経済産業省が主導するグローバルサービス創出研究会の第5回研究会(成果発表会)が3月8日、都内で開催された。
サービス産業の海外事業展開の意義や支援の方向性について検討を進めてきた同研究会。当日は、「海外展開の主な課題」「今後の世界のサービス市場」をテーマとした議論が行われた。
海外展開の主な課題として、「人材」「お金」「ブランド」で分けて議論。人材について、委員の1人、玉川大学神谷渉准教授が「翻訳できる人材。現地と日本の両方を知っているスキルが必要。そのためには留学生の積極的な採用を」と語れば、株式会社公文教育研究会の北尾健一取締役副社長が「現地の人間にOJTができる人材を育てないといけない」と語った。
お金については、「黒字にならないと次を出さない」と、株式会社良品計画の松﨑曉代表取締役社長が自社の海外展開時のルールを語った。
ブランドについては、「ブランド力を高めるためにはシステムと人から見ないといけない」と明治大学の大石芳裕教授が語れば、「ブランドは意味・イメージが創出される。そのためには、ブランド・アイデンティの差別化が必要」と、京都大学の鈴木智子特定准教授が語るなど、それぞれ実例を提示しながら意見が述べられた。
「今後の世界のサービス市場」を展望するにあたり、フィリピン、ベトナム、インドなど人口密度が高い新興国を視野に入れる人がいる一方、規制、インフラが整っていないことを理由にあげ、先進国以外は難しいとの意見も目立った。その上で、海外展開においては、キュービーネット株式会社の松本修取締役が「撤退ラインをきちんと押さえて、その中でオペレーションを実行する」とリスクマネージメントの重要性を語った。
今後、経済産業省では報告書を取りまとめ、同省のウェブサイトで開示される予定だ。