21世紀型教育を実践・推進する学校が連携し、これまで研修会などを行ってきた「21世紀型教育を創る会(21会)」が発展的に改組し、この9月に「21世紀型教育機構(21st CEO:21century Education Organization)」が発足し、9月19日に浜離宮朝日小ホールで設立記念シンポジウムを開催した。
同機構は、新しい教育を作っていくことに挑戦するとともに、教育機関の質を保証(アクレディテーション)して、メンバー校が機構の思想に則って教育を推進しているかもチェックしていく。
シンポジウムでは、冒頭に「今なぜ21世紀型教育機構か」をテーマに、同機構理事長の吉田晋氏(富士見丘学園理事長・校長)が講演。この機構を設立した根底には脱偏差値があるといい、「人工知能の発展によって今ある職業の消失が予想される未来で、子供たちが予測不可能な問題を解決できるための教育の構築を目指す」と述べた。
続いて、同機構理事の大橋清貫氏(三田国際学園学園長)が登壇し、「先鋭的な21世紀型教育とは何か」をテーマに講演した。大橋氏は、「21世紀型教育に必要なスキルの育成は、学校の教育現場で実践されてこそ意味がある」といい、三田国際学園で取り組んでいるアクティブ・ラーニングやグローバル教育、そして生徒のエンパワーメント評価などの事例を紹介した。
IGS代表の福原正大氏(一橋大学大学院特任教授)は、「未来を切り拓く教育」をテーマに講演した。「人工知能全盛時代では人間の持つ生物性がより注目される」と述べ、人工知能ができない共感の重要性について説明した。また、知識偏重になりがちな日本の教育に苦言を呈しながらも、日本の文化祭などの学校行事、クラスルームにおける人と人が接する環境があるのは、「日本の学校教育の強み」と話した。こういったことを通して学生時代にいかに〝共感〟を磨けるかが重要であり、「グローバル化、人工知能全盛時代になる中で、子供一人ひとりに寄り添う形で、子供たちのストーリーをどのように作ってあげられるのかが、これからの教育において大切なこと」と福原氏は言う。
その後、登壇した3人がパネリストとなり、同機構理事の平方邦行氏(工学院大学附属中学校・高等学校校長)のコーディネートのもと、21世紀型教育について、パネルディスカッションを行われ、21世紀型教育のひとつの形として、0から1を創造するデザイン思考やSTEM教育に着目して、意見が交わされた。平方氏は、パネルディスカッションの終わりに「予測不能な未来に挑戦する教育を今後とも続けていきたい」と語り、21世紀型教育を推進していくことを誓った。
21世紀型教育機構のメンバー校は以下の11校で9月に発足された。
- 工学院大学附属中学校・高等学校
- 順天中学校・順天高等学校
- 聖徳学園中学・高等学校
- 聖学院中学校・高等学校
- 聖パウロ学園高等学校
- 東京女子学園中学校高等学校
- 富士見丘中学校高等学校
- 文化学園大学杉並中学・高等学校
- 三田国際学園中学校・高等学校
- 八雲学園中学校・高等学校
- 和洋九段女子中学校 和洋九段女子高等学校
※校名は五十音順(2016年9月17日現在)