6月1日、企業にパワハラの防止措置を義務付ける改正労働施策総合推進法が、大企業を対象に施行された。中小企業は、2022年4月から適用される。同法はパワハラを「行ってはならない」と明記し、事業主に対し、行為の禁止や処罰方針を明確にして従業員に周知するほか、相談体制の整備や問題発生後の適切な対応を求めている。
同法の指針では、パワハラの例として、身体的な攻撃はもちろん、大声での威圧的な叱責、人格否定発言などの精神的攻撃、無視による人間関係からの切り離しなどを挙げ、その上で、従業員への周知啓発など10項目の防止措置を義務付けた。
この義務を企業が対応しなくても罰則規定はない。だが、行政指導の対象にはなる。また、社名を公表される場合がある。
この法改正を受け、オリンパスはパワハラを厳しく禁じる規定を就業規則に追加。ソニーも就業規則を変更した。セブン&アイ・ホールディングスでは、オンライン方式も取り入れて全社員に研修を実施する。
連合の井上久美枝総合政策推進局総合局長は、社員だけでなく、就職活動中の学生やフリーランスら社外の人に対するパワハラの禁止などにも取り組むよう求めている。