株式会社ウィザス(大阪市、生駒 富男 代表取締役社長)のグループ会社である株式会社SRJ(東京・中央区、堀川直人 代表取締役)は、全国の学習塾の先生に「国語、読解力」をテーマとしたアンケート調査を実施した。今回の調査では、334人の先生より回答を得ている。
レポート内では、教科書や実際の入試での文章量の変化に関することなども掲載している。
【調査概要】
・タイトル:全国学習塾先生アンケート
・調査期間:2023年9月〜11月
・有効回答数:334
・調査方法:インターネット調査(複数の学習塾講師向けメルマガでご案内)
・調査機関:株式会社SRJ
●80%以上の先生が生徒の語彙力や読解力が低下していると回答
「生徒の語彙力が低下していると感じますか」という質問では、とても低下している 28.7% 、低下している 61.1% 、低下していない 9.3%、 向上している 1.7%という結果になった。また、「読解力の低い生徒が増えていると感じますか」という質問に対し、とても増えている 31.7%、 増えている 50.3% 、変わらない 17.7% 、減っている 0.3%という結果となった。
● 73.7%の先生が教科書の内容量が増えていると回答
「教科書の内容量が増えていると感じますか」という質問に対し、とても増えている 15.0% 、増えている 58.7% 変わらない 23.4% 、減っている 3.0%という結果になった。実状は、学習指導要領の改訂などに伴い、わかりやすさや学びやすさが重視され、教科書の大判化やページ数増加が進んでいる。
● 93.3%の先生が大学入試の文字数が増えていると回答
また昨今文章量が多いと言われている大学入試についても、「大学入試で出題される問題で、読む分量は増えていると感じますか」という質問に対し、とても増えている 37.4%、増えている 55.9% 、変わらない 5.9% 、減っている 0.7%という結果になりました。※わからないと回答した64件は除く
● 共通テストは国語以外でも文字数が増加傾向
実際に多くの高校生が受験する「大学入試共通テスト」は、文章量が多い状況となっている。国語の文章量は、約24135文字となっている。文章量が多いのは国語に限ったことではなく、英語に関しては大学入試共通テスト開始以降毎年文章量が増えており、2024年度は、6292語。20年前の2004年度は、3064語だったころと比べると2倍に増えている。
英語以外でも、特筆して増えているのが、数学IAです。2006年では1,479文字だったが、大学入学共通テストが開始された2021年には7,376文字。2024年度は、7525文字の結果になっている。2006年から徐々に文字数は増えており、15年で約5倍に増えている。
近年の試験では、知識を問う問題だけでなく、知識を活用した思考力が求められる傾向にあり、場面設定や会話文が多く出題され全体の文字数が多くなっている。
● 語彙力や読解力を向上させるために家庭でしてほしいこと
タイトルにも記載している「語彙力や読解力を向上させるために家庭でしてほしいこと」という質問では、複数の項目から選択式で回答を得た。
1位「言葉の意味を調べる習慣をつける 68.3%」、2位「日頃から読書をする 63.5% 」、3位「音読をする 53.3%」、4位「家庭内でも正しい文章で会話をする 42.5%」 、5位「 演習量を増やす 23.7% 」、その他 4.8%という結果になった。
学習塾側でももちろん語彙力・読解力向上に向けた取り組みは、されているが、日常生活等で、わからない言葉があったら、意味を調べる習慣や動画だけでなく活字に触れる習慣や、単語のみでの会話ではなく、正しい文章で会話をするなど、意識して欲しいと感じる先生が多いことがわかった。
● 国語は長期的な学習が必要
「国語」は「英語」や「数学」に比べて学習の優先順位が低く、学習塾でも選択する生徒が少ないようだ。しかし、国語で学ぶ文章読解はすべての教科で必要となる。
大学入試以外でも、中学入試・高校入試も文章量が多い現状でもあり、またここ1~2年で活用が進んでいる言語系生成AIの台頭で、これまで以上に文章量を読む機会も増えてきている。