千葉大学がアステラスとクロスアポイントメント協定書を締結

 国立大学法人千葉大学(千葉市、横手幸太郎 学長は、アステラス製薬株式会社(東京・中央区、岡村直樹 代表取締役社長CEO)と、産学官連携の高度化を実現するため、機関を超えた人材交流を目的とする、クロスアポイントメント協定を締結した。この制度を利用し、同学教員が民間企業に勤務するのは初めてとなる。
 クロスアポイントメント制度とは、研究者等が大学、公的研究機関、企業の中で、二つ以上の機関に雇用されつつ、一定のエフォート管理の下で、それぞれの機関における役割に応じて研究・開発及び教育に従事することを可能にする制度のこと。
 この協定の最大の目的は、膜タンパク質の構造解析系をアステラス製薬内に確立し、合理的な化合物デザインを可能にする創薬プラットフォームを構築すること。同学理学研究院に所属する村田 武士教授がアステラス製薬に在籍出向し、同社の研究専門職の一つであるPrincipal Investigator(PI)として、研究に従事する。

■協定締結の背景
 膜タンパク質は、ゲノムにコードされる全タンパク質の30%を占め、シグナル伝達、物質輸送、生体エネルギー産生・変換などの細胞機能において重要な役割を果たしている。同時に、市販の医薬品の60%程度が膜タンパク質に作用することから、創薬においても重要なターゲットとして注目を集めている。しかし、膜タンパク質の多くは安定性が低いため取り扱いが難しく、創薬研究開発のボトルネックとなっていた。

■今後の展望
 今回派遣される村田 武士教授は、長年にわたり膜タンパク質に焦点を当て、研究分野における基盤技術を開発してきた。その熟練した経験に基づく判断があることから、技術移転に際して、直接指導を行う。
 この制度を通じ、本学においては研究開発分野でのイノベーションの実現に向けた知見やスキルを研究に活用する。同学が保有する膜タンパク質の発現・精製・構造解析技術や理論計算を用いた予測技術と知財を活用し、低分子創薬に貢献していきたいと考える。また、研究分野におけるネットワーク構築や若手の人材育成を行うことを目指す。

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