Googleは2025年2月、Gemini 2・0を基にした科学研究に特化したAIアシスタント「AI co-scientist」を発表した。このAIは、特に生物学や医学分野において研究を支援し、効率的な問題解決をサポートする。最近の報告によると、AI co-scientistは、10年にわたる研究成果を持つ細菌の薬剤耐性問題にわずか2日で解答を見つけ出すという驚異的な結果を示した。
AI mirrors experimental science to uncover a novel mechanism of gene transfer crucial to bacterial evolution | bioRxiv
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2025.02.19.639094v1.full
Google’s AI co-scientist could enhance research, say Imperial researchers | Imperial News | Imperial College London
https://www.imperial.ac.uk/news/261293/googles-ai-co-scientist-could-enhance-research/
Google’s AI ‘co-scientist’ cracked 10-year superbug problem in just 2 days | Live Science
https://www.livescience.com/technology/artificial-intelligence/googles-ai-co-scientist-cracked-10-year-superbug-problem-in-just-2-days
この成果は、アメリカのワシントン大学などの研究チームによって発表されたもので、薬剤耐性菌による死者が2050年までに3900万人を超えるとの予測がなされている中で、病原菌が薬剤耐性を獲得するプロセスを理解し、その対策を講じることが急務であるとされている。
特に注目すべきは、イギリス・インペリアル・カレッジ・ロンドンのホセ・ペナデス教授が率いる研究チームによる長年の調査結果。彼らは、細菌に薬剤耐性をもたらす「cf-PICIs(カプシド形成ファージ誘導性染色体島)」という遺伝的要素に着目し、これがどのようにして細菌に感染し、耐性を引き起こすのかを調査した。
ペナデス教授らは、cf-PICIsがファージと呼ばれるウイルスの移動性遺伝要素を利用して、細菌に感染するメカニズムを解明。通常のファージが細胞に遺伝物質を注入する際に使う「尾部」を持たないcf-PICIsが、他のファージの尾部と相互作用し、さまざまな種類の細菌に感染することを突き止めた。この発見は2025年2月11日、未査読論文としてbioRxivに公開された。
Chimeric infective particles expand species boundaries in phage inducible chromosomal island mobilization | bioRxiv
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2025.02.11.637232v1
これに先立ち、ペナデス教授らの研究チームは、GoogleのAI co-scientistに対して「cf-PICIsが異なる細菌種にどのように感染するか」という問題について仮説を立てるよう依頼しました。AIには、ファージサテライトに関する背景情報やcf-PICIsに関する主要な論文が提供されましたが、研究チームの新たな発見については伝えられていませんでした。
結果、AI co-scientistはわずか2日間で、ペナデス教授らの研究と同じ結論にたどり着き、薬剤耐性に関する新たな視点を提供した。このようなAIの迅速かつ正確な問題解決能力は、今後の科学研究において画期的な進展をもたらす可能性を秘めている。