学校広報事業を展開する株式会社アクセスリード(アクセスグループ、東京都・渋谷区 田中 康弘 代表取締役社長、以下アクセスリード)は、「外国人留学生の進路決定行動に関するアンケート調査」をリリースした。
■調査テーマ:外国人学生の進学行動に関するアンケート調査
■調査対象:日本国内の日本語学校等進学準備機関に在籍の外国人学生
■調査時期:2018年2月~10月
■調査方法:株式会社アクセスリード主催「外国人学生のための進学説明会」に来場の学生をランダムサンプリング/質問紙による自記式調査(※)
※回答内容不明箇所に対する当社社員聞き取りによる補足追記を一部で実施。
詳細はこちらから
https://www.access-t.co.jp/files/2018E5B9B412E69C88_E79599E5ADA6E7949FE8AABFE69FBB_.pdf
1. 日本に留学しようと思ったきっかけはなんですか?(複数回答可)
「中国」「高学歴層」は日本で進学後、帰国して就職志望。
日本での「生活体験重視層」は比較的入学が容易な専門学校志望。
日本への留学の主なきっかけは「日本文化に興味がある」ことで34.8%。具体的には、マンガやアニメを挙げている者が多い。「日本文化に興味がある」×「進学希望校種」で掛け合わせて見てみると、67.7%が専門学校志望者となっている。
次いで多い「日本で進学をしたい」のうち73.3%が中国出身者。さらに「日本で進学をしたい」×「中国出身者」に着目をすると、回答者のうち63.6%が大学院志望である。一方で、「日本に就職をしたい」×「中国出身者」で見てみると、回答をした中国出身者のうちわずか4%の回答しかなく、日本で進学後に帰国して就職をしたいというキャリアプランが見えてくる。ここに、中国人留学生増加の背景にある厳しい国内進学事情がうかがえた。
2. 日本での生活で困ったと思ったことはなんですか?(複数回答可)
住まい探しや引っ越しが困難。
日本人との会話が求められる「買い物」「アルバイト」の項目で男女の差。
日本語の学習に次いで、日本独自の敷金・礼金制度や水道・ガス・電気などの契約や変更が複雑な「住まい探しや引っ越し」が挙げられた。
さらに、回答地域で見ていくと日本との生活文化との差異が大きい中央アジア地区の回答がないが、これは「現在通っている日本語学校を探すときの条件は何でしたか?」という問いに対して、「知り合いがいる」ことを重視していることから、知り合いに住まいの相談をしたり同居などをしており、個人で契約に挑む必要がないということが考えられる。
男女別で見ていくと、日々で日本人とのコミュニケーションが必要な「買い物」「アルバイト」の項目で3.8%の男女の差が出た。
3. 受験する学校(日本の大学・専門学校)を選ぶときに、どんなことを重視しますか?(複数回答可)
「学習内容」を最も重視、以下の項目は地域特性が色濃く現れる。
今後は受験生のニーズに合致をした、地域別の集客手法が求められる。
留学生数最多の中国においては「興味のあることが勉強できる」に続き、「就職率がいい」が全回答者数のうち16.7%と、志望校検討段階より卒業後も見据えた学校探しをしていることがわかる。
一方で、本調査は日本語学校に通う留学生を対象に調査をしているため、一定の日本語能力がある者による回答となっているはずだが、ネパール・ベトナム・モンゴルなど、非漢字圏においては「英語で授業がうけられる」ことを重視する者が一定数確認ができる。
近年、「大学の国際化のためのネットワーク形成事業(グローバル30)」および、「スーパーグローバル大学創生支援事業(SGU)」をきっかけに、英語のみで学位が取得できるプログラムを設置する大学が増えており、プログラムの導入にあたっては多くの大学で、日本人学生の語学力向上および外国人留学生の受け入れを目的としている。しかし、後者を目的とする場合には、留学生の流入経路や国籍などの事前分析が必要だといえる。
留学生といっても、その出身国により留学に求めるものは異なる。募集を行う各教育機関においては、集客をする国別に情報を出し分けることで、より留学生に対して強く訴求することができるのではないか。
4. 現在通っている日本語学校を探すときの条件は何でしたか?(複数回答可)
「学校の場所が便利」であることを重視。
東アジア地域は「授業の質の高さ」、中央アジア・南アジア地域は「学校生活の快適さ」を重視。
「学校の場所が便利」と回答した者が48.5%と最多だった。
地域別に見ていくと、東アジア地域は「授業の内容が自分に合っている」35.2%、「進学率・進学実績がいい」38.0%と立地以外には、授業の質の高さなど実の部分を重視する傾向。
特に中国出身者に限定をすると、41.3%が「進学率・進学実績がいい」を重視。南アジア地域は「同じ国の出身者が多い」25.0%、「知り合いがいる」12.5%、中央アジア地域は「知り合いがいる」50.0%と日本への留学生がまだ少ない地域の出身者は、生活や進学の相談などがしやすい同郷の人が多い学校を好む傾向がある。