国立大学法人筑波大学(永田 恭介 学長)と三井不動産株式会社(植田 俊 代表取締役社長)は、『産学連携の推進に関する協定書』を締結したことを発表した。
筑波大学は、多くの学問分野を有する新構想大学として発足し、約2万人の研究者を有するサイエンスパーク『筑波研究学園都市』の中核機関として、日本の科学技術の発展に貢献してきた。高い学際性と国際性を備え、2023年には大学の研究力をベースとした総合知を国の産業成長に資することを目的とした「IMAGINE THE FUTURE. Forum事業」を推進することを発表し、地球規模の課題解決に向け、未来創造への冒険と挑戦を推進している。
三井不動産は、2020年4月より産学連携の専門部署を設置し、これまで様々な大学とのイノベーション創出を目指した共同研究のほか、アカデミアを中心としたサイエンスパークに関する知見を深めることを通じて、新産業創造を目指してきた。2024年4月にはイノベーション推進本部を新設し、イノベーション創出や新産業創造に向けた産学連携による取り組みをより一層強力に推進している。
昨今では、地政学リスクの高まりやテクノロジーの加速度的進化、そして世界的な高度人材の獲得競争により、産業を取り巻く環境は大きく変化しており、産業界からアカデミアに対する期待が高まっている。この協定により、筑波大学と三井不動産は、次世代のサイエンスパークのあるべき姿および先端科学技術の探求を通じて、持続可能な社会の実現に向けた新産業創造を目指す。
■連携内容について
筑波大学と三井不動産の双方の強みを活かし、筑波研究学園都市の発展を通じた新産業の創造を目指す。
1.筑波研究学園都市のサイエンスパークとしてのさらなる発展に向けた連携
筑波研究学園都市は、多様な研究機関が集積し、国際的な研究ネットワークを有するサイエンスパーク。また、つくば市はその誕生以来、継続的な人口増加を遂げており、地域の活力が高まっている。これらの強みを活かし、筑波大学と三井不動産は、筑波研究学園都市のさらなる発展を目指し、サイエンスパークとして必要な機能の再整備を図るとともに、社会課題の解決および新産業創造を目指す。
まずは、筑波大学の総合的な研究力の活用を目指す産学連携拠点「IMAGINE THE FUTURE. Forum施設(通称「ITF.F施設」)」や、デジタル技術と人間の融合によるイノベーションを推進するための拠点「デジタル・ヒューマンイノベーション研究棟」をはじめとする、研究開発施設の企画に、三井不動産の場とコミュニティづくりのノウハウを盛り込んでいくことを通じて、筑波研究学園都市のサイエンスパークとしての魅力をさらに高めていく。
2.先端科学技術の探求
筑波大学は「AI・計算科学」「医学・生命科学」「スポーツ科学」「宇宙工学」「エネルギー工学」「環境工学」といった、多岐にわたる分野で先端的な研究を行っている。これらの研究を行う筑波大学と、街づくりを通じて培った事業創造力を有する三井不動産の双方の強みを活かして、イノベーション創出を目指す。
3.エリアを超えた連携の強化
筑波大学があるつくばと、三井不動産が街づくりを推進している柏の葉・日本橋エリアは、つくばエクスプレスや常磐自動車道により緩やかにつながり、教育・研究機関が集まる国内有数の高度人材集積エリア。
このエリアでは、ライフサイエンスや宇宙分野において、一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)や一般社団法人クロスユー(クロスユー)を中心にエリアを超えた連携が既に始まっている。こうした連携を活用しながら筑波大学と三井不動産は協働してつくば・柏の葉・日本橋の連携を強化し、新産業の創出を目指します。
4.体育スポーツと街づくりの連携
筑波大学は、スポーツ科学の分野で先進的な研究を行っており、運動生理学、スポーツ心理学、トレーニング科学などの分野で多くの知見を蓄積し、これにより、特定のスポーツに限らず、複数のスポーツを行うことで多様な運動能力を育成する「マルチスポーツ」の効果やメリットを科学的に探求している。
三井不動産はスポーツを通じた感動体験の創出に力を入れており、筑波大学と協働して、マルチスポーツの効果を活用した多様なスポーツプログラムの提供や地域との連携を通じて、筑波研究学園都市をはじめとした地域社会にマルチスポーツを広めていく。