株式会社志學舎(東京都八王子市)は同名の学習塾のほか、東進衛星予備校や東進中学NETなども運営している。近年、東進内部生(現高1・高2)の次年度(新高2・高3)継続率が高まっており、高幡不動校は今年、全国の東進のなかで最も早く継続目標を達成した。継続指導がうまくいっている理由について、志學舎 副塾長・高幡不動校 校長の松澤 保成氏に取材した。
東進の理念を拠り所に「継続最速」を達成
――高幡不動校は今年、全国の東進の教室で一番に継続目標を達成されたそうですね。
ええ。9月の最終週から継続活動を開始し、おかげさまで10月6日に達成となりました。
2年前までは私が面談をしていたのですが、校舎マネジメントを通して学生が成長してくれているので、生徒と夢・志をつくる面談、東進でいう継続のための面談を昨年から学生スタッフに任せてみました。次年度どういった講座を取るかを含めた学習計画作成です。すると意図せず全国で一番に継続目標を達成しました。
今年は保護者との面談で御礼を言われるような、「信頼いただける指導」をつくりたいと学生スタッフに伝え、同じようにうまくいっています。
面談では保護者から厳しいお言葉をもらうこともありますが、ご指摘いただいた点に関しては素直に謝罪し、改めることを約束しながらも、そこで萎縮することなく提案すべきことはしっかりプレゼンしています。
そうでなければ、何のための面談かわからなくなりますからね。
伝えるべきことが言えるよう、面談前に必ずおこなっているのが東進の理念『独立自尊の社会・世界に貢献する人財を育成する』の読み上げです。東進の指導方針を徹底していれば、生徒をしっかり成功に導けると確信しています。
夢・志指導によって保護者の満足度もアップ
――継続率アップには生徒のやる気も重要だと思いますが、やる気を引き出すためにどのようなことを意識されていますか。
一番大切にしているのが、「夢・志指導」です。将来、何がやりたいのか、何になりたいのかが明確でないと、今勉強を頑張ろうと思ってもなかなか続きません。そのため、なりたい将来像を明らかにする夢・志指導に力を入れています。
すぐにやりたいことが見つかるとは限りませんが、建築士や医師、あるいはフィリピンでの社会貢献など、夢や志が見つかった生徒は楽しそうに勉強しますし、行きたい大学も自ずと決まります。
また夢・志指導の結果、親に夢を語る中学生が増え、保護者も喜んでくれています。そうした方々は、保護者会でわが子の成長ぶりを話してくれたりもするんですよね。
さらに昨年からは、小中学生にも夢・志指導を開始しました。「時間もお金も制限がなかったら何をしたい?」と問うと、ある中学生は「1 2 0 0 k mの流しそうめんがしたい」と話しました。突拍子もないように思えますが、大切なのは指導側が「それは無理」と生徒にフタをせず、どうやったらできるかを一緒に考えてあげることです。
生徒だけでなくスタッフの夢・志も引き出す
――夢・志を育むには指導力も必要だと思いますが、社内教育ではどんなことを大切にされていますか。
スタッフが自分の未来を想像して創造する、「セルフリアライゼーションプログラム」という研修を4年前か
ら行っています。
そこに学生スタッフも参加してもらうようにしたところ視座が向上。自身のやりたい夢・志を探すきっかけ
になっています。また新卒採用にもつながるなど、いい影響が出ています。
こうした研修に参加したスタッフが指導すると、生徒のモチベーションが上がるんです。
――研修を実施するようになったきっかけをお聞かせください。
私は大学時代、学生スタッフとして志學舎で働き、中学生のリーダーを任されました。いろいろ経験させてもらえるのが嬉しく新卒でこの会社に入ったのですが、東進を担当して初年度の新年度継続率は67%でした。てっきり生徒とは信頼関係ができていると思っていたのでショックでしたし、1人ひとりを見られていなかったと反省しました。
また東進の「勝利の方程式」に則ればよかったのですが、自塾の一斉指導で結果を出していたという自負があったため、東進の担当になってからも、自己流の一斉指導を続けていました。そうした失敗の教訓から、東進本部が推進する夢・志指導に力を入れるようになったのです。
スタッフへの研修を実施するようになって感じるのは、生徒の夢・志と同じくらい一緒に働くスタッフの夢・志も大事だということ。なかでも生徒と年齢が近い学生がそれを持ってくれていると、よきメンターとして生徒にいろいろ語ってくれるんですよね。
定期テストに特化した新コースで指導に幅が
――今年から東進は「高校別対応の個別指導コース」を開始しましたが、いかがですか。
このコースでは、教科書のページを指定するとそれに合わせた演習セットが出てくるなど、高校の定期テスト対策がしやすくていいですね。しかも、あらゆる教科書に対応しています。生徒のなかには「何をすれば点数が取れるか、明確でわかりやすい」と話す子もいますし、ある保護者からは「安心して預けられる」と言ってもらえました。
このコースを勧めるかどうかは、進路において内申点が必要かどうかで判断しています。推薦や総合型選抜を希望する生徒、あるいは基礎ができていないものの大学を目指したい生徒にはまさにうってつけ。指導の選択肢も増えて有り難いです。
――今後の展望をお聞かせください。
今年は「過去最高の現役志望校合格率」を目指し頑張っていますが、ずっと大切にしている生徒の可能性を引き出す指導が大切だと私たちは考えています。笑顔で1日が終えられるよう生徒を導きながら、これからも可能性を存分に引き出してまいります。
■株式会社志學舎: https://sigakusya.com