国立科学博物館 牧野富太郎の業績と植物の観察眼を紹介 ミニ企画展「牧野富太郎と植物を観る眼」開催

 牧野富太郎は、日本の植物に最も多くの学名をつけた日本人で、日本の植物学の基礎を築いた人物。牧野の観察眼によって描かれた植物画は美術的にも高い評価を得ており、今日の植物画のルーツとも言える。また、最近ではNHKの連続テレビ小説「らんまん」(NHK 2023年前期・作 長田育恵)の主人公のモデルとして描かれたことも記憶に新しい。
 筑波実験植物園では、植物の観察眼を養い表現することを推奨する植物画コンクールを毎年開催し、入選作品を企画展「植物画コンクール入選作品展」にて展示しているが今回、牧野の「植物を観る眼」に主眼をおいたミニ企画展を上野本館にて同時開催し、植物画の普及に繋げる。

牧野富太郎(1862~1957)
 高知県高岡郡佐川町生まれ。幼少から植物に興味を持ち、小学校を自主退学して独学で植物を学んだ。上京し、東京大学理学部植物学教室への出入りを許され、植物分類学の研究に打ち込み、日本植物分類学の基礎を築いた。94年の生涯において収集した標本は約40万枚といわれ、その一部は、国立科学博物館にも所蔵されている。また、自ら創刊に携わった「植物学雑誌」に論文を発表するとともに、日本各地で植物観察会を実施し、日本の植物相解明に貢献しつつ、植物学の一般への普及にも尽力した。代表作である『牧野日本植物図鑑』は、現在でも研究者や愛好家の必携の書ともなっている。1953年東京都名誉都民。1957年文化勲章受章。

ミニ企画展「牧野富太郎と植物を観る眼」概要
【主  催】独立行政法人国立科学博物館
【協  力】日本植物園協会 高知県立牧野植物園 練馬区立牧野記念庭園
【会  期】令和5年12月19日(火)~令和6年1月8日(月・祝)
【場  所】国立科学博物館 上野本館 日本館1階 中央ホール

展示構成
展覧会では、次の5章から、牧野の人となりと植物を観る観察眼について解説する。

1)牧野富太郎ってどんな人 
 パネルにより、その人となりを紹介する。

2)牧野富太郎の植物を観る眼
 国立科学博物館に所蔵されている、牧野が採集した植物標本と描いた植物画の代表作(複写)を展示し、同館の研究員が解説を加える。

3)ドラマ「らんまん」の植物たち
 連続テレビ小説「らんまん」(NHK 2023年前期・作 長田育恵)で使用された植物レプリカと、ドラマのために作成された、植物画家・米田薫氏による植物画を複数展示する。植物監修を行った当館研究員による制作秘話も紹介する。

4)植物をじっくり観てみよう
 牧野のように植物画を描くためには、まず植物をじっくり観察することが大切。ここでは葉に注目し、その多様性や観察ポイントを図解と実物で紹介する。

 5)国立科学博物館の付属施設に行ってみよう
生きた植物を観る上で絶好の場所となる当館の付属施設、筑波実験植物園と附属自然教育園を紹介する。

その他(国立科学博物館主催 第40 回植物画コンクール入選作品展)
1)日  時:令和 6 年 1 月 27 日(土)~2 月 12 日(月・祝)
  会  場:国立科学博物館筑波実験植物園 茨城県つくば市天久保 4-1-1
2)日  時:令和 6 年 7 月 2 日(火)~7 月 21 日(日)
  会  場:国立科学博物館上野本館 東京都台東区上野公園 7-20
3)日  時:令和 6 年9 月 下旬~11 月 上旬 予定
  会  場:国立科学博物館附属自然教育園 東京都港区白金台 5-21-5

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