カシオ計算機は、エジプト・アラブ共和国とバングラデシュ人民共和国での数学教育事業が、文部科学省「日本型教育の海外展開(EDU-Portニッポン)」応援プロジェクトに採択されたことを発表した。1月より順次、両国の教育省・教育関係者と連動しながら、関数電卓を活用した数学授業を開発し、教師トレーニングやパイロット授業を通じて教育現場の支援を図る。
カシオ計算機の教育事業では、「Boost Your Curiosity(「学び」の支援を行い、あなたの学びへの「好奇心」を高めます)」をステイトメントに掲げ、世界各国の学校での関数電卓活用を促進する「GAKUHAN」活動を展開し、授業開発や教師の支援などを行っている。
「EDU-Portニッポン」は、官民協働で取り組む、日本型教育の海外展開を推進する事業。今回、カシオ計算機が取り組む両国における「GAKUHAN」活動が評価され、採択に至った。
■エジプトにおけるプロジェクトの主な取り組み
2016年にエジプトは持続的開発戦略「エジプトビジョン2030」を掲げ、暗記型の学習から脱却し、探究型学習を目指す新しい教育改革プロジェクト「エデュケーション2.0」を始動している。今回、2024年10月にカリキュラム改定を予定している前期中等教育の7年生(日本の中学1年生に相当)を対象に、教員と生徒が探究型学習を体感できるパッケージを提供する。初年度は関数電卓を活用した教材の提供、数学教師のトレーニング、パイロット授業の実施、授業のモニタリングや効果測定など、教育現場の支援を行う。
■バングラデシュにおけるプロジェクトの主な取り組み
バングラデシュでは、2020年に策定された国家の長期開発計画「Vision 2041」に沿って、2023年から学年ごとに新カリキュラムへの改定が進められている。前期中等教育の8・9年生(日本の中学2・3年生に相当)のカリキュラムが2024年1月に改定される時期にあわせ、パイロット校を対象に新カリキュラムに対応した教材の提供、教師のトレーニング、フォローアップを実施する。
また、カシオ計算機社の関数電卓の偽物が多数流通しているという課題に対しても取り組み、品質の高い本物の関数電卓を学生が使用できるよう本物訴求に努めていく。
■ことば解説:「EDU-Portニッポン」
EDU-Port ニッポンは、官民協働のオールジャパンで取り組む、日本型教育の海外展開を推進する事業。文部科学省、経済産業省、外務省、国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構(JETRO)をはじめ、地方公共団体、教育機関、民間企業、NPOなどが会するプラットフォームをつくりだし、日本の魅力ある教育を海外展開していく機運を醸成する。2016年度~2020年度までの5年間は「日本型教育の海外展開推進事業」として事業を推進し、パイロット事業を世界36の国と地域で実施してきた。2021年度からは新たに「コロナ禍を踏まえた新たな日本型教育の戦略的海外展開に関する調査研究事業」(EDU-Portニッポン2.0)として事業を推進していく。