東京都葛飾区で学習が困難な子を対象とする学習塾「翼学院」を運営する株式会社ツバサ(芦澤唯志代表)は、放課後や土曜、夏休みなどの長期休暇中に、就学障害児の生活能力向上のための訓練等を学校と相互に補完し合いながら、自立を推進するための支援を行う「放課後等デイサービス」事業者として東京都から指定を受け、今年7月から京成線・青砥駅から徒歩30秒の場所に「つばさクラブ」を開設した。
この「放課後等デイサービス」の制度は、2012年4月に児童福祉法が改正された際に創設された。
ここに通所できるのは、乳幼児から高校3年生までの発達に心配がある子どもで、住んでいる地域の自治体に利用申請をすることで、費用の9割が自治体から給付を受けられる。つばさクラブに通う子どもたちは、学校が終わるとクラブに来て、年齢や学年に関係なく教員免許、保育士、看護師、学習支援員などの資格を持った指導員が付いて、異年齢による社会性・対人関係のトレーニング、思考練習やパソコン、絵画や折り紙などの作業訓練をはじめ、夕方6時まで宿題や自由な学習にも取り組む。また、このクラブには学習塾の翼学院も併設されているため、私立中学などに進学する子どもや学校の補習を希望する子どもは、6時以降は塾に通う生徒たちとともに個別指導の授業を受ける。
青砥駅前校のデイサービスは、まもなく定員に達するほど盛況で、翼学院の芦澤唯志学院長は「現在葛飾区外の自治体や学校法人、大学病院からもクラブの開設要請があるので、これからデイサービスと学習塾を併設した教室をさらに展開していきたい」と語る。また、児童発達支援管理責任者をしている妻の芦澤和美さんは全聾で知的な遅れのある息子のため看護師資格を取得、以来障害者支援を一筋に行ってきた。和美さんは「つばさクラブでは、ご家族の方のメンタルケアを行い、お子さんにとって安定した家庭をつくる支援も行っています。お子さんにとって家庭環境はとても重要です」と話す。
翼学院は、不登校やLD(学習障がい)などの発達に心配な子どもたちに、地域の行政機関と連携して指導を行う学習塾で、学校で「進学先がない」とされた子どもたちも、都立高校や私立中・高に100%合格させている。なかには、都立戸山高校や両国高校などの上位校をはじめ、大学附属の私立中・高に特待生で進学する生徒もいる。また、中学校で不登校となった生徒や、高校を中退した生徒には、通信制高校の星槎国際高等学校のサテライトキャンパスとして運営しているつばさ高等部で、高校卒業ができるほか、星槎大学とも提携した教育・福祉の大学卒業のサポートも行っている。