文科省、幼児期教育の将来影響を初の追跡調査へ

 文部科学省は、2024年度から幼児期の教育や家庭環境が将来の学力や年収にどのような影響を及ぼすかを調べる長期の追跡調査を初めて実施する。対象は就学前の5歳児1万人規模で、幼稚園や保育所での教育内容や家庭環境を調査し、学力や進路、成人後の職業や年収などを追跡する。来年度予算概算要求に、関連経費として6000万円程度を盛り込む方向で調整。この調査を通じて小学校学習指導要領や幼稚園教育要領、保育所保育指針に反映させることを視野に入れる。 調査は、5歳児が小学4年生になる28年度にかけて、学力の状況などを確認。その後も、幼児教育の長期的な影響の分析を行う。結果を幼児教育の内容に反映させて、経済的な格差の固定化を防ぐ狙いがある。学力のほか、粘り強く物事に取り組む力をはじめとした「非認知能力」への影響を調べる。
  調査では、地域特性を勘案して分析できるよう、都市部と地方部のそれぞれで十分な数のサンプルを集めることを想定。対象児の家族構成や経済状況なども確認する方向だ。 海外では同様の調査で幼児教育の重要性が認識され、日本もその成果を活かした教育を進める意向。ただし、差別に繋がらないように十分な配慮が必要であり、個々の子どもの能力を全体的に伸ばすことが大切だとされている。文科省は大学に調査を委託し、2024年度から本格的な調査を開始する予定だ。

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