文部科学省 日本の生命科学研究に遅れを示唆

 文部科学省ライフサイエンス委員会は10月16日に開かれた会合で、日本の生命科学および医科学の研究について、革新性の観点から米国よりも約2年遅れているとの警鐘を鳴らした。特に、最新の機器や人工知能(AI)の導入において遅れがあり、24年前半までに包括的な対策を立てる予定だ。この問題への対策を支援するため、文部科学省は25年度の当初予算の概算要求に具体的な対策を盛り込む予定。

 文部科学省の科学技術・学術政策研究所の調査によれば、日本の基礎生命科学分野において、他の論文に引用される頻度が上位10%に入る重要な論文の数(トップ10%論文数)は、00年ごろには世界で4位だったものの、現在では12位まで低下した。
 欧米では、工学、情報学、数学など異なる分野との連携が急速に進んでおり、データやAIを駆使して複雑な生命現象を解明し、実験を自動化するための最新機器を導入している。一方、日本はこれらの機器を欧米から輸入しており、そのために革新的な研究に遅れをとっていると指摘されている。
 委員会では、この問題に対する危機感を共有し、欧米発の高価な最新機器を複数の研究機関が共同で利用できるような仕組みを導入する必要性や、研究資金の分配に関する「選択と集中」の見直しを求める意見が出された。研究の効率性向上や、長時間労働の削減、女性研究者が働きやすい環境整備についても議論された。

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