国際銅協会(米国ワシントンD.C.、Stephen Higgins 会長)と一般社団法人日本銅センター(東京・台東区、納武士 会長)は10月10日(月・祝)、群馬県で実験教室「身近な『銅』の意外なチカラ!超抗菌性能を体験しよう!!」を開催した。新型コロナウイルス感染症対策として銅を活用する藤岡市立東中学校科学部員と理科好きの1~3年生の生徒33人は、実験教室を通じて、銅の新たな可能性を探った。同実験教室の開催は今回が2回目で、プログラムの運営は株式会社リバネス(東京・新宿区)が行った。
群馬県藤岡市は2020年6月、超抗菌・抗ウイルス効果を持つ銅繊維シートを市内の小中学校や福祉施設のドアノブなどに設置した。藤岡市立東中学校にも、不特定多数の人が触れるドアノブを中心に設置されている。
実験教室では、普段から校内で銅の「超抗菌・抗ウイルス性能」に触れている生徒に、より学びを深めてもらうために、まず銅の基本的な性質である「導電性(電気の伝わりやすさ)」と「熱伝導性(熱の伝わりやすさ)」を体験する実験が行われた。参加者は、銅、木、プラスチック、アルミニウム、真鍮(黄銅)などの材料を比較し、銅は電気・熱ともに最も通しやすいことを学んだ。
次に、銅の「超抗菌性能」に関する講義と実験が行われた。銅・銅合金には、細菌などの増殖を抑える「超抗菌性能」やウイルスを不活化させる(感染性を失わせる)「抗ウイルス性能」がある。新型コロナウイルスを10分で不活化させる効果があることも、奈良県立医科大学で実施した試験(2021年)で分かっている。
実験教室では銅の「超抗菌性能」を体験するため、参加者の口腔細菌を使った「微生物培養実験」を行った。8~9人から成る1班当たり8枚のシャーレが配布され、参加者は採取した自身の唾液の上に、銅の含有量の異なる4種類の硬貨をのせた。2~3日放置すると、銅を含有する硬貨を入れたシャーレでは、硬貨周辺の菌の繁殖が抑えられる一方、銅の含有率が0%の1円玉硬貨を入れたシャーレでは、硬貨の周りにも菌が繁殖することが確認できた。
その後、銅と環境課題の関係性の講義を経て、グループごとに銅の新しい活用方法を考えて発表する「ワークショップ」が行われた。参加者からは「粉末状にして、抗菌スプレーにする」「乾いた衣類を干すハンガーを銅製にすれば、いやな臭いを抑えられる」など、新たなアイデアが生まれた。
プログラムの最後には、銅繊維シートの開発に携わった群馬大学大学院理工学府の板橋英之教授が、銅に関する特別講演「渡良瀬川の銅の研究からコロナウイルス不活化シート?」を行い、銅の「超抗菌・抗ウイルス性能」を活用した商品開発や研究について紹介した。
【開催概要】
日時:2022年10月10日(月・祝)13時00分~15時30分
場所:群馬県藤岡市立東中学校(群馬県藤岡市本郷786)
対象:藤岡市立東中学校科学部員と理科好きの1~3年生の生徒33人
共催:国際銅協会、一般社団法人日本銅センター
協力:藤岡市教育委員会
運営:株式会社リバネス
【団体・会社概要】
国際銅協会
国際銅協会(International Copper Association, Ltd. 略称ICA)は、世界の銅産業のために銅市場を発展させ、国連が提唱する持続可能な開発計画(SDGs)への貢献を目指す非営利団体。世界各国の銅鉱山、製錬会社など計 30 社が会員となっており、世界の電気銅生産量の6割を網羅している。 日本では、JX金属株式会社、三菱マテリアル株式会社、住友金属鉱山株式会社が会員となっている。
※公式ウェブサイト:https://copperalliance.org
※Antimicrobial Copper:https://www.antimicrobialcopper.com/ja/
一般社団法人日本銅センター
一般社団法人日本銅センターは、銅および銅合金の新規用途・技術開発を効率的に行い、銅のすぐれた特性や機能を多くの人に周知することを目的に設立された機関。日本鉱業協会、一般社団法人日本伸銅協会、一般社団法人日本電線工業会、国際銅協会の4団体を正会員に、多くの賛助会員の協力のもと、銅の需要開発・促進に向けてさまざまな調査・研究を行なっている。
※公式ウェブサイト:http://www.jcda.or.jp/