公益社団法人全国学習塾協会は7月27日、同月16日に経済産業省が公表した特定サービス産業動態統計調査(確報)を基に、新型コロナウイルス感染症が学習塾にどの程度の影響を及ぼしているかについてまとめた。これは、他業種との比較をはじめ、直近の売上高、受講生数、従業者数の近年の推移を見ることで業況を把握することを目的としたもの。調査対象は、経済センサス-活動調査等を母集団とし、年間売上高(全国計)のおおむね70%をカバーするまでの売上高上位の企業。学習塾の他に、フィットネス、外国語 会話教室、結婚式場業、遊園地・テーマパークなどが入っている。
「対個人サービス売上高前年比」の他業種も含めた平均は、新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた3月は平均で前年比70.7%、緊急事態宣言が発令された4月は、41.2%、5月は37.0%と大きく落ち込んだ。その中で、学習塾は、3月(95.2%)、4月(85.3%)、5月(78.9%)のすべての期間で、他業種と比較すると減少割合が最も小さい。
「これは既存顧客に継続的にサービスを提供するというビジネスモデルであることに加え、多くの学習塾がサービスの提供方法を対面からオンラインへ即座に切り替えられたことが大きい」と同協会は分析している。
また、例年、年明けには、進路が決定し卒塾生が出るため、受講者数は減少する。学習塾の近年の受講生数を比較すると、2017年から2020年の1月から2月までは、ほぼ横ばいだった。
しかし、前年比で3月(-4.9%)、4月(-9.8%)、5月(-10.1%)と減少。また、3月から5月の顧客単価は、前年より12.2%(3,333円)低下(2019年5月:27,114円、2020年:5月23,781円)している。この背景には、休塾等による返金や値下げ等によるものと考えられる。
その中で、「最近のサービス産業全般の苦境が続く中で、学習塾は、対個人サービスとして、前年比でみて最も健闘している業種のひとつであることがわかります。各事業者がコロナ禍にあって、感染拡大防止対策に努め、オンライン導入などを推進した結果と推察できます」と同協会は前を向く。
今、新型コロナウイルス感染症の第2波が出てきた、と言っていい状況になっている。短縮された学校の夏休みの中での夏期講習、秋以降の入試対策など問題は多々ある。
第1波での経験を生かし、感染拡大対策、オンライン授業などをブラッシュアップしている塾も多く、その知見を共有する動きもある。塾業界が一丸となり、この苦難を乗り越えたい。
外部リンク:公益社団法人 全国学習塾協会「特定サービス産業動態統計調査の結果について」