文部科学省実証事業に採択:IGS、生成AIを活用した探究指導モデルを宝仙学園で実証開始

 Institution for a Global Society 株式会社(東京・渋谷区、中里 忍 代表取締役社長 COO)は、文部科学省の「令和6年度 次世代の学校・教育現場を見据えた先端技術・教育データの利活用推進(最先端技術及び教育データ利活用に関する実証事業)」に採択され、生成AIを活用した探究指導モデルの開発を進めている。この実証事業では、生徒の非認知能力や数理科学的スキルのデータを基に、先生の負担軽減と生徒一人ひとりに合わせた探究活動の実現を目指す。2024年10月から、宝仙学園順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校で実証授業を開始し、生徒の学びや教師の働き方改革に向けた取り組みが始まった事を発表した。


■生成AIで探究授業を改革:背景と目的
 IGSは、生徒の非認知能力を測定する「Ai GROW(アイ・グロー)」や数理科学的なスキルを測定する「数理探究アセスメント」で得られるデータを活用し、生成AIがクラスや学年単位での「総合的な学習(探究)の時間」をはじめとする探究学習の指導案を自動生成する新しいモデルを開発している。この取り組みは以下の教育現場の課題解決を目的としている。

集団に最適化された探究学習の実現:アセスメントでクラスや学年ごとの強みや課題を具体的に把握し、生成AIを活用してクラス全体に適した指導案を作成する。これにより、生徒全員が一体となって取り組める質の高い探究活動を提供し、クラスの協働学習を深め、効果的に次の学びへ進めることができる。

個々に応じたフィードバックで成長を後押し:生徒が提出するレポートやアセスメントデータを基に、生成AIが生徒一人ひとりの興味やペース、難易度に応じたフィードバックレポートを作成する。これにより、生徒それぞれが抱える課題に寄り添い、成長に向けた具体的なアドバイスを届けることができる。

先生方の負担を軽減し、働き方改革をサポート:生徒の能力を可視化するアセスメントと生成AIによる授業設計や個別フィードバックの提案を通じて、先生方が探究以外の業務と両立しながら生徒と向き合う時間を確保できる。業務負担を減らしつつ、教育の質をさらに高める働き方を実現する。

安全で効果的な教育データの利活用を実現:収集した教育データを匿名化し、個人情報保護に配慮した形で生成AIを活用する。OpenAIの機械学習にデータが使用されないよう管理することで、安心してデータを授業設計や評価に生かせる。これにより、これまで十分に活用されていなかった教育データを授業設計や評価の改善に最大限に活用する環境を構築する。

■宝仙学園での実証授業の取り組み
 2024年10月~11月、宝仙学園順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校で、中学1年生の7クラスを対象にした実証授業を実施した。この授業では、生成AIが「Ai GROW」のデータを基に作成した指導案を活用。新たな視点からの授業設計やアプローチが導入され、生徒の積極性向上や教員の準備時間削減といった成果が報告されている。

■今後の展望
 引き続き、宝仙学園での取り組みに加え、市立函館高等学校では、個人の探究レポートのフィードバックに関する実証を進行中。
 IGSは、教育データと生成AIの利活用を通じて、生徒の潜在能力を最大限に引き出す探究型学習を支援し、教育現場の負担を軽減する活動を拡大していく。

■「Ai GROW(アイ・グロー)」は
 IGSは、生徒一人ひとりの強みを可視化・育成するための非認知能力測定ツール「Ai GROW」を2019年4月にリリースし、2024年10月末現在、国内外の小学校・中学校・高等学校400校以上、国内では43都道府県へ導入されている(累計)。
 知識を問う従来のテストでは評価が難しい「非認知能力」は、評価基準が曖昧になりやすく、また多様な能力を含むため、先生が生徒一人ひとりの能力を正確に把握することは非常に負荷が高くなる。「Ai GROW」は、生徒の自己評価に加えて、生徒同士が評価をする「相互評価」の方法を取り入れている。さらに、人が人を評価するうえで生じやすい、忖度や性格の甘辛などの不要な評価の偏りをAI(人工知能)が補正することで、非認知能力を含む25種類もの能力を、公正に可視化することができる。(特許第6589257号)
「Ai GROW」サービスサイト(日本語): https://www.aigrow.jp/aigrow

■「数理探究アセスメント」とは
 一層のデジタル化・グローバル化が進むこれからの社会では、文系・理系問わず、「数学や理科と他教科の学びをつなげ、協働して新たな知や解を創造する力=探究力」を育むことが不可欠だ。IGSは、生徒の数理科学的なものの見方や考え方・スキルである「自律的探究力」を確認し、成長につなげるための測定ツール「数理探究アセスメント」を、東京学芸大学大学院 教育学研究科 西村 圭一教授監修のもと開発した。「数理探究アセスメント」では、生徒が問題に回答することで、絶対評価でスコアを算出する。
「数理探究アセスメント」(日本語):https://www.aigrow.jp/suri-assessment

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