大阪府が提案している高校無償化案について、吉村洋文知事は8月4日に、公費でまかなう授業料の上限を3万円増の年63万円(生徒1人当たり)に引き上げると明らかにした。これにより、私立校側の負担が軽減される見通しとなる。府の試算によると、この引き上げによって私立校全体の負担額が現行の約9.5億円から約7.9億円に減少するとされている。
大阪府は、これに加えて私立高校への運営費補助金にあたる経常費助成も、現行の年32万5500円(生徒1人当たり)から段階的に2万円程度を増額する方針を示している。吉村知事は「教育の質を維持しつつ無償化を実現するための提案」と述べた。
新制度への移行に関しては、私立中高の団体もこの引き上げ案を評価し、知事との面談を通じて制度参加について判断するとしている。現行の府の無償化制度は、年収800万円未満の世帯などを対象にし、標準授業料(年60万円)を超える分を学校側が負担している。しかし、新制度に移行することで無償化対象の生徒数が増加し、学校側の負担が増えるため、府と私立校側の調整が続いていた。
大阪私立中学校高等学校連合会は、知事の考えを加盟校に説明し、制度参加についての判断を会長一任で取り付けたと発表した。連合会の草島葉子副会長は、府の方針を歓迎し、「無償という言葉だけでなく、私学の課題を認識し、子どもたちの教育を考えてくれた」と述べた。