用のワークを渡し、家で解いてもらっているのですが、なかにはうまく進められない生徒もいます。そうした家庭からは「ワークをほとんどやっていないので、先生から指導してもらえませんか?」といったメッセージが届きます。
やり取りが少ない保護者に対してはこちらから困り事がないか聞くなど、コミュニケーションの量を増やすよう配慮しています。
来年度から東進の「東進個別」を導入
――今度は高校生の指導に関して教えてください。
授業のない土日も塾に来る時間を決めてもらい、しっかり自習できるよう仕組み化しています。
また東進と平行して集団授業コースを開設してきたのは、東進の映像授業のレベルが高く、当塾に多く通う中間層の高校生には少し難しいと感じていたからです。
しかし来年度からは東進に「東進個別」が新設されるため、高校部の集団授業は廃止することとしました。
この東進個別は中学の復習もできるなど、スモールステップで基礎を積み上げられるんですよね。そのよさを実感し、導入を決めました。
――新たな展開が見えてきそうですね。
そうですね。以前から「定期テスト勉強会」を開催し、中間と期末の対策には力を入れてきたのですが、東進個別でも定期テスト対策をしてくれるので、総合型選抜がさらに強化できると期待しています。
――今後の展望についてお聞かせください。

小学生におこなっているグループワークや面接は将来、総合型選抜に間違いなく役立つと感じています。長期的な指導によって希望の進路が実現できると確信していますので、そのことを保護者に理解してもらうよう努めつつ、生徒数をさらに増やしてまいります。
またこの2月に、古河駅東口校を譲受することになりました。当塾の強みである小中部門を、夏にはその校舎に併設する予定です。譲受するのは今回が初めてですが、成功すればいろんなエリアに展開できると楽しみにしています。
中高受験では結果を出せているのに対し、大学受験は全国レベルに及んでおらず、長らく課題感を感じてきました。東大や早慶大といった超難関大に受かるポテンシャルを持つ生徒は少なくないと思っていますので、大学の合格実績もこれから高めてまいります。それによって低迷している名門公立高校の威厳を取り戻すことに貢献し、ひいては地域発展にもお役立ちできればと考えています。
