塾教育研究会(JKK)の「30周年記念の会」が、5月29日、中央大学駿河台記念館(東京・千代田区)にて開催された。
まず、「塾教育の過去・現在 そして未来への展望」をテーマに皆倉宣之代表が、基調講演をした。「塾の実態は、ものすごく複雑になってきている」と、皆倉代表は語る。また、「現在、個人事業のような塾は淘汰されてきており、チェーン塾のようなものが隆盛している。また、ICTの進歩によって、塾業界以外の業種が参入してきている」と分析する。そういった現況を背景に、ICTの利活用、塾と公教育、子供の貧困、世界情勢などを例に挙げ「これまでの塾ではとても生き残れない」と続けた。
続くパネルディスカッションでは、仲野十和田氏(ナカジュク代表)、金原伸充氏(秀峰スクール代表)、林マキコ氏(青藍学院教室長)、高田康太郎氏(株式会社keys代表取締役社長)の4人がパネリストとして登壇した。ナカジュクの飛鳥井郁枝氏と稲穂塾の平林一之氏がモデレーターを務め、「個性的な塾ってなに?」をテーマに、議論が繰り広げられた。
パネリストらによる、自塾の取り組みをはじめ、学校や会社の強みをお互いに議論する時間も設けられ、意義深い内容となった。
最後に、布浦万代副代表(ひびき)が、昨年7月にジュネーブにある国連欧州本部にて、「古代日本女性の社会進出と知的財産」をテーマに行った講演の報告をした。
布浦副代表は、万葉集に収められている6名の女性天皇の和歌にフォーカスして、女性天皇、あるいは当時の日本女性の活躍を講義し、「ハイテクの日本なのにも関わらず、歴史、文学といったものを非常に大事にしている。そのことに感銘を受けた方が多くいた」と述べた。
今年、創立30周年を迎えたJKKだが、創立当時とは社会状況が大きく変わり、塾を取り巻く環境も大きく変化した。皆倉代表は、講演の中で次のように語った。「塾というのは、学校教育から離れて何かをやろうとしても、親のニーズがなければ成り立たない。それを踏まえ、学校教育を越える教育というものはないのか、それがJKKがこれまで考えてきたことであり、これからも考えていきたいと思っている」と語り、「今後もJKKは新しい塾や新しい教育の在り方を見据えて活動していく」として、会を締めくくった。