柏市教育委員会と生成AIを活用した児童生徒の悩みを早期発見・解決するモデル実証を開始

 株式会社ZIAI(東京・渋谷区、櫻井 昌佳 代表)は、日本で増加するいじめや不登校、児童虐待やひきこもりといった子どもに関する悩みを学校内で早期発見・解決する取り組みとして、生成AIを用いた悩みチャット相談システムの導入・運用を柏市内のパイロット校(小学校・中学校)で実施することを発表した。

 令和4年における日本のいじめ認知件数は過去最多68万1948件。不登校は10年連続増加、児童虐待は32年連続で増加している。また、ひきこもりは全世代で146万人にのぼり、その3人に1人が、小中学校時代に不登校やひきこもりを経験していると言われております(「社会的ひきこもり」に関する相談・援助状況実態調査報告 / 厚生労働省)。
 不登校生徒を調査したデータでは、「誰にも相談しなかった」と回答した生徒の割合が小学生で36%、中学生では42%にのぼる(令和2年度不登校児童生徒の実態調査)。不登校には至らなかった生徒を含めると、さらに多くの悩みを抱える生徒が誰にも相談できずに学校生活を送っていることが予想できる。つまり、自発的に他者に悩みを相談したり、現施策で目が行き届いている生徒はごく一部の生徒のみと言える。
 一方で、全国的に配置が進められてきたスクールカウンセラーは非常勤職員が多く、相談体制は1校あたり平均週1回、4~8時間程度(スクールカウンセラーについて/ 文部科学省)、故に生徒一人ひとりの変化に気付き、必要な情報を得て初期介入を行うのは依然として担任教員や養護教諭が担っているのが現状だ。学校現場では、教員の業務過多により「働き方改革」を同時に求められる中で、今以上に現場負担を増やすことは現実的ではない。学校教員の負担を増やすことなく、生徒が一人で抱え込まずにまずは悩みを打ち明けてもらえる「相談し易い環境」を作り、しかるべき初期介入に繋げていくことが急務となる。それが悩みの早期発見および有事予防に繋がる。

モデル実証の概要
 これまで自治体の福祉相談において100万人以上の市民に公開・使用されてきた「悩みチャット相談システム」をパイロット校生徒に開放し、24時間いつでもどこでも悩みを相談できる体制を整える。
実施期間:2024年10月21日(月)〜12月27日(金)
対象:市内パイロット校(小学5年生〜中学3年生)
 同システムは、悩みを吐露して傾聴・共感体験を得ることによるストレス緩和に加え、必要があれば現場の教員やスクールカウンセラーに繋ぐことで課題の早期発見から初期対応まで実施することに重点を置いている。
 すでに高等学校では実証が進んでおり、同システムの傾聴AIに相談したことをきっかけに、学校改善や不登校・自殺予防への介入に繋がった事例も出てきた。今回の小学校・中学校におけるモデル実証により、有効性の検証および子どもにとってより良い傾聴体験に向けた改善を図る。

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