11月27日、神戸山手女子中学校・高等学校主催の「『先端的教育用ソフトウェア」を活用した教育」と題したシンポジウムが開催された。
講演会には、4月に同校校長に就任した平井正朗氏と浅野大介氏(経済産業省サービス政策課課長/教育産業室室長、デジタル庁統括官付参事官)が登壇。
平井氏は「With/Afterコロナ世代のカリキュラム・マネジメント」と題した講演を行った。グローバル化、DX化を進めていく中で、同校が構想するカリキュラムマネジメントは、能動的な学びに繋げ、物事の本質を見極める力をつけること。
「デジタル対アナログという対立の構図ではなく、先端技術を現状に合わせ、選択肢を多様化し、学び合いを通じて生徒の潜在能力を最大限に引き出すこと。生徒は学び方改革。教員は教え方改革。そして、その成果を全体でどう評価するかというカリキュラム・マネジメントが不可欠あり、その総体が良循環型の学校経営になる」と平井氏は語る。
浅野氏は「教育DX『未来の教室』をつくろう」と題した講演を行なった。
「居場所や学年、時間の制約は必ずしも必要ない。場所、道具、時間などの選択肢を無限に広げることができるのが教育DX」と語る。その上でこれからの学校の役割について、
「学校という環境自身が、その変化にどう対応し、どこまで変わるかが主眼に置かれるべきだ」と続ける。
パネルディスカッションには、平井氏、浅野氏に加えて、川本祥生氏(大阪市教育委員会総務部長)、加藤理啓氏(Classi株式会社代表取締役社長)が登壇し、木村健太郎氏(株式会社リクルートまなび教育支援Division支援推進2部部長)のモデレートのもと、議論を深めた。
「コロナ禍で学びのあり方が変わってきている。主役は生徒。だから、シラバスは到達度に応じて変えてよいと思っている」(平井氏)
「先生がいる意味が一層重要になる。先生はデジタル教材に代替されるのではなくて、デジタル教材を土台にして、生徒一人一人の個性にさらに付加価値をつける役割が求められる」(浅野氏)
「教員の教材や授業は共有が簡単になり、そうすることで教員の働き方改革にも繋がる」(川本氏)
「アフターコロナの中で、自分の感情や考えを発することは必要スキルになる。その次の段階では、子供たちが、自分の興味やものに共感する仲間を学校を超えて見つけられ、学校を超えた学びが広がる。その世界を実現したい」(加藤氏)
同校は、経済産業省「先端的教育用ソフトウェア導入実証事業」実証校に承認されている。当日は、そのICTを活用した授業、検討会も公開された。