巻頭言
過去最多倒産件数となる塾業界の今後
2024年、学習塾の倒産件数が過去最多水準で推移している。東京商工リサーチと帝国データバンクの両社が調査結果を発表した。それによると、今年1月から10月の倒産件数は前年同期比で28%増加し、通年では19年の過去最多水準に並ぶ可能性がある。少子化による生徒数の減少、保護者の教育費負担増、無料オンライン学習コンテンツの普及が競争を激化させている。特に中小規模塾が打撃を受け、大手も含む業界全体で淘汰が進行しているという。
主な要因の一つは、生徒数の減少とそれに伴う授業料収入の減少である。6歳から18歳の人口はこの10年間で約9%減少しており、少子化の影響が顕著である。
今年の出生数は70万人を割り込むとも見られており、あと10年足らずで性との対象年齢となる子供の数は現在より2割以上減少するのは確実だ。
さらに、コロナ禍での支援策終了後に訪れる融資返済負担が中堅塾を圧迫している。これにより、負債を抱えた事業者は倒産や他社への事業譲渡を余儀なくされている。
このような厳しい環境下で、生き残りをかけた業界再編が加速することは避けられない状況である。しかし、子供の学びに対するニーズが多様化していることも事実で、学習塾がいち早くその変化を的確に捉え、柔軟に対応することで、新たな成長機会を創出する可能性が広がることには期待したい。
(如乙 一)
目次
- 6 CatchUp① 志學舎 生徒だけではなくスタッフの夢志を育む重要性
- 8 CatchUp② 熊本ゼミナール 地域で根強い人気を獲得する理由とは
- 10 CatchUp③ 英俊社 オンデマンド教材作成の現場を探る
- 18 HOT TOPICS 1 小学校高学年の英語教育 ICT活用の重要性
- 20 HOT TOPICS 2 「塾の日シンポジウム2024大阪大会」が盛大に開催
- 22 HOT TOPICS 3 ウイングネット秋セミナー2024
- 24 HOT TOPICS 4 浜学園のDX推進とWebスクールの未来展望
- 26 HOT TOPICS 5 ★塾・予備校経営者必読!教育ビジネスの新領域〈シリーズ第3回〉 AI特許エンジン「H100」による新次元の教育は「生き方の発明」にあり
- 32 挑む私学 開星中学校・高等学校
- 35 目次・巻頭言
- 36 NEWS ARCHIVES
- 64 千里の道も一歩から ~編集長備忘録~
- 65 【特集①】 株式公開企業塾 2025年2・3月期 第2四半期(2Q)決算を読む
- 76 【特集②】 塾の研修
- 88 Special Report 全国模擬授業大会 in 名古屋 教育の力 2024
- 92 TOP LEADER Interview この先、塾業界が生き抜くために 塾講師の社会的立場の向上を。
- 株式会社 日能研関西
- 102 現代学習塾経営概論(21)
- 104 企業研究(140) 産経ヒューマンラーニング株式会社
- 107 日本教育ペンクラブ・リレー寄稿(370)
- 108 疾風の如く(184) 松下理数教室(大阪府) 代表 松下 周二 さん
- 110 PAPER REVIEW(9)
- 112 For Whom the 塾 Tolls(40)
- 114 自ら動き出すチームにする方法(123) 中谷彰宏
- 116 シン・ジュクジン(37)
- 117 芸術見聞録(137)
- 118 わが子、就学中(45)
- 119 塾長の机
- 120 為田裕行の「教育ICT行」(117)
- 121 10¹⁵ PETA(45)
- 122 Opinion from School(65)
- 124 林明夫の「歩きながら考える」(232)
- 126 塾ソムリエの講師研修指南 西村則康(名門指導会代表 塾ソムリエ)(58)
- 128 私塾界インサイト(81)
- 132 塾はどこから来たか、塾は何ものか、塾はどこへ行くのか―そして私(37)
- 134 咲かせよ桜(117) 小林哲夫
- 138 論点2024(12) どうなる? 公立学校教員の給与
- 138 編集後記
- 144 Book Review
- 146 塾長のためのガジェット講座