総合人材情報サービスの株式会社アイデム(東京・新宿区、椛山 亮 代表取締役社長)は、「地域別最低賃金」改定によるパート・アルバイトの募集時時給への影響を調査・分析し、その結果を発表した。
この調査は、各地域の地方最低賃金審議の答申により改定が決定した2023年度の「地域別最低賃金」と、アイデム運営の求人メディア『イーアイデム』・採用ホームページ構築サービス『Jobギア採促』を利用して公表されたパート・アルバイトの時給データをもとに調査・分析した。これにより、新たに設定される「地域別最低賃金」が、パート・アルバイトの募集時賃金にどの程度影響を与えるかの予測をまとめている。
※ データは2023年6月から8月までにおける当社運営の求人メディア『イーアイデム』・採用ホームページ構築サービス『Jobギア採促』のデータベースから集計。対象は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県・群馬県・栃木県・静岡県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県・岡山県・福岡県の16地域
令和5年度地域別最低賃金の改定による影響が最も高い地域は神奈川県
改定の影響を受けやすい業種は「飲食業」、「ビル管理・警備業」、「小売業」
改定の影響を受けやすい職種は「飲食・フード」、「販売・接客サービス」、「清掃・警備・ビルメンテナンス・家事代行」
◆都府県別集計結果
2023年6月から8月の募集時時給データのうち、令和5年度地域別最低賃金額よりも低い募集時時給データの割合(以下、改定影響率)を求めた。
東日本の集計地域では、改定影響率が最も高い地域は神奈川県の57.3%、次いで埼玉県の41.7%、東京都の39.7%となった。改定後の金額が1,000円を超える地域は、特に改定影響率が高くなっている。
西日本の集計地域では、改定影響率が最も高い地域は京都府の51.1%、次いで大阪府の43.8%、和歌山県の39.2%となった。京都府は今回の改定で時給1,000円では出せなくなるが、この影響が大きく出ているようだ。
◆業種・職種別集計結果
都府県ごとに、業種別・職種別改定影響率を求めた。
業種別改定影響率が4割以上に上る地域が多かったのは、「飲食業」(12都府県)、「ビル管理・警備業」(12都府県)、「小売業」(11都府県)となった。「製造業」については、改定影響率が5割以上の地域が4か所あった。
一方で、改定影響率が1割未満の地域が多かった業種は「教育、学習支援業」(13都府県)だった。募集時の時給が他の業種より高めのことが多いため、大きく影響は受けない予想となった。
職種別改定影響率が4割以上に上る地域が多かったのは、「販売・接客サービス」(11都府県)、「飲食・フード」(11都府県)、「清掃・警備・ビルメンテナンス・家事代行」(10都府県)だった。「ファッション・アパレル」や「ドライバー・配達」においては、改定影響率が5割を超える地域が4か所あった。
一方で、改定影響率が1割未満の地域が多かった職種は「教育・保育」(12都府県)だった。
<調査概要>
2023年10月以降に改定される地域別最低賃金が、パート・アルバイトの募集時賃金にどの程度影響を与えるのかを予測するため、アイデム運営の求人メディア『イーアイデム』・採用ホームページ構築サービス『Jobギア採促』を利用して公表されたパート・アルバイトの時給データをもとに、改定前パート・アルバイトの募集時時給額を当該年度に改定される地域別最低賃金と比較した。
・集計対象データ
(1) 対象地域:東日本エリア(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県、栃木県、静岡県)
西日本エリア(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、滋賀県、岡山県、福岡県)
(2) 集計期間:2023年6月~8月
(3) 雇用形態:パートまたはアルバイト
(4) 賃金分類:時給
(5) 業種:掲載件数の多い業種を記載
サービス業(他に分類されないもの)、医療・福祉業、教育、学習支援業、飲食業、小売業、製造業、運輸業、ビル管理・警備業
(6) 職種:掲載件数の多い職種を記載
オフィスワーク・事務、医療・介護・福祉、ファッション・アパレル、教育・保育、飲食・フード、販売・接客サービス 、軽作業・製造・物流、ドライバー・配達、清掃・警備・ビルメンテナンス・家事代行
(7) 他条件:「深夜ワーク」を除く
・集計対象データ数
(1) 東日本エリア:237,864件
(2) 西日本エリア:129,837件
・ 集計項目
(1) 平均時給:対象のデータを集計し、単純平均値を小数第一位で四捨五入した値。単位は円。
(2) 切上げ平均時給:対象データのうち、令和5年度地域別最低賃金を下回るデータを、
令和5年度地域別最低賃金と同額に切上げたのち集計し、小数第一位で四捨五入した値。単位は円。
(3) 差額:切上げ平均時給から平均時給を引いた値。切上げたことで上昇した時給額。
(4) 改定影響率:対象データのうち、令和5年度地域別最低賃金の改定により、賃金の引き上げが必要となる(改定により地域別最低賃金を下回ってしまう)賃金データの割合。単位は%。
調査の詳細はホームページへ
https://apj.aidem.co.jp/wage/list/1/