東京大学物性研究所の櫻井快博士課程学生(同大学大学院工学系研究科物理工学専攻)、木村隆志准教授と竹尾陽子助教、井上圭一准教授と寳本俊輝特任研究員、吉見一慶特任研究員、原田慈久教授、理化学研究所放射光科学研究センターの志村まり研究員、高輝度光科学研究センターの大橋治彦室長らによる研究グループは、化学状態の違いをもとに細胞内の微細構造を高分解能に観察できる、新たな元素イメージング技術を開発した。
大型放射光施設SPring-8から発振される高輝度軟X線に、独自開発の軟X線用ミラーであるウォルターミラー(注2)を組み合わせ、さまざまな元素の軟X線吸収スペクトルの高空間計測を可能にしました。また、細胞内部に存在する窒素や酸素の化学状態を観察し、多彩な微細構造を捉えられることを示した。
高空間分解能かつラベルフリーで、タンパク質や核酸、脂質、糖質といった生体分子に含まれる化学結合の種類や価数の違いを元素選択的に捉えられるため、単純な顕微鏡像からは識別困難な未知の微細構造も捉えられます。蛍光タンパクなどの標識が困難な低分子のイメージングなどを通して、細胞機能の解明や疾患研究への新たなアプローチとして期待される。
この成果は米科学誌「Applied Physics Letters」に1月31日(現地時間)掲載された。