仙台育英学園は、創立125年を迎える2030年に向けた中期経営計画として「I-Challenge125」を策定し、SDGs達成に
関連する事業にESD(Education for Sustainable Development)の視点を入れて取り組んでいる。
その一環として、仙台育英学園東和蛍雪校舎に新たに「植物工場」を設置。そして植物工場を活用した農業教育
プログラム(Sustainable Agricultural Academic Program[SAAP])を2023年度より開始する。秀光中学校
および仙台育英学園高等学校の生徒を対象に、東和蛍雪校舎の屋内農場(植物工場)で学習する。
SAAPを指導するのは、東京大学大学院農学生命科学研究科の河鰭実之教授ならびにプランツラボラトリー
株式会社(代表者 湯川敦之氏)。
SAAPが本格的にスタート記念講演会を開催
5月18日(木)、SAAPがスタートしたことを記念して講演会が開催された。
講演名は「未来へのサバイバル!植物工場が挑む食料安全保障とプラネタリーバウンダリー」。会場の宮城野校舎ゼルコバホールには、秀光中学校1〜3年生、仙台育英学園高等学校秀光コース1年生、特別進学コース2年生の理系生徒、そしてせんだいまなびやを選択する生徒の340名以上が集まった。
また、講演会の司会進行は秀光中学校の生徒会長・副会長の2名が務めた。
地球上の限りある資源と食料をどう守るか
河鰭教授の話は、現在地球上の人口が80億を越え、近い将来100億人になってしまうことから始まった。
「『プラネタリーバウンダリー』という概念があり、これは地球の限界値です。地球が抱えることができる人口には限界があって、9つのプロセスの内、すでに限界値を超えたものもある。このままでは海洋酸性化、気候変動、窒素の増加などさまざまな影響があり、地球環境を守るために、今後人類は、水・土地・肥料・化石燃料を使わない状況で100億人の食料を作るためのミッションが与えられている」。
その問題を解決していくための一つの手段が植物工場だと説明。植物工場のメリットについて「植物工場は、成育が速く安定している。他の植物・生物との競合もなく、栽培しにくい場所でも栽培することができ、予測不能な有害な天候から農作物を守れる。さらに、土地を使わず肥料、水の利用効率が高い点もあります」と語った。
植物工場は、将来的に完全資源循環型にしなければならないなどの課題はあるものの、地球が持続可能な状態を維持するために、今後有効な手段であることを学んだ。
講演後には生徒が挙手をして、河鰭教授に質問。地球のために自分たちができることを積極的に問いかけている姿が見られた。講演の最後には、加藤雄彦校長先生が生徒に、東和蛍雪校舎の植物工場で初収穫されたレタスを見せた。